知って欲しい。郵送と言う名の、悪気ない迷惑行為を
プライベートなお手紙や贈り物はさておき、ビジネス(仕事)の請求書・注文書・注文請書・依頼書・通知・広告宣伝……などの郵便物を送り付ける/あるいは送れと言う。それが相手(特に事業主)にとって、いかに悪気ない迷惑行為であるかを知って欲しくて筆を執りました。
0.なぜ、ビジネスにおける郵送が困りモノなのか?
時代はニューノーマルに進化しました。
今の時代、相手が法人または個人事業主登録(登記)している居住地に常駐しているとは限りません。私もそうですが、シェアードオフィスやコワーキングスペースなどを借りて法人登記する人もいます。
多拠点生活で、たとえば自宅が東京にあって法人を福岡のシェアードオフィスで事業を興し運営している人もいます。
全国を忙しく飛び回って活躍している事業主もいます。
ワーケーションのような働き方も徐々にですが増えてきていました。ちなみに、ワーケーションは政府(主に観光庁)や自治体も推奨している働き方です。
テレワーク・リモートワークも、ニューノーマル時代の働き方として定着してきましたし、これまた政府(主に総務省)も推奨している働き方でもあります。
事業主だけではなく、サラリーマンもテレワーク・リモートワークで勤務先にほとんど行かない人もいまや珍しくありません。
……にもかかわらず、ある日突然郵便物を送ってくる/送れと言う。
想像してみてください。それがどれだけ相手にとって迷惑か?
1.そもそも郵便物を受け取れないし、気づけない
そもそも郵便物を受け取ることができない。オフィスにいるとは限らないのだから当然です。それどころか、郵便物が届いたことに気づくことすらできない場合もあります。
悪気なく、1か月近く送られてきた書類の存在に気付かない、気づけないことも。
中には「〇月〇日までに急ぎ対応願います」のような期限付きの書類をいきなり送り付けてくるケースも。
いやいや。期限付きで相手に依頼するなら、かつ相手に急いで欲しいのなら、なおのことメールやメッセンジャーで連絡寄こしなさいよ。
まるで、他人に急ぎでものを頼む態度ではない。
私のように、シェアードオフィスを利用している人であっても、スタッフさんに代理で受け取ってもらうのも手を煩わせるようで申し訳ないですし、油断するといつのまにか自分の郵便受け取りBOXが書類でいっぱいになります。
シェアードオフィスを利用していない人であっても、不在時に何度も訪問させるのも配達員さんに申し訳ないでしょう。
2.相手がプリンターを有していない場合も
さらには、「印刷して郵送(返送)せよ」と要求される場合。
シェアードオフィスを利用している人、自宅でテレワークをしている人、多拠点生活をしている人などの場合、プリンターが手近にない場合も。
ペーパーレス化が進み、たいていのことは電子で済みますからもはやプリンターなど持っていない人もいます(私も手放しました。スペースとって邪魔ですし)。
ではコンビニエンスストアの複合機を使えばよいではないか?
