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文化度の高い地域や企業に良い人が集まる⇒文化度上げていこう

「人口流出をナントカしたい」
「(他都市の人たちとの)関係人口を増やしたい」

さまざまな地域でこの声を聞きますし、僕(浜松市在住在勤)のこのブログや書籍でもそのための提言や具体的な取り組みを発信してきています。

その土地や企業に意欲的な人が集まるかどうか。その一つに文化度の高さがあると思います。

文化度(カルチャー)については、先日公開したこの記事でも触れていますので参考にしてみてください↓


1.仕事や共創の場を創っただけでは不十分

最近、僕たちの活動の拠点である静岡県西部や愛知エリア(東海エリア)にも、スタートアップ支援拠点や、大企業と中小企業、地域間の企業が共創する場が増えてきました。
たとえば、愛知県では「STATION Ai(ステーションエーアイ)」のような取り組みも始まっています。

地域に面白い仕事、先進的な仕事、共創の場が増えていく。それ自体は大変すばらしいことだと思います。
東京などの大都市の企業のお金や人との交流も起こり、地域にいながらにして他地域や他企業の知識や意欲と出会うことができる。こういう取り組みはどんどん広がって欲しいと思いますし、僕たちも他都市の企業エグゼクティブやインフルエンサーを積極的にお呼びしています。

一方で、静岡県にしても愛知県にしてもそうですが、いわゆる中京圏や東海エリアはまだまだ文化や行動が製造業型の労働集約型、集団主義的といいまようか、固定的な価値観や働き方の呪縛が強すぎる

やっとこさ、企業間共創やスタートアップ支援のような場はできたのかもしれないですが、ビジネスパーソンはもちろん、クリエイターやデザイナー、企業エグゼクティブなどが都市部の喧騒を離れて非日常的なリフレッシュを楽しみながらクリエイティブな活動をしたり、意見交換や創発をする場所……どころか文化そのものがない。すなわち、文化度が低い

この文化度のギャップ(東京や海外の大都市と比較して)は、地域に面白いコトを興し続けたり、他地域の意欲的な企業や人を求心し続けるには大きなハンデだと思うのです。

2.文化度が高いとはどういうことか?

たとえばテレワークやワーケーションや企業間共創などに意欲的に取り組んでいる(またはあたりまえの業務プロセスとして取り入れている)企業や地域は、目先の成果だけではなく、中長期的な発想やクリエイティビティを大切にしている訳です。

このような企業や地域に対して、「ああ、文化度が高いな」と僕は思います。

一方で、製造業型の画一的な文化や同調圧力が強すぎて、目先の生産性しか評価しない、目に見える即の成果しか認めない。お金も出さない。そのような企業や地域に対しては、「文化度が低いな」と思ってしまいます。

そして文化度が低い(および上げようとしない)企業や地域に対しては、「そりゃ、若手や意欲ある人などは幻滅して他に行ってしまうでしょう」と思うのです。

なお、ここで言う文化度とは単に歴史があるとかそういうことではありません歴史ある都市でも、男尊女卑の文化が色濃かったり、文化度の低い(アップデートされない)残念な土地はたくさんあります。明言は避けますが。

3.インプットの選択肢の多さが、アウトプットの質を決める

文化度が高い、イコール、その組織や地域にさまざまな情報(とりわけ一次情報)に触れたり、さまざまな体験をする選択肢が多いととらえることもできます。

なおこの着眼点は、ちょうど今日、東京から浜松にお越しくださったU-29(ユニーク).com 代表の山崎貴大さんと「さわやか」でランチミーティングしながら創発されたものです。

U-29(ユニーク).com 代表 山崎貴大さんと浜松市内にて

この図をご覧ください。僕が最新刊の『コミュニケーションの問題地図』や『職場の問題地図』などでしつこく出し続けている図です。

『仕事の5つの要素』(出典:『職場の問題地図』『コミュニケーションの問題地図』ほか)

仕事(プロセス)の5つの要素を示したもので、業務改善や組織開発に活用いただきたい図ですが、この図で文化度とクリエイティビティについて考えてみましょう。

文化度の低い組織や地域は、単一あるいはいままでと同じインプット(情報、感性、体験など)でもって、アウトプットを出させようとする。

しかしながら、それでは新たな発想やクリエイティブなアイデア、ひいては世の中を感動させるような質の高いアウトプットを生み出すことは難しいでしょう。いわば「無理ゲー」

文化度の高い組織や地域は、地域内外さまざまな人たちと交流しながら、さまざまな情報(とりわけ一次情報)に触れ、さまざまな体験をし、それらをインプットとしながら、プロセス(思考、行動、共創、意思決定)を回して、クリエイティブなアウトプットを生む

文化度の高さは、インプットの多様性であり、体験の多様性の産物。こうして、クリエイティブなアイデアや良質なアウトプットが生まれます。

4.文化度の高さと景色の選択肢の多様性は比例する

文化度の高さと、景色の選択肢の多さは比例すると僕は考えます。

たとえば長野県の軽井沢。最近では多拠点居住やワーケーションの土地として名を馳せていますが、軽井沢のような土地は古くから別荘地として、かつ企業エグゼクティブ/起業家/投資家/クリエイター/文化人などが集い、サロンのような交流や意見交換と言いましょうか、今で言うところのワーケーション的な取り組みが呼吸をするようにあたりまえに行われていました。

都心とは離れた静かな環境で(ときに秘密裏に)、さまざまな人と出会い、知の創造や共創がおこなわれる。その景色の選択肢の多さが、クリエイティビティの高い人たちを求心し、文化度を高めている

