久々に会うと、気まずくなる現象。
あまり人見知りはしない方だけれど、久々に知り合いにばったりと出会うと、何を話せばいいか分からなくなる。
過去の記憶を辿って、どんな顔やどんな言葉で話せばいいのかを思い出そうとする。けれども、すぐにその頃の自分に戻れるはずもなく、よそよそしいままその場を後にすることになる。
少しまえ、noteのイベントで小説家の平野啓一郎さんが提唱されている「分人主義」という概念について知り、とても腑に落ちた。
「分人」という概念は、公式サイトで次のような説明がなされている。
僕たちは相手との関係性によって、色んなキャラクターを演じていると思う。
本当の自分というのはなくて、複数の自分を抱え込んでいると思う。だから「本当の自分は、何なのだろう?」と思い悩んでしまうことは、実はナンセンスなのかもしれない。
ところで、吉本ばななさんの著書『とかげ』の中に『新婚さん』という短編小説がある。
『新婚さん』では、主人公である"私"がある日の電車の中で、正体不明の男の人に出会う。その男の人は、とつぜん女の人に変身して、私に話しかける。
そのセリフのなかに興味深い話があった。僕はそれが見過ごせなかった。
僕たちは、無意識の内にいろんな自分を使い分けていると思う。他人の好き嫌いだけでなく、自分のキャラクターの好き嫌いもあると思う。
だから一つのキャラクターに固執せず、「分人主義」という考え方を受け入れて生きていくことが大切なのだと分かった今日この頃である。
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