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今日打ちのめされた記事242ー「トランプ当選によって『リベラルな国際秩序』はガラスの城のように壊れようとしている」

(2024年11月20日付 朝日新聞「時事小言」 国際政治学者 藤原帰一氏の言葉から)

・ トランプ政権

(原文のまま)
「『リベラルな国際秩序』の維持と拡大は歴代の米国大統領が対外政策の中心としてきた。だが、トランプは違う。国内においても法の支配に服することを拒み続けたトランプは、国際関係も権力闘争の領域として捉え、むしろ実力者支配を隠そうとしもないロシア大統領プーチンや中国国家主席の習近平を優れた指導者として讃えてきた。ここに見えるのは『リベラルな国際秩序』から『力の均衡』としての国際政治への転換である」

第一次世界大戦までの国際秩序の原型であった「力の均衡の時代」に世界を押し戻そうとしている。

・ 米ロ関係

(原文のまま)
「トランプから見れば弱い国が強い国に逆らう不毛な抵抗であり、米国がウクライナを支援する必要はなく、ウクライナを頭越しにした米ロ交渉による休戦が模索されるだろう。(中略)プーチン政権にとって、西側諸国の結束を弱めるという年来の願いが実現することになる」

・ 中米関係

(原文のまま)
「トランプは米国と他国との協力に基づいた対中政策を想定していない。同盟ではなく関税の大幅な引き上げと米国単独の軍事的脅しによって中国への牽制が模索されるだろう」(中略)

「だが、まさにトランプが国際協定や合意を顧みないからこそ、米国と競合する相手にとって取引の機会が生まれる。習近平政権から見れば、米国政府に、いやトランプ個人に十分な見返りさえ与えるならば、米国に台湾防衛を断念させることさえ期待できる。同盟の堅持を基本としたバイデンと比較するとき、トランプは中国にとって望ましくない交渉相手ではない」

・ 日本を始めとする米国の同盟国

(原文のまま)
「力の均衡が支配する世界において小国の果たす役割は小さい。同盟を顧みないトランプ政権を前にした日本を始めとする米国の同盟国は、米国なき同盟を支えるか、独自防衛に走るかという選択に迫られてしまう」


2024年は日本では能登地震とともに明けた。世界では、膠着したウクライナ侵攻、パレスチナの惨状、目を覆うような世界中の自然災害、と暗く悲しい一年であった。そして、来年はトランプ政権の登場で国際政治はさらなる混迷が想定される。日本の首相に誰がなろうと世界は変わらないけど、アメリカの大統領1人のことで、今までなんとか維持してきた世界の秩序が混乱させられることにどうしょうもない怒りを感じると共に気分が落ち込む。