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ブカレスト留学 Week15-巡礼後のポレンタと赤い街ボローニャ
年末年始休みが終わってしまいましたね。私もブカレストに戻り大学の授業が再開しました。今回は、イタリア旅行記の締めくくり、ぎゅっと詰め込みました。
Oropaの聖域
イタリア北部のBiella、標高約1150mの小さな谷に、Oropa(オーロパ)の聖域というローマ・カトリック教会の建物群があります。
例のイタリア出身のベストバディと知り合ってまだ日が浅い頃に、一番好きなイタリアの食べ物は何か聞いてみたところ、このOropaのレストランで食べるPolenta Concia(ポレンタ・コンツァ)だと教えてくれたのを覚えています。Polenta Conciaとは、バターとチーズをたっぷり使用したコーンミールのおかゆのような料理です。他のイタリア出身の友だちにも、Biellaに行くなら絶対に食べたほうがいいと強くお勧めされました。
そして、念願のポレンタを食べに行きました!ピルグリムのように2時間山登りをして。
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Oropaの聖域はブラック・マドンナという、肌が黒く塗られた、イエスを抱き抱えた聖母マリアの木像で有名です。ある主教によって4世紀のエルサレムで発見され、主教がケルト人異教徒からの迫害を逃れる際に一時的にOropaの洞窟に隠されたところ、なぜか重みが増して運ぶことができなくなり、そのままこの地に教会が建てられた、と言われています。
教会で見ることができるのは旧聖堂にあるブラック・マドンナの模型のみで、実物は特別な機会にしかお目にかかれないそうです。
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念願のポレンタ
友だちの家からOropaまで2時間ほどかけて山を登りました。友だちは山登りが得意なので、彼女のハイペースに負けないように、足を一度止めたら進めなくなると思って頑張ってついて行きました。運動はしている方の自信があったのですが山登りは久しぶりでかなりきつかったです。
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足には疲労がたまり、頭はうまく回らない空腹状態は、ポレンタを食べるこれ以上ない最高の状態でした。
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チーズでとろけ、表面にはバターがにじみ出ているポレンタは、シンプルな味付けながらも鮮烈で濃厚なチーズとバターの風味を感じ、スプーンを口へ運ぶ手が止まりませんでした。山登りの疲労で空腹がわからなくなっていたのですが、自分はこんなにお腹が空いていたのかと驚きました。
店員さんがおかわりは要るかと聞いてくれるので、友だち同様、合計2杯ずつ食べたのですが、2杯目の後半に差し掛かると、さすがにお腹がいっぱいになり、味の濃さが辛くなり、パンで中和しながらなんとか完食しました。
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消化吸収の早いコーンミールと素早いエネルギー源である脂質のコンビネーションは、さすが巡礼にぴったりですね。山を下り3時間かけて家にたどり着いた頃にはお腹は空っぽで、またあのポレンタの味が恋しくなりました。
大騒ぎの年越し
大晦日は友だちの地元のパーティーに混ぜてもらい年越しをしました。カウントダウンが終わった瞬間、パーティークラッカーのようにスパークリングワインを開け、近隣の民家からは打ち上げ花火が止まらず、爆竹の音にわんちゃん猫ちゃんがビビりまくる、強烈な年越しでした。すみません、除夜の鐘の方が好きです。
ただ、お酒を飲んだ後のパネトーネとパンドーロのおいしさは格別でした。
ボローニャの街並み
元日の夜には友だちの大学があるボローニャに向かいました。ボローニャは、立ち並ぶ建物の色が赤いこと、そして国内有数の共産主義傾向の強い街であることから「赤い街」という愛称があります。西欧最古のボローニャ大学があり、学生が非常に多い街です。
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ボローニャの街並みを特徴づけるのは、至る所に張り巡らされた屋根付きの回廊である、アーケード状の「ポルティコ」です。ギリシア神殿を起源とする建築で、12世紀に急増するボローニャ大学の学生の下宿先として2階をあてがい、1階部分をポルティコにしたのが始まりと言われています。
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旧市街と丘の上のサン・ルカ教会をつなぐポルティコを登って、こちらでもしっかり参拝しました。
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ボローニャにもたくさんの教会がありますが、その中でも衝撃的なエピソードがあるのはサン・ペトロニーオ大聖堂です。めずらしい外観をしているのもさることながら、内部の最後の審判を描いたフラスコ画が、裸のムハンマドが地獄で悪魔に頭を飲み込まれる瞬間を描いており、幾度となくテロの標的に晒されています。入館する際には警備員が待ち構えていて、神聖な教会に足を踏み入れる際の空気感とは違う意味で、張り詰めた緊張感を味わいました。
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もう1つ、ボローニャの街を特徴づける建築が、街の至る所に残された中世の門です。中世の門が残っているなんてドキドキしちゃいますが、地元の人には、ただの門だけどどうしたの、という顔をされてしまうので写真は素早く撮りました。
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ボローニャの伝統料理
もちろん、ボローニャではボローニャの代表的な料理をいただかないといけません。中にお肉のあんを詰めた、ころんとしたかわいらしい見た目のTortellini(トルテリーニ)は、ブイヨンに浮かべて食べるのが伝統的らしいです。もちもちした生地に中のお肉が非常にジューシーで、ブイヨンはほっこりする味がしました。友だちは、「もしタトゥーを入れるならTortelliniのタトゥーにする」と言っているくらいのTortelliniファンなので、「水餃子みたい」という感想は一応ぐっと飲み込みました。驚くことに、今まで食べたイタリア料理の中で最も日本の味に近しいものを感じました。
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ボローニャのスーパーで見かけて思わず「おやきみたい!」と私が口にしたTigelleを食べるために、アペリティーヴォに行きました(イタリア語のアペリティーヴォは食前酒だけでなく、友人などとお酒と軽食を楽しむことも指すそうです)。
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木のボードに載せられた、串に刺さった丸いパンのようなものがTigelleで、半分に切ってプロシュートやサラミ、チーズなどを挟んでいただきます。ほかほかでもちもちの食感で、塩気の効いた具材と非常によく合って、幸せな時間と忘れられない味になりました。
ボローニャはブカレストよりも治安が悪く、様々な事件も目撃してしまったのですが、訪れたイタリアの都市の中で最も心惹かれる街でした。
イタリアとのお別れ
楽しいホリデーはあっという間に終わり、シトラスのような酸味とカラメルのような甘味とはっとする苦味のバランスの取れたイタリアのエスプレッソと、朝のカフェ文化と、アペリティーヴォに別れを告げました。
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イタリアからブカレストに戻ったのは、1/6のエピファニー(公現祭)だったため、友だちのお母様から、コーヒーの抽出器具であるモカとパネトーネをいただきました。イタリアのエピファニーは、べファーナという魔女が、いい子のストッキングにはお菓子を、悪い子のストッキングには石炭を入れにやってきます。イタリアのお菓子屋さんでは石炭を模した真っ黒のお菓子も見かけました。モカは新しい朝のルーティーンになりそうです。
今回もお読みいただきありがとうございました!やっと次回からブカレストについての記事になる、と思いきや、お次はソ連時代最後の寝台列車のモルドバ旅行記です。ぜひお楽しみに!