雑文「リアル謎解きイベント″ミステリーナイト″を開催」
先日、普段から懇意にしているダイニングバーで、謎解きイベント「ミステリーナイト」を開催しました。僕は主催では無いですが運営側で参加しており、主な役割はシナリオ制作。
なかなか面白いイベントになったと思うので、少しそのことについて書いてみます。
イベントとしてはいわゆる「リアル脱出ゲーム」に近いイメージです。そこにミステリ風のシナリオがあり、謎解きの間に短時間の芝居が入るようなイベントになりました。
という具合で、謎を解くたびに本筋のストーリーが進んでいく仕組み。
本家の「リアル脱出ゲーム」はチームごとに進行していくので、間に芝居をはさむ、ということは難しそうですが、今回のイベントでは計8チームが同時進行、解けなくても時間制限で区切り、ストーリーが進む形にしました。
各チームが動き回るようなスペースがお店に無かったから、という物理的な制約もあったのですが、リアル脱出ゲームとの差別化にもなって良かったかな、と。
物理的な制約は謎解きにも影響しました。
基本は座った席から軽く立ち上がって手が届くぐらいの範囲に、全ての手掛かりがある形になりました。皆が歩き回って手掛かりを捜索し始めたら収拾がつかなくなるので。
まあ、普段からある物も活かして、面白い仕掛けがたくさんできました。
ここは謎解きを担当したイラストレーターの友達が上手く問題を作ってくれました。「ここで、こんな種類の問題が欲しい!」「ここを解くとこういうストーリーに繋げて欲しい!」という僕の無茶ぶりを、見事に形にした9問+1問。
合計24人(3人×8チーム)のお客さんも、かなり楽しんでくれたようです。
同じ内容で第2回もやるかもしれない、ということでストーリーはここには書けませんが、僕自身もこのようなイベントをするには適した(謎解きが入ることが不自然でない)ストーリーを作ることが出来たと思っています。
自分が書いたものを誰かが演じてくれる、というのも中学校の文化祭の演劇以来な気がします。これも嬉しいことです。
ちなみに中学時代は最初、「赤毛のアン~広島抗争編~」のシナリオを提示して、女子たちから大ブーイングを受けました。
(ポスターとかでは「赤毛のアン」と事前に告知しておいて、劇が始まると、返り血で髪が赤く染まった構成員の安藤、通称「赤毛のアン」が刑務所から出てくるところから始まる…という話。ゼロから作り直しました)
さて、大まかには上手くいったイベントでしたが、反省点もあります。
今後このような機会があるかは分かりませんが、個人的な備忘として、少し反省点を振り返っておきたいと思います。
ストーリーは複雑すぎると伝わらない
これは当初から気にしていて、出来るだけシンプルにはしたのですが、ミステリという性質上、伏線とその回収は発生します。
ただ、謎解きをしている20分ぐらいは芝居と芝居の間に時間が空く、お酒を飲んでいる、場所によっては芝居が見づらい・聞きづらい、などの事情から、さらにシンプルにしても良かったかもと思います。
ヒントシステムの是非
謎解きを進めていく上で、今回は有料のテキーラ(ハーフショット)を頼めばヒントがもらえる、という仕組みが導入されました。
これはお店側の利益という意味やではプラスに働いたものの、お酒が入って後半の集中力が途切れる、飲まない人が不公平感を感じるなど、デメリットもありました。謎解き開始後、一定時間が経たないと使えない、などのバランス調整はしましたが。
個人で書いた小説ではなく「イベント」である以上、何らかのお金や利害は発生するものです。主催が赤字で開催するイベントはサステナブルではないですし、これは仕方がない。
ただやはり、クリエイティブと利益のせめぎあい、のようなものは感じました。
演者の質を考慮したシナリオ
今回の芝居は、そのお店の店員が演じてくれました。
熱演してもらったのですが当然、素人ですので限界がある。例えば長い台詞は覚えられない、など。
ちょっとここは、最初からもう少し考慮する必要があったな、と思っています。演者に負担がかからないシナリオ、という観点が足りなかったように思います。
良い難しさと悪い難しさ
謎解きイベントとしては、謎はもちろん簡単すぎると面白くないのですが、良い難しさと悪い難しさがあるな、と思いました。
良い難しさは、誰でも解けるはずなのだけど、ちょっと盲点になっている部分があって謎が解けない、という類のもの。正解を聞いた時に「あー!」となるようなものですね。
逆に、知識を試されるようなものや、細かすぎて解けないような問題は悪い難しさ。これも改めて実感しました。
とまあ、こんな感じのイベントでした。
個人経営のダイニングバーとしては、あまり他に見ないイベントになったのではないでしょうか。
こういう時に「じゃあ、俺がシナリオ書こうか」と言えたのは、最近noteで小説書きを復活していてよかったな、と思うところです。書いていなかったら、さすがにすぐには引き受けられなかった。
また、イベントとして成り立つ、演者に演じてもらう、謎解きを挟む、などの制約を考えながらシナリオを書くのも楽しかった。僕は自由に創作するよりも、制約やお題をクリアしながら創作する方に楽しみを覚えるタイプだと、改めて自覚しました。
謎解きかどうかはともかく、またこんなイベントが出来たらな、と思えたイベントでした。関係者の皆さま、お疲れさまでした!
(了)