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アップルパイの奥深さ


年末になると山形に住む親戚中にみかんを配る。時々友人にも。
今年も叔母にもみかんを送ったら、リンゴをくれるというのでもらった。

個人的に、和歌山というところはみかんもイチジクも桃もブドウも美味しいと思ってる。ぶっちゃけ夫との結婚の決め手が和歌山に住むんだから雪かき不要でみかんと梅干食べ放題だったからっていうのがある(両方大好物)。この前息子に言ったら引いてた

が!ごめん、リンゴだけはだめだった。
基本和歌山ではリンゴは作ってない(と、思う)。スーパーで買うことになるんだけどこれがおいしくない。端的に言って不味い。ボケてるリンゴがデフォルトまである。
息子がリンゴ大好きなのに、美味しくないリンゴにあたったときはとても悲しそうな顔で食べている。そんな顔は見たくないぞ、リンゴで!!
最初に食べさせたのが山形から送られてきたリンゴで味覚が肥えたのがあるかもしれないけど。

だから、地元の人からの「リンゴ送ろうか?」っていうのは即答で「嬉しい助かる!!」になる。

届いたリンゴの種類はサンふじ。今年は出来があんまよくないみたいなんだよね、という地元民たちの話を聞いてはいたものの、そのまま食べたらしっかり美味しい。息子も大喜びでした。
ちなみに正月に夫のおばあちゃんにおすそ分けしたら美味しいと喜んでくれた。
叔母よありがとう♡

そんでもって我が家の夫、リンゴがそのままで食べられない。
子供のころに食べさせられすぎて嫌いになったらしい。こういう系の好き嫌い、こいつホント多い。

「リンゴパイ作ったらうまいんちゃう?」
「え、誰が作んの?」
「お前以外に誰が作れるんだよおおおお!!」

作った。


ツヤなしの素朴なアップルパイ。
艶出し用だけに卵を割るのが嫌だった


アップルパイって言うと、個人的にはごろごろと煮たリンゴのフィリングが入った網目状のもののイメージだったんだけど、夫的には違うらしい。
自分が言い出しっぺで、なおかつめんどくさい作り方をしているのに気づいたのか

「もっとぶちゅぶちゅの奴じゃないん?」

くらいの文句で終わってた。完食もしてたし許す。
息子は残してた。こっちはこっちで、煮た果物はジャムを含めて一切受け付けないってんだからなんなんだこいつら。

ぶちゅぶちゅの奴ってなんぞ?って思って考えたら、多分フィリングがジャムレベルのものなんだと思う。わしそんなアップルパイ見たことない。

昔、アップルパイを作ろうとして、どんな作り方があるのかを探していたら、海外のおばあちゃんが超大胆な作り方をしているのを見つけた。
私の中のアップルパイというと、サクサクの層になっているパイ生地にごろごろとしたリンゴのフィリングが入った網目状のもの。
もちろん今はそれだけじゃないって知ってるけど、見た時には衝撃だった。

ここで衝撃だったのはフィリングではなくて、豪快な、本当にお菓子ではなく食事を作るように目分量でボウルみたいなパイ皿に作っていくおばあちゃんと、この動画に出会うまでに見てきた動画で「生地は混ぜすぎてはいけない。冷たいバターを細かく刻んでいって小麦粉と混ぜ合わせて、冷やした生地を畳んで」なんていうレシピなんて知ったことかというくらいに練りまくってる姿。
それでもパイは完成して、たぶん私の知ってるサクサクのパイとは違った触感の、美味しそうなアップルパイになっていた。
古い映画に出てくるような、小さなキッチンでアップルパイを作るおばあちゃんの姿はとても素敵だったな。

お店でもたくさん売られているけど、その種類の違いに驚くこともある。形だけではきっとない。そりゃあお店のそれぞれの味だとかもあるだろうけど、形とか生地の種類とかきっとすごく多いんじゃないだろうか。

調べてみたらすごかった。イギリス、アメリカ、フランスだけでも違ってた。
私の中の網目状のアップルパイはアメリカ式のもので、ラティストップアップルパイというらしい。アメリカのリンゴ(グラニースミス)は酸味が強くて柔らかく煮崩れる。
多分夫が言ったのはこれじゃないかな。ボケたリンゴって言うのは煮崩れしやすい。品種が違えばなおさら。ボケたリンゴで作ろう!消費が目的で作れば、煮崩れも起きる。
新鮮なサンふじではフィリングを作るのに時間がかかる上に、せっかくの美味しさがだめになってしまったかも。

あ!もしかして夫、マックに売ってるアップルパイのイメージで話してた!?(書きながら気づいた)
なるほど、マックはアメリカの会社だから、このアップルパイのイメージで作ったのかもしれない。フィリングがごろごろしてたら機械で入れにくいってのがあるのかもしれないけど。

あとはアメリカ式の中ではグランブルを乗せたものがあるらしい。こちらのほうが素朴さを感じた。

上記のおばあちゃんが作っていたのはイギリス式で、層のあまりない練りパイ生地というものらしい。調べて初めて知った。素朴な味らしくて、これは確かに日本のお店で作るとすれば確かに映えないわな。

面白いのはフランスのもので、まあここはお察し、とにかくしゃれている。
クラシックタイルと呼ばれる花形にリンゴを並べて生地をかぶせずに焼いたものや、ジョソン・オ・ポムというフィリングを生地で餃子のように包んで焼いたもの、あとはタルトタタンがあった。

3国だけでもこれだけあるのに、網目の細かさだとかジョソン・オ・ポムのように包んで焼いたものの形だとか模様だとかシナモンをかけるかけない、チーズを中に入れるだの、レーズンも入っているとか、むき出しになったリンゴの形やはたまた丸ごと半個リンゴが入ったものまであった。

これをアップルパイが大好きな人って言うのは、追いかけるのだろうか。確かに奥深さで言えば追いかける価値はあるのかもしれない。

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