今日ときめいた人83ー「いや、ときめいたのはこの人の演じる劇中人物の表情にである」と言った方がいいかも知れない。
(タイトル写真はYouTube「チング」から転載)
ー2019年37歳「愛の不時着」
ー2018年36歳「ネゴシエーション」
ー2017年35歳「スウィンドラー」「コンフィデンシャル」
ー2015年33歳「ジキルとハイドに恋した私」
ー2010年28歳「シークレット・ガーデン」「レイトオータム」
ー2005年23歳「私の名前はキム・サムスン」
ヒョンビンがどんどん若返っていく方向で彼の作品を見た。初めて彼の存在を知ったのが「愛の不時着」である。で、その時「まあ、なんと素敵な人😍」とときめいたけど、「私の名前はキム・サムスン」を見たあとではずいぶん歳をとったなあと感じた。14年もの歳月が流れればそれはそうだ。でも、年齢を重ねるごとに別の魅力が加わったと思う。
そして、気がついたことがある。私が彼に心奪われるのはインタビューやファンミーティングなどに出てくるヒョンビンその人の表情ではなく、ドラマの中で演じている劇中の彼になのだということに。
この人、同じドラマの中でも表情が全く違って見える時があって、ちっとも素敵だと感じない時がある。だから私がときめくのは彼が演じたあるシーンの一コマで見せた彼の表情になのかもしれない。
例えば、「レイト オウタム」。いい話だという人がいる。ストーリーとしては良かったのかもしれないが、私はあの役を演じているヒョンビンには魅力を感じなかった。
「愛の不時着」では、第9話までのリ・ジョンヒョクにしか魅力を感じなかった。
ソウルに来てからのリ・ジョンヒョクは、まさに「ヒョンビン」そのものだったから。(写真はNetflixから転載)
「ジキルとハイドに恋した私」では、なぜか心に残ったのはこのシーン(写真はYouTubeから転載)
「シークレット ガーデン」のこの表情(写真はNetflixから転載)
「コンフィデンシャル」の彼の表情は一貫してよかった。妻を目の前で殺された悲しみと怒りを心に抱えた男の表情。ほとんど笑うシーンがなかった(写真はNetflixから転載)
最近「チング 俺たちの伝説」を見る機会があった。2009年27歳の時の作品である。なぜか私には、このドラマのヒョンビンの表情がどの作品の彼より心に残った。
この映画は、監督の自伝的小説(「友へチング」クアク・キョンテク著 文春文庫)をもとに制作されたそうだが、小説の中ではヒョンビン演じるドンスは映画のような存在感はない。映画はヤクザになった2人の友を主軸にしているが、小説ではヤクザのジュンソクと監督の分身といっていいソンテクが主軸になっている。
家庭の温もりを味わうことなく、男と出奔した母に対する憎しみを抱えた少年時代。社会の不正義を味わい、孤独を抱えて、ヤクザに身を落としながらも、小学生の時に絵を褒めてくれたたった1人の先生の思い出と自分にときめきを与えてくれた女性への思い。2人の温かい思い出を胸に生きる男の役。そんな屈折したヒョンビンの痛々しくも、時に鬼気迫る表情。御曹司のツンデレもいいけど、「チング」のヒョンビンは、全く別の表情を持つ彼を見た思いだ。(写真は全てYouTubeから)
実年齢より10歳ほど若い学ラン姿の彼も全く違和感がなかった。韓国の高校生も日本の高校生と同じように学ランを着るんだなあと、自分の高校生時代を思い返してしまった。異性に対するぎこちない態度や虚勢、でも中身は純朴な男子生徒の雰囲気を演じていた。
最後、彼は自分の部下に裏切られ滅多刺しにあい雨の中で絶命する。壮絶なそのシーンは衝撃的であったが、死んでいく彼の表情は穏やかに見えた。それ故に余計、彼は自分の人生をどう思っていたのだろうかと考えてしまう。「幸せだ」と感じた時を持てたのだろうかと。いつまでも余韻が残る映画であった。
今度は彼のどんな表情に出会えるのか楽しみである。