ワーケーションのような文化度の高い取り組みをあたりまえのようにおこなっている企業や地域の人たちに、「ワーケーションの効果は?」「成果が出るのか?」などを問うのは野暮であり、それこそ文化度の低さを露呈するようなものでしょう。

(とはいえ企業として投資する以上効果は気になるところであり、ワーケーションをおこなう大義名分や効果のデータやエビデンスは僕ももっていますので、気になる方は書籍『新時代を生き抜く越境思考』などをお読みになるか、講演依頼・顧問依頼を)

そして、軽井沢や伊豆のような、日常の喧騒を離れた越境コミュニケーションや共創が行われる土地およびそこでお金を使って時を過ごす文化がそう遠くない場所にあることで、東京近郊の文化度も高く維持できてきたのではないしょうか。

翻って、愛知県や静岡県などの中京圏・東海エリアに軽井沢のような文化度が高くかつ非日常的な知の創造や共創をおこなうことのできるリトリート(保養地)的な選択肢があるか?

そもそも「名古屋には遊ぶ場所がない」などとよく言われ、その意味でハンデあると言えばそうなのですが(だからリトリート&共創的なカルチャーが生まれにくかった部分も大きいのかしら)、名古屋近郊だけで考えるからそうなる。

地域広域でとらえればそうでもなく、下呂温泉、知多半島、渥美半島、蒲郡、奥三河、奥浜名湖……など風光明媚な観光地はたくさんあります。ただ、現時点では単なる点としての観光地でしかない。これ、ものすごくもったいない!

これらのエリアや都市が、いくら観光PRをしたところで、観光客に消費されるだけで新しいカルチャーや事業の創造や創生は期待できません。なにより、観光・レジャーはレッドオーシャン(競合が多い)でもあるでしょう。

せっかく、スタートアップの創業や企業間共創がうまれてきたからには従来の延長線上の観光PRではなく、他都市の企業エグゼクティブや投資家、クリエイターやインフルエンサーなどがそこに時間とお金を使って、コトをおこしたくなるような場や動線を創る。そして、地域の企業や地域の人たちとの知の創造と共創が起こる仕組みや仕掛けを創っていく。地域の点ではなく線や面で、ストーリーやコトを体験として創出していく。その所作が欠かせないでしょう。

せっかくビジネスや共創を目的に、東京など他都市の企業の人たちが来始めているのだから、その動線を活かさないのはもったいないです。

ところが地域の中の人だけでは、新たなカルチャーを生むような発想が起こりにくい。悪気なく場所だけ作ってオシマイ、観光PRしてオシマイになりがちです。

新しいカルチャーを創るには、よそ者、若手、および現地でモヤモヤしている人たちとの共創および世論形成こそが重要でしょう。

僕たちも他都市の企業のエグゼクティブ、大学教授、気鋭のクリエイターやインフルエンサーなどにお声がけし、当地(浜松や豊橋など)を体験いただきつつ知の創造をおこなっています。
(僕たちが実践・推進している #ダム際ワーキング もその一環として機能し始めています)

「幹部合宿や中長期の事業計画ミーティングに良さそうだ」
「クリエイターの創造のフィールドとして大変良い」
「目先の仕事を忘れ、中長期の発想が浮かびやすい」

など、地域の人にはない着眼点や感性で、地域の魅力や可能性を言語化してくれ、越境と共創の威力を日々感じています。
(そして、地域に新しいカルチャーを創るための検討もいくつか始まっています)

東京の企業エグゼクティブ2名と、地域企業の担当者とのアイディエーション #ダム際ワーキング
佐久間ダム(浜松市)にて
首都圏の大企業、東京都・沖縄県のスタートアップ企業の経営幹部、
地域企業の担当者とのアイディエーション 三ヶ日(浜松市)にて

このような、いわば地域広域のサービスデザインや、共創体験設計は中京圏や東海エリアの地域広域の文化度を高め、求心力を高めていくためのキーだと思うのです。

もちろん歴史ある軽井沢と同列に語ることはできません。
同じ方向を目指さなくてもまったく良い。新たな着眼点で、独自の文化度を高めていく方法はいくらでもあるでしょう(そのための共創ディスカッションを僕たちも進めています)。

また、(そもそもその文化のある)東京などの他都市から来た人たちがリトリート&共創のような行動を地域で始め、そこに地域の人たちがのっかる。それでも良いでしょう。

最近は、瀬戸内(せとうち)などでも新たな共創カルチャーが生まれはじめていますね。好事例の一つだと思います。
イノベーターや企業エグゼクティブはもちろん、クリエイターやデザイナーが活躍していたり、いきいきと仕事している土地は「文化度が高い」と僕は思います。

また、勉強する人や成長意欲ある人が笑われるような地域や業界も「文化度低っ」て思いますね。以前、こんな記事も書きました↓

5.流動性と文化度の高さも比例する

こうして面白い人、意欲的な人、クリエイティブな企業が地域に流動するようになれば、地域の意欲的な人も集まり(残り)、それが面白い共創を生むでしょう。変わり映えしないメンバーだけでわちゃわちゃやっている土地に、刺激やチャレンジを求める人が居つくはずがありません

「またこの地域に来たい」
「この地域と関わり続けたい」

他都市の人たちに、あるいはその地をいったん出ていった人にそう思ってもらえるかどうか?

地域の流動性を高めることは、意欲的な人たちの人口流出ストップにも間違いなく効果がありますし、地域の流動性を高めるためには文化度を上げていかなければならないのです。文化度の低い土地に、他都市の面白い人たちは見向きもしませんから。

越境と共創。地域開発の文脈でも向き合っていきましょう。
そのための体質改善の顧問や講演なども、僕たちは喜んでお受けします。

景色を変えていこう!

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