誰のホームでもない土地だからこそフラットな対話と共創が進む~ #ダム際共創ミーティング (佐久間ダム・秋葉ダム)で感じたこと
2024年3月13日(水)。 #佐久間ダム際ワーキング 推進協議会 大見拳也さんの主催で浜松・佐久間ダムと秋葉ダムを舞台に、 #ダム際共創ミーティング が開催されました。僕も協議会メンバーおよび #ダム際ワーキング 推進者(および基調講演者)として終日参加。花粉に若干おびえつつも(苦笑)、その越境と共創の景色を綴ります。
なお、 #ダム際ワーキング および #佐久間ダム際ワーキング については以下のサイトをご覧ください。
集合は佐久間ダム(天竜)。前日までの土砂降りが嘘のような晴れ空。絶好のダム日和です。
静岡県内のみならず、愛知県、三重県、長野県、東京都など全国各地から企業経営者/都市開発や地域開発の推進者/組織開発の推進者/メディアの編集者などがダムに集いました。業種も職種も様々。
一行はダム際での挨拶もそこそこに(ダム際で名刺交換が始まる景色、僕すごく好き)、まずは佐久間電力館を見学。
佐久間ダム(および天竜川流域の複数のダム)の管理元である、電源開発(J-POWER)の野崎さんも駆けつけてくださいました。ダムの構造、意義や特徴などを解説していただき最高の学習体験をすることができました。
主催社も参加者も、そして地域のダム管理者も同じ景色を眺めながら対話。
そして、野崎さんは僕と同世代で個人的にも会話が弾みます(笑)
ダムの雄大な景色を眺めながらの散策と対話で、初対面の参加者同士でもお互いの人となりが分かるようになります。
ここからランチタイム。佐久間ダムの下流、秋葉ダム際にある三角屋さんに到着。
主催の大見さんの仕切りで、参加者は事前に豚汁定食かかつ丼のいずれかを選択。僕は豚汁定食をいただきました。
豚汁とボリュームたっぷりのミックスフライ……最高でした! 食事と会話にあまりに夢中になり、写真撮影を失念。
【追記 20240317】
……とこのブログで発信したら、参加者の一人であるコジマユウイチロウさんが写真を提供してくださいました。コジマさん、ありがとうございます!これぞ共創!
食後の運動を兼ねて、秋葉ダムを散策しました。
吊り橋の真ん中からは、真正面に秋葉ダムの堤体が!運が良いと放流シーンもここから眺めることが出来ます。ここにずっと佇んでいたい……
ここからグループディスカッションの会場へと、天竜川に沿ってクルマを走らせます。
会場は天竜区 月(つき)にある古民家リノベのスペース。
小説のタイトルにもなった「月まで3㎞」の標識をくぐり、一行は月へ。
道すがら、気の早いソメイヨシノの花々が綺麗でした。
と言う訳で、月面着陸しました。本日のグループディスカッションの会場はこちら。
古民家を改装したシェアキッチン・レンタルスペース、その名も「再生庵」さん。今年3月1日にオープンしたばかりで、さまざまな活用方法を模索中とのこと。
秋葉ダムと下流の船明ダムに挟まれた、まさに #ダム際ワーキング スポットと言えるでしょう。少なくともダム好きには楽園のような場所です。住みたい……
ここから参加者も増え、さらに賑やかに。
冒頭は各自の自己紹介、大見さんによる今回の趣旨説明と再生庵さんの紹介、そして #佐久間ダム際ワーキング の歩みと地域課題などが大見さんより投げ込まれました。
この後、僕(沢渡)が10分程度の基調講演を行いました。
#ダム際ワーキング およびワーケーションの事例と意義、越境と共創の意義、そしてこの後のグループディスカッションのためのネタをいくつか投げ込みました。その講演スライドを以下に掲載しておきます。
ここからグループディスカッション。3つのグループに分かれ、
・(今日)佐久間・秋葉を散策して感じたこと
・ダムのある中山間地の利活用方法
・参加者それぞれの組織課題や地域課題を解決するために考えたこと
などをざっくばらんに話し合います。
今回のプログラムを通じて、僕は改めて実感しました。
佐久間ダムも、秋葉ダムも、いわば参加者誰のホームでもない(地域在住の皆さんに参加いただくパターンもありますが)。
いわば、すべての参加者にとってサードプレイス(自宅でも職場でもない第三の場所)である。
だからこそ上下関係も取引関係もない、フラットな関係で自己開示をし、相互理解をし、対話をする効果が生まれるのではないかと。
これが「当社のオフィスにお越しください」だったら、自分たちと相手との間にどうしても「ホーム」「アウェイ」の感覚が生じてしまう。
もちろん、お互いのホームを見に行くのも大事ですが、今回のような異業種の越境学習や共創活動はなおのこと、どちらのホームでもないアウェイなサードプレイスで行うのが良いのではないかと感じました。
(その意味では、オンラインミーティングもどちらのホームでもない中立的な空気の意義と効果を僕は感じています)
組織内に閉じた業務合宿や研修会なども、日頃のホームの景色を離れて、それこそダムのある中山間地などのアウェイな場所で開催してみる。
そうして、フラットな心持ちと関係で対話やディスカッションをしてみる。十分アリだと思います。
組織や立場を超えて、フラットな対話やディスカッションをする。お茶とお菓子を囲み、余白を愉しみながら振り返りや未来の対話をする。
いずれも北欧カルチャーであり、僕は今回のこの #ダム際ワーキング の越境活動にも北欧の景色を感じました。
森と水に触れ、リトリートを愉しむ。その行動習慣もダム際と相性が良い。
僕は日本に北欧の良きカルチャーや行動習慣をインストールしようと行動しているのですが、ダムのある地域は北欧文化を体現するのにも適していると実感しました。
今回のイベントを経験した皆さんから「ワーケーションの見方が変わった」「地域も組織も世代も異なる人と、さまざまな考え方を交換することができた」「日頃、会社でなんとなくモヤモヤ思っていることを話すことができた」そして「自地域や自組織の課題解決のヒントを得た」など、色とりどりの感想をいただきました。
このような越境学習は体験してみないと良さや可能性を実感できない性質も強く、体験資産を組織と個人に増やす意味でも、日本の多くの組織の人たち〜とりわけ新規事業創造や人材開発などを生業とする人たちはまず体験して欲しいと僕は強く思います。
「虫の目」(近視眼的な発想や思考)をいったん忘れ、「鳥の目」(中長期的かつ俯瞰的な発想や思考)でものごとを見つめてみる。普段とは異なる環境に越境してみるのは、その効果や意義も間違いなく大きいです。
体験資産(経営)については以下の記事もご参照ください。
最後に天竜川最下流(抑えの投手)、船明ダムに挨拶して夕闇迫る天竜の地を後にしました。
そして今回の体験を、2日後の3月15日(金)に僕は浜松市長を訪問しインプット。浜松および中山間地のダムのある町で起こっている変化、#ダム際ワーキング の意義、そして越境学習の価値を市長にも知っていただき、市としても後押ししていくとの声をいただきました。
#ダム際ワーキング は全国のダムのある地域でどこでも実践可能です。皆さんも自地域で是非実践してみてください。ご相談なども喜んでお受けします。
以下の記事も宜しければご覧になっていただけたら!
越境学習と #ダム際ワーキング およびワーケーションの意義と実践事例は以下の書籍で解説しています。あとがきに佐久間ダムも登場。