ワーケーションは、短時間で「同じ釜の飯を食う」体験をするアジャイルなチームビルティングプロセス
週末、長野県の佐久穂町と佐久市のワーケーションに弾丸で参加しました。
1.なぜわざわざ佐久穂町と佐久市に?
元総務省で現在は一般社団法人官民共創コンソーシアム理事、一般社団法人日本ワーケーション協会理事などを務められている箕浦龍一さんと、ユニリーバ・ジャパン・ホールディングスの人事総務担当取締役 島田由香さんが、翌日現地にてオンラインイベントに登壇。前乗りしてワーケーションをされるとのことで、私もジョインしたのです。
箕浦さんとは、10月21日に金沢で金沢市長も交えて対談することになっており、その前にお会いしたかったのもあります。
2.ダムを経て佐久穂町そして佐久市へ
私は浜松から参加。早朝に出発し、南相木ダム(南相木村)、古谷ダム(佐久穂町)をしっかり回って #ダム際ワーキング した後……
佐久穂町の人気店「カレー屋ヒゲめがね」さんに合流。
その後、「ワークテラス佐久」さん(佐久市のコワーキングスペース)
「mikko」さん(佐久穂町のドーナツ屋兼コワーキングスペース)
「秋葉屋」さん(佐久穂町の元駄菓子屋コワーキングスペース)
と回り、夜は「キッチンえみゅー」さん(佐久穂町のカフェレストラン)で現地の皆様も交えてオープンにディスカッションしました。
3.都心のオフィスで会う方が効率が良いのでは?
こんなにも慌ただしく移動して、実りのあるディスカッションが出来るのか? 相互理解が深まるのか? そう思われるかもしれません。
「東京のオフィスでじっくり会議したほうが、効率が良いのでは?」
そう思われる方もいるでしょう。ところが、このワーケーションでは、自分でも信じらないくらい、出会った皆さんとの共感と次のアクションが生まれまくりました。それはなぜか?
4.景色の変化×テーマへの共感=短い時間の化学反応 を生む
ここから、私なりの振り返りと考察です。
(1)景色の変化が雑談と対話を生みやすくする
都心のオフィスとは違い、すべての参加者にとってアウェイな土地。しかも、里山や湖のリフレッシュできる異空間。その景色と異体験が、私たちの心をオープンにし、なおかつ初対面同士の人であっても会話をする「ネタ」を提供してくれる。そこから、仕事に関係する話もナチュラルに弾む。
(これだけ激しく移動すると、常に「ネタ」が提供されている状態になります)
ワーケーション環境は、いわばアイスブレークのネタと対話のきっかけの宝庫なのです。
(2)同じテーマに共感した人が集まっている
とはいえ、ただ単に雑多に人を集めただけではうまくいきません。単なる、団体ツアー旅行で終わってしまいます。
今回のワーケーションが有意義だったのは、同じテーマに共感した人が集まっていたからだと実感しました。
箕浦龍一さんと私は、直にお会いするのは今回が初めてでしたが、数か月前から共通のコミュニティ(金沢イノベーションハブ研究会)でオンラインでお会いしていました。島田由香さんはもちろん、他の参加者の皆さんもワーケーション、ワークスタイル、DX、組織開発、人材開発など私と同じ分野の専門家です。
初対面であっても共通のプロトコルで話が出来た、ゆえにラポール(信頼関係)を築きやすかった。
箕浦さんをハブにして集まることが出来たのも、とても大きかったです。箕浦さんが、いわゆるコミュニティマネージャーの役割を果たしてくださったことで、同じテーマや世界観に共感する人が安心して集まることが出来た。
だからこそ打ち解けるのも早かったし、そこから先のコラボレーションも短時間で生まれたのだと確信しています。
そもそも、わざわざ遠く離れた山の中に来てまで初対面の人と仕事の話をしよう、勉強しようなんて思っている時点で、既に同じ世界観にディープに共感しあっているのです。そりゃ、そこから先の話もはやいに決まっています。
また、後日お互いのことを思い出しやすいリマインド効果も大きいでしょう。
東京のオフィスビルの会議室で誰と何を話したかなんて、よっぽど印象的でないとすぐ忘れてしまうかもしれません。
「佐久穂町のカレー屋さんで盛り上がった、あの話」
「松原湖のイベントでお会いした、あの人」
「南相木ダムでお話しした、新しいコンセプト」
このように異空間の景色で出会った人、アウェイな環境で交わした対話のほうがお互いの記憶に残りやすく、相互にリマインドしやすいのです。
式で表現すると次の通りです。
景色の変化×テーマへの共感=短い時間の化学反応(及び長期記憶)
ワーケーション、マジ凄くないですか?
5.ワーケーションとは、短時間で「同じ釜の飯を食う」体験をするアジャイルなチームビルティングプロセス
今回、私はワーケーションにまた一つ新たな意味を見出しました。
ワーケーションとは、短時間で「同じ釜の飯を食う」体験をするアジャイルなチームビルティングプロセスである。
旧来の日本型の組織では、人間関係や信頼関係は時間をかけて熟成させるものでした。5年、10年、20年と同じ組織で共に過ごすことによって、いわば「同じ釜の飯を食う」ことにより相互理解を深め、チームとしてのパフォーマンスを発揮する。
しかし、今回のワーケーションはその常識を覆してくれました。
良く設計されたワーケーションでは、初対面の人同士が、短時間で「同じ釜の飯を食う」体験をすることができる
ワーケーションは、スピーディー&アジャイルなコラボレーションが求められるこれからの時代において、間違いなく強力なチームビルディングのプロセスになりうる確信を私は得ました。
今回ご一緒してくださった皆さん、本当にありがとうございました!
私なりに言語化したワーケーションの意義は、2022年3月発売の新刊『新時代を生き抜く越境思考』でたっぷり(1章割いています)、そして以下の過去記事でも発信しています。
引きつづき、景色を変えていきましょう!
▼『組織変革Lab』
~DX/組織変革推進ファシリテータ育成のための、オンライン・越境学習プログラム(企業・行政向け)(講義+ディスカッション形式)
▼書籍『バリューサイクル・マネジメント』
▼『沢渡あまねマネジメントクラブ』~組織変革、DX、働き方改革、ダイバーシティ推進、業務改善を目指す方のためのオンラインコミュニティ