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SaaSプロダクト戦略の要諦を読んでみて

freee株式会社のVP of Product management(2023年12月退職)、ALL STAR SAAS FUND Advisor、日本CPO協会理事を歴任し、国内のSaaS業界を牽引されている宮田 善孝さんの著書『ALL for SaaS SaaS立ち上げのすべて』を拝読しました。
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少子高齢化が進む日本社会において生産性向上や効率化のためのDXは必要不可欠であり、さまざまな領域でプレイヤーが急増しているSaaS市場。
Salesforceを筆頭に黎明期からSaaSに注目し続けていたEmergence Capitalが、先行者が既に存在して他社が見向きもしなかった中でZOOMの勝ち筋に可能性を見出したように、プロダクト戦略によって事業の未来は変わっていく。

本書は実践家視点でプロダクト戦略が体系立てられており、全体像を把握したい人を向けのバイブルとなる良書でお勧めです!

概要

・SaaSはユーザーの利用動向を分析することで更なる便益を高めることができるため、プロダクト継続的な改善をどのように検討していくかが成長戦略において重要となる。
・SaaSはレベニューが累積していくものであり、短期的な売上が低いため、ユーザー満足度を高めながらユニットエコノミクスを確保する戦略が不可欠。
・適切な段取りを経て軸が確立させずに、できるだけ多くの潜在ユーザに価値を感じてもらおうと様々な機能を盛り込みすぎると、誰のためのものなのかがブレてしまい、売れなくなってしまう。

Point①:事業計画に必要な各指標を学ぶことができる

LTV(顧客生涯価値)やCAC(顧客獲得単価)と基本的な指標に加えて、CAC算出の母数を
A.マーケティングやセールスを駆使して獲得したユーザに限定した獲得数を使うのか、
B.マーケティングやセールスなど関係なく、ただ単純に獲得数を活用するのか
2つの視点の違い、Payback Period(コスト回収期間)やユニットエコノミクスの健全値の目安など、事業計画を立てるために必要な指標を学ぶことができます。

事業成長率に大きな影響を及ぼす要素でありながら専門のコンサルティングファームが存在している欧米市場に科学が進んでいないプライシングの設定方法や管掌部門も整理されています。

Point②:プロダクト戦略の土台となる組織体制を考えることができる

ケイパビリティに応じた事業型とファンクション型組織の検討や、開発規模に応じたプロダクト組織のCTO、CPO、VPoEの機能分化のタイミングと基準を考えることができます。

肩書きで組織をつくるのではなく、人の能力と戦略の優先度を吟味しなければ効果的な組織をつくることができないと考えられます。

また、顧客の声を起点にプロダクトを磨いていくことが重要な成功要因となる条件下で、ビジネスサイドやコーポレートサイドとの連携の重要度も奥深い視点です。

Point③:プロダクトマネージャーのスキルセットを俯瞰できる

ビジネス、テクノロジー、ユーザエクスペリエンスを司る重要な司令塔プロダクトマネージャーの下記のスキルセットをそれぞれ具体的な把握することができます。

A.プロダクトストラテジー
B.プロジェクトマネジメント
C.企画
D.デザイン
E.開発
F.プロダクトマーケティング
G.調査/分析
H.業界/業務理解

プロダクトマネージャーという職種自体が新規性と希少性が高く、誰が担い、どうやって育成するかが事業成長の重要なアジェンダの一つになりますが、スキルセットが体系化されることでその道筋を考えることができます。

イノベーター理論に示されるようにどんなサービスも市場開拓の段階に応じて継続的なマーケットインで必要であると分かっていても成功体験を積むほどに原点回帰が難しくなることに対して、プロダクトビジョン、調査、ユーザストーリーマッピング、ゴートゥマーケット戦略といった必要な工程に立ち返ることができます。

以上のように事業成長の要となるプロダクト戦略を考えられる書籍となっていますので、気になる方はぜひご覧ください!

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