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「いい加減」で生きられれば… 曽根綾子

今年卒寿を迎えられた曽根綾子さん。
48歳の時にローマ教皇庁よりヴァチカン有功十字勲章、72歳では文化功労者となり、文学でも吉川英治賞や菊池寛賞も受賞されています。

また82歳まで日本郵政(株)の社外取締役を務められその後は教育再生実行会議委員。
すごいバイタリティ溢れる方だと思っていましたが、この本を読むと本当に力を抜く時は抜いて、背伸びしないで気楽に生きていくことの大切さを教えてもらえます。

「無理をしない
 流されてみる
 自分らしく」

「いい加減」は実に大変な境地だと作者は言っています。
「いいかげんなひと」と言うと悪い意味にも取れますが「良い加減」と言うのはちょうど良いという意味もあります。


人付き合いにしろお風呂の湯加減にしろ良い加減と言うのがあります。
介護などで「いい加減」と言うと手抜きのような感じがしますが、それが結果的に最上の方法である場合もあるということです。


本の中から印象に残ったことをいくつか紹介します。

すべての運命の変化を感謝し面白がって受け入れる
いい加減に人生を面白がる
介護は何でもかんでもやってあげない

生活の中で任務を与えることも大事
苦手な人からは自然に遠ざかる
「捨てる」「遠ざかる」は人生で大切なこと これができれば恨みではなく爽やかな思い出に変わる
筋を通さないこともあっても良い
正義を振り回すと真実が見えなくなる
病気にも不幸にも意味がある

人生で与えられたことにすべて無駄なことはない
年をとると人生の達人になる
老人といえども甘えてはいけない
若さに執着しない
1年でも年とった自分の方が信用できるから
エステなど美容に気を使うことはできても自分の心の内面に開いた空洞や虫食い穴のような欠点や空虚にはあまり恐怖を持っていない人が多い
心の空洞を埋められると心の柔軟さを保てて魅力的な人間でいられるのに
人間は人に与えられる立場にいるうちはどんなに年をとっても現役
しかし受けることだけを期待するようになるとそれは幼児か老人の心境 
一人前でないか引退した人かのどちらかだ
老年になっても自分の利益しか考えなかったら孤立して当然
知ったかぶりはしない
答えを出すのは人間ではなく常に時間だ

これはとても共感します。
仏教でも「日にち薬」という言葉があるように、結局解決するのは時間であったりします。悲しいことも思い悩んでいることも時間が解決してくれることが多いと思います。

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帯にもある「年をとったら頑張らない。自分の心を軽くするいい加減のススメ」とあります。
90年生きてこられた作者であるからこそとても説得力があります。

ひとつでも納得することがあれば良いですね!

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