見出し画像

授業データ、活用してみた。


前回の記事では、

授業を録画し、見直すことの大切さについて述べました。


1、成長過程をシェアしてモチベUP


語学学習では、なかなか先が見えず挫折してしまう方も少なくありません。

成長の過程や変化をシェアするだけで、モチベーションUPにつながります。


2、データ活用


そこで今回は、

実際に私の学生の録画データを活用し、

学習者の成長の記録を分析してみました。

対象者:Cさん
 中国語母語話者。中国南方出身。大学生。日本語学科。
 日本語学習歴3年。 N1(日本語能力検定1級)レベル。



昨年の1月から今年の5月までの彼女の成長の跡を、

一部お見せいたします。


3、授業を文字化


まず、分析するにあたり、

彼女の談話を文字におこしました。


1〜5月までの5ヶ月分の授業、

これらすべてをタイピングするのは大変ですし、

気が滅入ります。


ひとまず、

1ヶ月単位での変化を観察しましょう。

1、2レッスン/月 を文字化しました。

スクリーンショット 2020-05-17 11.20.56

↑ こんな感じに、あまり神経質にならず、とりあえずタイピングしてみた


4、変化を可視化


タイピングしていくうちに、

さまざまな面において、

彼女の談話の変化に気付きました。



たとえば、Cさんの場合、

項目「文の量」を見てみると、

1月〜5月にかけて、談話の分量が明らかに増えていました。

記号を入れ、その量の変化を図に表しています。

スクリーンショット 2020-05-17 14.50.22

   ・項目は 学習者によって変えてOK(たとえば、語彙や流暢さ、など)
   ・変化が 数ヶ月単位では見られない学生もいる

 

具体的にいうと、

Cさんは初め、積極的ではなく、

どちらかというと「聞かれたら、答える」というスタンスで、


2月13日時点では、

1つの質問に対して、約20〜40字で答えていました。

スクリーンショット 2020-05-17 11.05.20


また、中国語と英語を混ぜて、話を完成させています。

スクリーンショット 2020-05-17 16.19.14


しかし、5月13日の授業をみてみると、

自分のことだけではなく、

他の人の状況について話すようになりました。

スクリーンショット 2020-05-17 15.06.15


文法の誤りなど、細かいミスはありますが、

中国語や英語を使わず日本語だけで、

250字ほどできちんとまとめています。




さらに、

話しながら自分自身で誤用を訂正するようになりました。

スクリーンショット 2020-05-17 16.09.13


このように

文字化すると、変化を可視化することができます。


たとえば、

よく間違いやすい文法を見つけ出したり

語彙の選び方を観察したりすることも可能です。


5、まとめ

まとめ
 ・授業を録画する
 ・授業での談話を文字化する
 ・文の量、語彙、話す早さなど様々な観点から学生の変化を探す
 ・学生と成長の変化をシェアし、更なる学習意欲を促進





【追記】

彼女は大変頭の良い学生で、きちんと考えながら話します。

慎重に言葉を選ぶのです。


ペラペラと話したいことを話して終わり・・・

みたいなタイプではありません。


きっと、もっともっと言いたいことが、

彼女の中に眠っているんだろうなあ、と思います。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?