「今週をなんとか越える」が合言葉
口のまわりがなんか痛いと思ったら、小さな吹き出物がふたつできていた。
思い当たる節しかない。ただでさえ狭いデスクに甘いお菓子、しょっぱいお菓子、肉まん、クリームパン、チョコレートそして栄養ドリンクの空き瓶が転がっている。今気づいたが新たにもう1ヵ所、吹き出物ができかけている。
精神科医の樺沢紫苑先生が、睡眠6時間以下の人の頭は酔っ払いのそれと同じだといっていた。
だとしたら現在のわたしの頭は酩酊か泥酔状態だろう。
もうすぐどかんと旅行に出る。
計画的に仕事を調整してきたはずなのに、「計画していないことが起こること」を計画していなかったがためにこのような有り様になっている。
「今週は家事しま宣言」を発令し、数日前までお惣菜だった夕飯がついに今日はお弁当に変わった。明日履くパンツがなくならないギリギリのラインで洗濯物だけこなしている。
今までの夫なら「さすがにひどい」とこぼしただろうが夫も夫で旅行前に仕事のメドを立てようと詰めている。わたしと似たような状況だ。もはや自分のことでいっぱいいっぱいなのだろう。わたしとは逆にどんどん早寝早起きになっている。
毎日くたくたで早く床につくものの、仕事のプレッシャーで早く目が覚めてしまうらしい。
数年前ならば、旅行前のもうこの時期にはとっくに宿の予約を終えていて、夕飯時には「ここに行きたいね、あそこに行きたいね」などと楽しい旅行話に花を咲かせていただろう。
コロナを挟んで久しぶりの旅行だというのに、この期に及んで1泊目の宿さえとっていないどころか、そもそもどこに行くのかもノープランである。
もはや「それもありか」と、投げやり楽観的な姿勢だ。
ふたりで食卓についていてもそれはそれは静かで、いつもより小さな音量なのにやけに大きく聞こえるテレビの音。
みているようでみていない。食べているようで上の空。
たぶん互いに頭の中は仕事のことでいっぱいだ。
会話といえる会話もせず「寝るわおやすみ」といって先に横になる夫と1日の最後に交わすひと言が「今週なんとか越えよう」だ。
今週なんとか、体調も維持して乗り切ろう。
お互い大変で、お互いギリギリのところでがんばっている。
…夜型だからといってショートスリーパーではない。夜遅くまで起きていられるだけであって人並みに睡眠時間を要する。徹夜というか徹昼すればあたり前だが眠い。
だがしかしここで諦めるわけにはいかない。明日は最大の山場だし、明日の自分には期待できない。
あと1日、もう1日、なんとか越えよう。
栄養ドリンクの空き瓶がまた1本増えた。
長い長い夜が始まる。
今日も読んでくれてありがとうございます。
最近あなたが越えた山場はなんでしたか?