オンライン会議「顔出ししない」は大きな問題ではない。その裏のカルチャーと行動習慣が問題。
オンラインミーティングで「顔を出す」「出さない」が物議を醸しています。僕、個人的には「なるべく顔を出したほうが良いけれども、出さなくても気にしない」派です(むしろ「オンラインで対応してくれてありがとう」と思います)。
・会社のネットワークがプアである
・化粧の手間が大変で顔を出したくない
・部屋の様子を映したくない
・居場所を特定されたくない
・スライド画面共有する場合、むしろ顔のスペースが邪魔になる
などさまざまな事情があるでしょうし、どうしても顔出しが望ましい場においては事前に合意形成しておけばよいでしょう(企画者や司会進行者だけに無駄な気遣いをさせてしまう場合もありますから。反応がわからなくて困るなど)。
会社のネットワーク回線など、今すぐどうにかできない問題もあり(DXが求められる今の時代、きちんと通信環境にも投資してくださいと思いつつ/主張しつつ)、各々のベストを尽くすのが良いと思います。
「顔出し」できなくても、以下のような行動でオンラインミーティングは円滑に進行します。
要は場創りに主体性かつ積極的に参画しているかどうかが大事です。
ところで、「発言しない人は参加すべきではない」なる会議論がありますが、僕はそうは思いません。
・移動中だけれども、話についていくために参加したい→「耳だけ参加」したい
・新入りで、まず場に慣れたい/慣れてもらいたい
・ほかの作業をしながら、呼ばれた場面だけで参画したい/してもらいたい
などさまざまな事情がある中で参加したい人もいる訳で、意見を言わない人を排除してしまうのはどうかと僕は思うのです。
(2023年7月27日発売開始の新刊『コミュニケーションの問題地図』にもたんまり書きました。是非ご一読を!)
また、その意味でも各自が役割やスタンスを明確にして参加したいものです。
「顔出ししない」のが問題なのではなく、「カオナシ」状態かつ「殿様」マインドが問題なのです。
往々にして、オンラインミーティングで顔出ししない習慣が根付いてしまっている組織や個人は、上記のような傾向が強い(そうでない場合もあります)。だから「顔出ししない」が批判されるのでしょう。
また、オンラインミーティングで気配を消している組織の人たちに限って、最後に意見や判断を求めると「私たちでは決められませんので、持ち帰ります」などと言う。必死に意見し、必死にものごとを前に進めようとしている、他の組織の人たちに大変失礼です。JTC(Japanese Traditional Companies)と呼ばれる日系大企業や官公庁に目立つ、マジでヤバイ行動です。
いや、百歩譲ってその場の人たちで意思決定できないにしても(大企業の意思決定の遅さと煩雑さは僕も理解しているつもりです。僕も大企業(3社)出身者ですし、いまも複数の大企業の顧問していますから)、せめてネクストアクション(いつまでに、誰が、何を、どのように決める)は明示するのが筋ではないでしょうか。そのための権限移譲、社内コミュニケーションの見直し、業務プロセス再設計などの組織開発も必至です。なんなら診断します!
なお、このように……
これらの行動習慣や症状をなんというか。大企業病と言います。
あ、ちなみに大企業病は行政機関はもちろん、中小やベンチャー・スタートアップ企業でも発症しますので、ご注意を。
大企業病の症状と打ち手は書籍『うちの職場がムリすぎる。』にたっぷり書きました。きちんと向き合って、正しく治療しましょう。手遅れにならないうちに(もう手遅れな(解体したほうが良い)組織もたくさんあるけれど……)。
もうおわかりでしょう。オンラインミーティングで「顔出ししない」のが問題の本質ではないのです。その裏の組織カルチャーと行動習慣こそが問題なのです。
(あ、もちろん「顔出しして欲しい」と主催者が事前に明言した場合は、極力顔出ししてくださいね。マジで進行しにくいので。「殿様マインド」「お客様マインド」で受け身で参加しているだけではダメですよ)
顔出しする/しないに関わらず、上記のような「カオナシ」状態や「殿様」マインドは組織の経営リスクであり、個人のキャリアリスクでもあります。
それはなぜか? 共創できない残念な人たちになるから。
これからの時代、他社や他者とフラットにつながり、ともに考え、ともに答えを出していく。いわゆる共創はいかなる組織においても求められるでしょう。
自社の看板を盾に、相手の行動を制限したり、「自分たちは変わりません」を貫こうとする殿様マインドな組織は、協力者やファンを遠ざけます。いわゆるブランド棄損になる。そして、何気ない、他者や他社へのリスペクトを欠いた行動が、相手を遠ざけてしまうのです。
(「リスぺクティング行動」については、JMAMさんから2023年8月発売開始予定の新刊でじっくりたっぷり語っています)
ところで、皆さんの組織ではIT環境への投資やITリテラシー向上(含むDX)、ブランドマネジメント、リスペクティング行動、共創……これらのキーワードがどれだけ相互に関連づけて語られているでしょうか? 「ブランド」とか言われた瞬間に、「それ、ウチの部署の問題じゃないから関係ない」って思っていませんか?
そういうところだよ!縦割り、内向き、思考停止したマジでヤバい大企業病マインド!
(まずは社内共創から。そして社内に籠って中だけを見ていたら、いつまでたっても共創マインド身につかない)
共創できない組織、個人は窮地に立たされる場面が増えるのは間違いありません。
(個で言えば、どこにも転職できない、好条件で再雇用されなくなる、など)
共創できないのは経営リスクであり、個人のキャリアリスクです。
そして、オンラインミーティングで顔出しする/しない問題は、そのリスクが浮き彫りになった氷山の一角ととらえ、そこから組織のカルチャーと行動を変えていきましょう。
組織の共創力を高めていくために、オンラインで他者(他社)とフラットに対話やディスカッションをし、フラットに共創する体験を増やしていった方が良い(共創できない組織は、その体験が圧倒的に足りていない)と考えます。
僕たちが運営している『組織変革Lab』は毎月、他社の人たちと同じテーマをともに学び、ともにディスカッションする体験の場の意味もあります。
最初はオンラインミーティングすら慣れていなかった大企業の人たちが、徐々に意見やコメントをすることに慣れ、3回も参加するとファシリテーションやチャットや画面共有などを活用した場づくりがうまくなっていく。
その変化と成長のさまを僕たちも日々見て、感動しています。
毎月のテーマは「DX」「1on1コミュニケーションの本質」「ブランドマネジメント」「リスぺクティング行動」「ダイバーシティ&インクルージョンの本質」「これからの時代のマネジメント」「これからの時代の管理部門のあり方」「エンゲージメント2.0」など、組織と個が共創体質に変わっていくための必須教科を厳選しました。
これらのテーマに自分たちごととして向き合いながら、問いを立て、他者(他社)とフラットに対話して解決していく。
このような越境学習、越境体験の場も組織として増やしていってください。
繰り返します。
共創できない状態は、これからの時代の組織と個の経営リスクです。
治していきましょう!
以下、その他の参考書籍とプログラムです。夏の読書にどうぞ!