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作品の宛名。創作の矢印。5年後を想う。


10年ぶりに福岡の地へ。
子供の頃は毎年訪れていた思い出の地。

過去を想い出しながら、未来を想いたい。
そんな直感に従って福岡へ。

10年前の地を歩きながら、5年後を想う散歩道。
藍色の世界線に続く自分はなにを想うのか。

この旅が、もし5年後の自分だったら。
そんな事を考えながら歩いていく。
このマガジンは、旅行記ではなく、今の自分と5年後の自分を往来する随想録です。


作品の宛名

 最近の僕は、宛名のない表現をする事が出来なくなったみたいだ。ずっと自分に向けて表現や創作をしてきたけれど、ここに来てそれも終わった。だから少しの間創作から離れていたけれど、やっぱり15年も書き続けてたら辞められない。
 じゃあ、自分の創作はどこに向かうんだろう。どこかからの帰り道、そんなことをぼんやり考えながら歩いていた。


「あぁそっか、君に向けて書くんだ」


 思い返せばこの半年。ずっと誰かに向けて創る練習をしていた気がする。その時の自分には全身全霊死ぬ気で君に向けて創っているけれど、それでも自分の中の大きな軸には「創作は自分に向けて」があったから。
 そして少しずつ、君へ向けて、そして君たちに向けて創作を重ね、やがて大きく育った。今や大きな軸。だから僕は、君に全てを届けるよ。


心臓に藍色の花が咲いている気分だ
きっと藍色の花って
孤独なんだと思う

藍色の孤独は
僕を君のように美しくしてくれる
その美しさを追い求めたいと思える


 僕は藍色が好きだ
 だから君が好きだ


 僕の最近のテーマは「pride」と「秘密」。僕の直感は一貫するから、きっと何か問いかけている事があるんだと思う。二つに通底する何かが、きっとある。

 近頃、僕はとても美しいプライドを見た。あれは驕りではなくて誇りだったと思う。誇りを持って選択をする。外からどう見えるかなんて関係ない。己の選択に君という香りを纏わせたら、それは誇りだ。美しいプライドだと思った。5年後の僕はあんなプライドを持てているだろうか。

 秘密について、語り合った。秘密を持つのは、実は難しい。秘密を秘密にしておく事は、不可能ではないかと思う。なぜなら、たとえ口にしなくとも、その誰かが君を見れば、きっとその存在に気付くから。全身の機微にまで気を配って、その秘密の存在すら感知されないようにするのは、とてつもない胆力が必要になると思う。
 けれど感知すらされないほどの秘密を持つ事は、とても美しい。それこそ、きっと強烈なプライドが必要なんだと思う。秘密があることを秘密にする。それを完遂出来る程の美しさに、僕は憧れた。


宛名と秘密。君へ。

宛名を持つ事。君がいる事。届ける事。
秘密を共有する事。世界環を伝える事。

世界を拒絶しないこと。
けれど場を持っておくこと。
それが自分のプライドだと、今は思う。


もし君が、僕の世界の入り口を望んだ時があれば。
だから僕は、その入り口をここに置いておきたい。

そして僕は、君に望まれる事を望んでる。


10年ぶりに福岡の地へ。
10年前の地を歩きながら、5年後を想う散歩道。


藍色の世界線の先に続く5年後の自分を考えながら歩く随想録。

もし死ぬ直前に、10秒間の余白があったら何をするだろう。
5年後を臨む事はそれと似ている。

そんな事を想いながら歩く記録。
宛先を望むなら、入り口はここ。
そうなってくれる事を願ってる。

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