「エレベーター」
今日はワンコとお出かけ。
私からの言いつけで、一緒に公共の場に出る時は立派な紳士であれ、を忠実に守り、素敵な彼氏? もしくは旦那様にしか見えないワンコ。
貴方は背が高いから、スーツが似合うわね。
一般社会に適合し、立派であればあるほど、切り替わった時の落ちっぷりに、恍惚と酔いしれてしまうわね。
貴方も。 私も。
両手に荷物を沢山持ち、私のヒールの鳴る方へピッタリついてくる貴方は紳士、はたまたワンコ。
目的のものをゲットできて気分がいいの。
すこしワンコと遊んじゃおうかな。
デパートのエレベーター。
週末の昼間はこんなに人が多いのね。
エレベーターが来るやいなや、みんな一斉に乗り込む。
私はワンコと共に一番奥に押しやられ、横並びの陣形となった。
うんうん、予定通り。
「53階までお願いします」
53階になにがあるのかと、ワンコの瞳がキョロキョロ。
エレベーターが上昇し、室内はシン、と静まりかえる。
荷物を持ち、ボーっとしているワンコを横目で見やると、すかさず足の甲を、パンプスの前側で踏みつけた。
尖ってもいないし、私の体重が乗ったぐらいで、痛くはない。
ワンコは一瞬「ピクっ!」と身体を震わせた。
私は片側に重心をかけていく。
ゆっくりと。
どんどんワンコに重みを乗せていき、ほぼワンコの片足に乗っかってしまった。
ワンコの顔は見ていないが、ちゃんと一般人の顔をし続けているだろうか。
重心を元に戻し、ワンコの足の甲は解放された。
私が足を下ろすと、ワンコは姿勢を取り直した。
室内はまだまだ混んでいる。
私は不意にワンコのペニスあたりを、パンツの上から撫でた。
やっぱり。
ちゃんと反応してるじゃない。
こんなに近くに人がいる中で踏まれて、支配されてることを身体が思い出したのね。
私に勃起がバレて、一気にソワソワしだしたわね。
柔らかい髪の毛は綺麗にセットされ、
黒縁のメガネが、生やした顎ヒゲと合ってて、今日の貴方は凄く素敵よ。
でも貴方は私のワンコ。
いつもの情けない姿が見たくなってきちゃった。
お尻に手を回し、強くつねり上げる。
筋肉質なお尻に力が入る。
5秒程強く握り、離す。
刺激でジンジンとしてる皮膚を優しく撫でてやる。
人が降りていく。
室内にも少しずつ人との距離ができてきた。
私は身体を正面に向けたまま、荷物を持つワンコの腕の位置を確認した。
そのまま、紙袋を握るワンコの手に、私の手を這わせた。
人差し指の爪先で、ワンコの指先をゆっくりと撫で上げていく。
手の甲までいくと、骨、血管をたどるように、爪先を進めていく。
たまにカリカリと軽く引っ掻いたり、爪先に力を入れ皮膚に埋め込ませたりしながら。
ジャケットの袖まで来ると、パっと手を離した。
商業施設フロアを過ぎると、私たちの他にカップルが一組だけの室内となった。
こんなにスカスカな明るい空間だと、ワンコの勃起は丸わかりだ。
正面を向いているカップルを見ながら、私はワンコの前に移動した。
今度はパンプスのヒール部分で後ろにいるワンコの足を踏みつけた。
痛いだろう。このパンプスのヒールは細い。
グーっ、と体重をかけていく。
痛みを堪えているのか、
はたまた、踏まれてる光景を見たいのか。
ワンコが下を向いた気配がした。
私はワンコが見えるように、ペニスを爪先でつついた。
ちゃんと上向きに収納されている裏スジを、パンツの上からなぞり上げる。
すすすーっ
つんつん
カリカリ
イタズラをしていたら、目的地の53階についてしまった。
一緒に乗っていたカップルが降り、誰も乗ってこないのがわかると、乗ったまま中のボタンで1階を押し、そのままドアは閉められた。
私はワンコの方を振り返った。
何よ、すっかりいつものお顔じゃない。
口を結び、眉毛は垂れ、訴えかける眼差し。
私は思わず吹き出した。
「ここはお家じゃないのよ? 」
「…はい、わかってます」
ふぅん、わかってます。
それがわかってる人間の顔なのかしら。
私が映る瞳を覗きこんだ。
「ねぇ、パンツの裾が汚れた気がするのよ、ちょっと見てくれる?」
右足を差し出す。
両手の荷物をどうするのか、人が乗ってこないか、スイッチの切り替えがまだできてない様子。
「ほら、モタモタしてると人が乗ってきちゃうわよ」
「は、はい…っ!」
両手の荷物をその場に下ろす。
片膝をつき、私の足に手を添える。
私はいつの間にか手を組んでいた。
わかってます、と言われたあたりで苛立った。それなら見せてもらおうじゃないか、そんな気分だった。
手を添えられた足を、膝の上に乗せた。
「ほら、裾よ。捲って確認してちょうだい」
ワンコは裾を前後回してみたり、捲ってみたり、確認している。
つま先を立て、ジャケットの上から乳首を小突いてみた。
目線は私の足のまま、ワンコの動きが止まった。
上から見下ろしながらワンコの赤くなる耳を見ていた。
「家じゃないこと、わかってるのよね?」
立ててた足を直してから、添えてた手を払い、硬く興奮してしまっているペニスをパンツの上から踏みつけた。
ワンコは、グっと姿勢を丸め下を向いたと思ったらすぐに私の顔を見上げ。
「あまねさま…っ!」
「わかってないじゃない。こんなに勃起させて。エレベーター、監視カメラで見られてるわよ?」
ワンコは恥ずかしさと、ペニスへの刺激でまた下を向いてしまった。
そろそろ商業施設の階に到着してしまう。
「ほら、いつものキスは?」
下を向いたまま迷いなく手を添え、足の甲に口付けた。
「ほら、人が乗ってくるわ、ちゃんとしなさい。」
ワンコはすぐに立ち上がり、荷物を持ち直した。
額にはじんわりと汗が滲み、頬が赤らんでいる。
「帰るわよ、お家に」
エレベーターが開き、ワンコは急ぎ足でヒールの音についてくる。
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