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ドラマ『徒歩7分』で田中圭さんが演じた田中くんは、可愛いのにちょっとやべぇ奴で、だけどものすごく愛くるしい人でした。

徒歩7分

NHK BSプレミアム「プレミアムよるドラマ」枠で2015年1月6日から2月24日まで放送された、前田司郎オリジナル脚本のテレビドラマ。


あらすじ

黒崎依子(田中麗奈)、32歳。金も仕事も彼氏もない。7月のある日、下町の小さなアパートに引越し一人暮らしを始める。隣の住人は、ど派手な格好の咲江(菜葉菜)と無職の男(平野勇樹)。時間を持て余す依子は、壁越しに隣室の会話を盗み聞きする日々。一方で、依子は元カレの光一(福士誠治)のことが忘れられないでいる。そんなある日、依子の部屋に「田中靖夫」という見知らぬ人物から不気味な手紙が投かんされだす。

徒歩7分というドラマの空気感が好きだ。

主人公の依子は明らかに社会に適合していなくて。
仕事もなく友達もいない。
隣人の咲江と初めて部屋で話す時の異様さ。
久々に人と話す事から頭の中色々ぐるぐるしている上になんか急に大きな声を出してしまったりして、可愛いんだけど、やべぇ奴感満載だ。

依子の発言に時折ギョッとしながらも、部屋に来ていつも噛み合わない会話を楽しいのか楽しく無いのか分からないけれど空気のように聞いたり話したりしてくれる咲江さんと少しずつ距離感が近づいていく。

アパートの下にあるお弁当屋さんのキャラクターも強烈で、ここでもやっぱり話が噛み合わないけれど、当事者たちは気に留める様子もない。

田中圭さんは、依子の部屋に不気味な手紙を投函しにくる田中靖夫を演じている。

2015年の田中圭

2015年公開作品

徒歩7分 田中靖夫 役

残念な夫。向井和之 役

びったれ!!! 伊武努 役

十月十日の進化論 安藤武 役

世にも奇妙な物語 25周年スペシャル・春 〜人気マンガ家競演編〜「地縛者」早川善也 役

アイムホーム 本城剛 役

なぜ家族は消されたのか?心を操る恐怖のサイコパス〜成海朔の挑戦II〜 真壁広樹 役

HEAT 濱田直紀 役

所轄魂 葛木俊史 役

図書館戦争-THE LAST MISSION
図書館戦争 -BOOK OF MEMORIES 小牧幹久 役

5→9〜私に恋したお坊さん〜 清宮真言 役 

恋の時価総額 栗野涼介 役

びったれ!!! 劇場版 伊武努 役


2015年の田中圭note


田中靖夫とは


田中くんの登場は3話から。

夜な夜な手紙をポストに入れに来るストーカーを依子と咲江さんで捕まえようとするシーンだ。

結果、人違いだった事が判明するのだが、このやり取りがめちゃくちゃ面白い。

依子は完全にゼミの知人にストーカーされているヒロインになりきっているし、田中くんは声を聞いて、この人誰?ってなっているし。
日本に多い田中という名前から生まれた勘違い。

田中って知り合いいるから

日本に住んでて田中って知り合い1人もいない人なんているんですか? 

でも沖縄とかだったら

ぁ、沖縄だったら

徒歩7分 1話

しかも、この会話をしている役者さんの3分の2が田中という状況がたまらなく好き。

スーツ姿の田中くんは田中圭さんが演じているのだからスタイルも良くて顔もいい筈なのに、何だか妙に気持ち悪いところがある。
ドラマの中でも依子や咲江からキモい、ダサいなどと言われている冴えない若者だ。

困った時や、好きなものを語る時などにギョロギョロと動く目がなんともいえず不気味で、大好きな明太子へ思いを語るところとか、お惣菜屋の女の子に謎の相談をされてちょっと強気に語る姿など、あぁこの人もやべぇ奴なのかもしれない。
そんな風に思える演技がほんと凄い。

3話から4話にかけて依子の部屋でストーカーの田中くんを囲んで依子と咲江でお酒を飲むシーン。
呂律の回ってない田中くん(圭さんの酔っ払いの演技大好き)

ラブレターを毎日届けに来たことを咲江さんに問いただされて

自分の時間がダイレクトに無駄になっているというか、命を無駄にしてるって言う感じが、相手に対する思いの重さを表してるっていうか

重い!

重いんですけど重い方が良くないですか?