これまたいろいろ面倒くさい。まずもって、わざわざコンビニエンスストアまで行かなければならない。
さらに、送られてきた元ファイルがWordやExcelなどの形式の場合、PDFに変換しないとコンビニエンスストアの複合機は読み取ってくれません。
加えて、機種やソフトウェアのバージョンによって「ファイルが壊れています」とか「読み取れません」とか、空気読まず屁理屈こねやがることがある。
「そういうこと言うから、プリンター嫌われるんだ」
「つべこべいわずに、黙って印刷しやがれ!」
何度心の中で叫んだことか(苦笑)
でもって、他店にいくとフツウに読み取れて、フウツに印刷できたりする。
あまりに面倒くさいので、全国出張が多かった(最近はほぼリモート対応になったので減りましたが)頃はプリンターをクルマに積んで移動してホテルの部屋に持ち込んでいました。
ただ、ある時クルマの振動にやられたのか、インクが漏れて酷いことに……
以来、紙書類の印刷・郵送は断固としてお断りしています。あるいは事務作業サーチャージ(追加料金)を請求しています。
(プラス、いまはスタッフにお願いしているため個人的にはストレスは減りましたが)
事務作業サーチャージについては以下の記事もご覧ください。私の周りでも運用を始める人が増えていて嬉しい限りです。
3.郵便局やポストがない
これまた意外と生活動線や、あるいは出張の道すがらになかったりする。
「ポストあった!」と思ったら、よりによって国道の反対車線orz
そのためにわざわざ道を渡ったり、クルマで折り返すのもバカバカしく、そのまま走っていたら高速道路に乗ってしまった……みたいなことも。
そのパターンで、東京で用意した東京の企業宛ての書類を、ようやく投函できたのが一宮(愛知県)だったなんて経験もあります。
特に厄介なのが「書留で遅れ」と要求してくるケース(たいてい、お断りするか無視して普通郵便で送りますが)。
これ、忙しい人や地方で暮らしている人、移動しまくっている人のハードルめちゃくちゃ上げます。
郵便局をわざわざ探して、かつ営業時間内(ほぼ平日の日中時間帯)に行かなくてはならない。
いったい何の罰ゲームでしょう。そのヒマがあったら、本業で価値を出したいですよね。無駄に人を移動させるのも、SDGs的にもどうなのでしょうか。
4.悪気なく投函を「忘れる」
ポストへの投函。忙しい人であればあるほど、悪気なく忘れます。
特にイノベーターや、もの書きや、芸術家など、ルーチンワークやオペレーションが苦手な人は、頭の中がつねにとっちらかっていたりしますから、郵便物の投函など覚えていられない(そういう特性だと思ってください)。
私も郵便物をクルマの助手席においたまま、投函行為を忘れ(あるいは、思い出した時には 3.郵便局やポストがない 事象に遭遇し)2週間近く投函できないままでいることもあります。
投函を覚えておく。そのために相手の脳内のキャッシュメモリ(一時記憶領域)やリソースを奪うのも宜しくないですね。
メッセンジャーやメールのやりとりであれば、忘れそうなら受け取った直後に返せますし、代理人への転送依頼もしやすい。また、返信し忘れにも気づきやすいです。リマインドもしやすく/されやすいです。
5.おわりに
「法人登記、事業主登記しているのだから、郵便物を送り付けて何が悪い」
「郵便物を受け取ったり送ったりするのも仕事だろう」
そうおっしゃる方もいらっしゃるかもしれません。
でもね、それは旧ノーマル(キューノーマル)の発想だと思うのですよ。
法律がそうなっているから、仕方なしに便宜上自宅あるいはシェアードオフィスやレンタルオフィスを借りて住所登録している人もいる訳で……
そもそも物理住所で働く人や、事業活動そのものを縛る考え方がもう壊滅的に古いと思うのです。竪穴式住居の時代から進化していない。
なにより、いまの時代は電子と言う名の代替手段があるのです。
・オフィスを(実質)持たない事業主
・多拠点生活者・出張しまくっている事業主
・複業人材
・テレワーカー・リモートワーカー
・ワーケーション実践者……
そのような働き方をする人が増えていることを、世の中の人たち(特にレガシーな企業や官公庁や金融機関)には認識していただき、最低限のビジネスルールとして、
(1)原則的に郵送しない/させない
(2)やむを得ず郵送する場合、事前にメールやメッセンジャーで相手の都合や送り先を確認する
この2点は徹底していただきたいものです。
世の中デジタルトランスフォーメーションやダイバーシティ&インクルージョンが求められていますよね。
トランスフォーメーションとは、今のルールや旧来のしきたりや慣習を疑う、壊すことも意味します。
働き方のダイバーシティ(多様性)も進んでいます。
お願いです。そろそろ変わってください。変えてください。
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