季節が死んでゆく
冬が死んだ。
私を遺して。
冬はなにもかもを冷凍してくれた。
憂鬱も、寂しさも、全部全部。
凍らせて亡くしてくれた。
そんな冬が死んだら、全て溶けてしまう。
1分、1秒が過ぎる度、ゆっくり、ゆっくり、あの日々の記憶が雪のように溶けて身体に染み渡る。
春のそよ風が、私を自死の道へ誘う。
でも、私は臆病だからそんなことはできず、ただただもがき苦しむ。
いっそ、私の事も溶かしてくれればいいのに
でも、神様はいじわるだから、溶かすのは曖昧だけど苦しい記憶だけ。
いや、神様なんていないのかもしれない。
だって私は、もう神様を見つけたのだから。
この詩を書いているのも、いつ壊れるかわからない儚い心臓を強く抱き締めているのも、全て神様のおかげ。
嗚呼、世界が雪で覆われてしまえばいいのに。
だって雪は、世界を穏やかにしてくれる。
雪が降った朝は、世界に私独りになってしまったかと錯覚するくらい静かだった気がする。
雪の日の公園は、陽の光を浴びて輝いていた。
それをたった1人で、永遠に見ていたのを覚えている。
また、朝日で煌めく雪がみたいな。
そして、あばよくば私も一緒に溶けて、春を通り越して、夏の海になりたい。
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