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2019年11月の記事一覧

JOKERで描かれる悲劇と喜劇

悲劇と喜劇は表裏一体ですよね。

「自分の人生はクローズアップで撮れば悲劇だけど、俯瞰で撮れば喜劇なんだと気づいた」アーサー・フレックは、作中でそのようなことを言っています。

この言葉の意味について、私なりに考えてみました。

山田洋二監督は「幸せの黄色いハンカチ」の撮影時、武田鉄矢に言ったそうです。

「面白い演技なんかするな!お前はいま、女の前でカッコつけたいのに、蟹食って腹壊して野糞する羽

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ジョーカーは一人じゃないのかも

映画ジョーカーを、私はまだ一回しか観ていませんが、個人的には現実説を支持しています。

いろいろな妄想説も現実説も素晴らしい考察が既にたくさんありますので、私は特に言うことはないと思っていましたが、ひとつだけ。

『ジョーカーは正体不明のピエロ。
全て、同一人物とは限らない。』

ブルースウェインとアーサーの歳の差、少なく見積もっても25歳くらいはありそうだから、将来最恐のヴィランとしてバットマン

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アーサー・フレックと愛への渇望

JOKERの序盤。主人公のアーサーは何も悪いことしてないのに不良少年に暴行され、カウンセラーと面談して薬もらって、肩を落としてボロアパートに帰る。

彼にとって人生はとてもつらいものなんだろうなと、観客はこの時点で既に理解している。

だから、アーサーが母親とベッドに座って
「マレーだ」って嬉しそうに呟いて一緒にテレビを見始めたとき、私もすこしホッとしたんです。

アーサーにも、安心してくつろげる

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障害者としてのアーサー・フレック

JOKERの主人公であるアーサー・フレックは、笑いたくないのに笑ってしまうという障害を持っていた。

そのせいで職場では不気味だと言われ、乗ったバスではあからさまに嫌な顔をされて、電車では若い会社員たちに絡まれて暴行される。

彼は、ストレスを感じたときにこの症状が出やすいようだった。笑う場面じゃない時や、笑ってはいけないときほど笑ってしまう。

泣きたいはずなのに、ずっと笑い続けるアーサーは見て

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JOKERは腐敗した街から生まれた

金曜の夜に観てからずっと、ジョーカーやアーサー・フレックのことばかり考えている。「この映画は頭の中をいじってくる、洗脳される」と、地元の大学教授がラジオで興奮気味に語っていたけど、それってこういうこと?

ジョーカー。私個人としては、共感できるところの多い映画でした。自分が普段考えていることと結構同じだなと思う部分がたくさんあったので、主人公がたくさん人を殺すにも関わらず意外と不快じゃありません

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