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「若者の人口流出を止めよう!」→それ、オトナの一方的な押し付けでは?
若者や女性の人口流出が全国的に問題になっています。
各自治体、いかにその土地で生まれ育った人たちに地域住民で居続けてもらうか? 生まれ育った地域にとどまってもらうか? 策を講じています。
若者や女性にとって魅力的な地域にしたい。その姿勢はとても美しい。
しかし、人口流出させないことが本当に良いことなのだろうか?
最近、私はどうもモヤモヤを感じるのです。
それどころか、むしろ一回地域から出て働いたり、学んだりする経験を積んだほうが健全ではないかと私は(あくまで私は)確信しています。
私も今いる浜松をはじめ、いくつもの地方都市を見て回ってきて、イノベーティブな経営者や、地域を本気で良くしたい行政のトップや責任者と出会ってきました。
そのような人たちは例外なく地元をいったん離れ、他都市(含む海外)や他業界で働いて戻ってきているのですね。
外を知らない人たちは、悪気なく今いる世界の理不尽に気付かなかったり、同調圧力で他人に同じ行動を強いたりします。
それが地域の健全な発展を妨げたり、他地域から興味をもって地域に来てくれるファンに塩対応を浴びせ、ファンをアンチに変えてしまったりする。
でもって、そういうムラ社会的な空気が嫌で、若手や女性が外に出て行ってしまう訳です。
この話は、地域のみならず企業組織や官公庁組織にも通じます。
いずれも、生え抜きプロパーだけではそのコミュニティは健全に維持・成長しない(断言)
私は思うのです。
人を地域から流出させない。それは、地域のオトナたちの一方的な押し付けではないかと。
どんなに住みやすい(とオトナたちが思っている)地域であっても、人間関係が固定化されると窮屈に感じる人っていると思うのですよ。
多感な若者であればこそ、地域の学校などでの人間関係で固定化されたくない。当時のキャラクターや周りの人たちとの関係性をリセットしたい。そう思う人が出てきても当然です。
私自身も神奈川県の郊外(田舎)で育ち、地元のカルチャーや人間関係がどことなく窮屈で、流出してしまった人間の一人です。
(2022年3月発売の新刊、『新時代を生き抜く越境思考』でも触れました)
なんていうか保守的な人、現状維持を好む人が多い土地でした。
地元最高!と思うのは良いのですが、不便や改善点を指摘するとイヤな顔される。
オトナになるにつれ、なんとなく地元のカルチャーに居心地の悪さを感じるようになりました。
加えてかつ私が通っていた公立の中学校は、当時お世辞にも治安が良かったとは言えませんでした。
地元にずっといると、昔たまたまクラスが一緒だっただけの現役マイルドヤンキーみたいな人に遭遇するのですね。別にこちらはもはや関わりたくないのに、当時のノリや人間関係でもって、無邪気に距離をつめてこようとする。
正直、めんどくさい。当時のキャラクターや人間関係で、自分のいまを上書きされたくない。
そういう煩わしさもあって、私は東京の大学に進学したのを機に、社会人の数年目までは自宅から遠距離通学・通勤しつつも、そこから地元を離れてしまいました。
自分の飽きっぽい性格もあるのかもしれません。新しいものごとに触れたかった。
風光明媚な良い土地ですし、生まれ故郷とは「たまに訪れるくらいの関係」が心地よいと私は判断しました。
自分の生きる土地は、自分の意思で選びたい。
でもね。そういうものではないでしょうか?
結果として私は地元に戻りませんでしたが、戻ってくる人もたくさんいます。
住環境(特に自然環境)も決して悪くはなく、あたたかい人もたくさんいます。それが気に入って、新たに移り住む人もたくさんいます。
それで良いじゃないですか。
地域のオトナたちが、地域で生まれ育った人たちを外に出そうとしない。景色を変える選択肢を奪う。それは本人にとっても地域にとってもアンハッピーですよ。
地方都市やレガシーな組織の問題は人口流出ではなく、人口の流動性がないことである。私はそう確信しています。
先日、こんな記事(↓)も書きました。このくだりも新刊『新時代を生き抜く越境思考』で取り上げて強調しています。
流動性のない地域も組織も、不健全になりがちです。
アップデートされない人間関係やカルチャーが窮屈で、自分のキャラクターや価値観のアップデートさえも許してくれない同調圧力的な空気がイヤで、若手や女性がその土地を出て行ってしまうのです。そして、戻ってこないのです。
越境する。流動性を高める。
この2つが地域や組織の健全な維持・発展にものすごく重要だと私は感じてています。むしろ、その土地で地域活性を考える人や行政の職員こそ、外に出て、外を経験したほうが良いとさえ思います。
(今の時代、地域に居ながらにして越境する方法もあります。これまた詳細は『新時代を生き抜く越境思考』で)
つねに流動する地域をどう創っていくか? 人が適度に出て行って、適度に戻ってくるまたは新たな人が自らの意思で入ってくる。 そんな地域を創るにはどうしたらよいか? どうカルチャーを変えていったらよいか? そこに力入れませんか?
「集まり散じて、人が変わる」が適度に行われるコミュニティ。
地域に関して言うと、私は「環境は田舎だが、マインド(カルチャー)は都会」が理想だと思っています。そして、環境は田舎だがマインドは都会なコミュニティを創っていきたい。
しかし、理想を語っているだけでは、文句を言っているだけではダメですね。
近いうちに、そのための自分なりの小さな行動を興します。
改めて、このブログや「沢渡あまねマネジメントクラブ」などでお知らせしますね。
▼地域活性、地方創生、組織開発推進者の必読書!新刊『新時代を生き抜く越境思考』
▼沢渡&変革仲間とディスカッションしましょう!『沢渡あまねマネジメントクラブ』
▼地方都市の参加企業も増えつつあります!企業・行政向け越境学習プログラム『組織変革Lab』