いや、ちょっと引きます

わたし分かるな

依子と田中くんのちょっぴりやべぇ奴同士が少し意気投合してるのがまた良いし、最終的にラブレターの送り相手に対して読者とか言っちゃう田中くんがおかしくてたまらない。

その日は帰った田中くんは結局2人のいるアパートに引っ越してきて、やべぇ奴確定だけど

ほんとにただ楽しくて、もう二度と会えないのが嫌というか…

その理由にはキュンとくる(田中圭の顔だから許せるんだけど、そうじゃなかったら通報レベルだけど)

どの回もどのやり取りも大好きだけど、やっぱり1番好きなのは5話


まるごと1話、依子はトイレにいます。

そんなドラマありますか?
主人公がずっとトイレの中。
不慮の事故により閉じ込められた依子のSOSに気づいた田中くん。

SO?そ? ってなってる田中くんがこの記事のなかに↓↓↓


トイレの窓からホースを垂らして会話をする2人が、初めはお互いのタイミングが合わず話が被ったり、聞きそびれたり、ワタワタしているのに、どうぞを発言の最後に言う事で上手く会話が出来るようになったり、田中くんはホースを上手い事トイレに引っ掛けてノーハンドで会話が出来るまでになっている。
そこまでの経緯は分からないけれど想像すると面白い。
ノーハンドで話す田中くんを見て、そっか、田中くんはちゃんと社会人やってて、なんか意外に仕事が出来る人なのかもしれないなと感じたりした。

明らかにカオス状態の狭いトイレの中を住めば都なんて言っちゃう依子を見てニヤニヤが止まらない回でした。

少しずつ依子に思いを寄せる田中くんだけれど、不器用すぎて、気を使いすぎて、どうして良いのか分からないけれど側にいる。

自分がいた方がいいのか邪魔なのか察する事ができなくて。
全然できなくて。
それで、その、いま直接聞いてしまってるんですけど、何かできることはないかという、その、ほんと、下心とか、無いわけじゃないんですけど、よくわからないぐらい下にあるので、それはないと言ってもいいんじゃないかと…

ごめんなさい
何が言いたいんですか?

すみませんその、何かできることはないですか?

徒歩7分7話より

何かできることはないかと田中くんは時々依子に伝える。

これってすごく素敵な事だと思う。
何かしたいけど、思いつかなければ聞けば良い。
田中くんから学んだ。(依子にはバッサリ切られるんけれど)

依子に思いを伝えるシーンではあらぬ方向を向いてしまう田中くん。

僕がちょっとあらぬ方向むいていいですか?
あらぬ方向向いてしゃべってもいいですか?
見ながらだとうまく話せないのででも、やっぱりうまく話さないといけないと思うし…

徒歩7分 8話より

わたしが思ってるあらぬ方向とはちょっと角度が違っていて、首寝違えそうな感じで頑張って話す田中くんが愛おしかった。

そして2人の2人らしいラストシーンもほっこりした。

依子も、咲江さんも、田中くんもそれぞれ少しだけずれていて、寂しくて、でもきっと支えたり支えられたりして生きていて。
時々集まってあんころ餅を作ったりして。
(あんころ餅の“ころ“ってやっぱり可愛い)

ちなみにあんころ餅のシーンはスピードが早すぎて圭さんと菜葉菜さんのゲラスイッチが入ったらしい(徒歩7分のスタッフブログに書いてあったのにもう見れなくなってた)

あのシーン、時々素の圭さんみたいな表情が映り込むのも好き。

狭いアパートで繰り広げられる小さなお話、この世界を覗きにくるとなんかぽわっと心が温まる。
主人公はいたってアンニュイな様子なのになんだか私は心温まるのだ。

先程も載せたこの記事にこんな事が書いてあった。

出演者、スタッフが一緒に苦労して練習して、本番は15分から20分の長回しでまるで舞台のようでした。

長回しは、実は楽しくてしょうがない。1シーンを会話劇で演じるのは贅沢だと思う。始まっちゃえば、『どうにかするんだ!』というのが好きで血が騒ぎました

大量の台詞、しかも、独特。
覚えるの大変だろうな。
長回しだなぁって分かるような会話のやりとり。
だからこそ自分もあのアパートで一緒に見ているようなそんな気持ちになる。

全てを文字起こししたくなる程に独特な会話たち(月刊ドラマでシナリオが掲載されていたらしいが現在は購入できないようで残念すぎる)

向田邦子賞を受賞したんだね。


ここには圭さんはいないけれど

ここにも圭さんはいないけど。

数年後、向田邦子賞の会場にすこし寝癖っぽいスタイリングで現れました。


どうか配信だけではなく、地上波(これ大事)再放送がありますように。

すこしズレていて寂しい人にも届きますように。

きっときっとありますように。

雨音

このnoteが記念すべき田中圭note201本目です。
ほんと語り出したらどうにも止まりません。


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