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ラベンダーさん企画参加 「私の代表句」


ラベンダーさんの企画に参加させていただきます❣️

【あじさいの階段遠く光る海】

            西野桃果

渾身の一句や代表句はとても選ぶものがありませんので、初めて夏のアポロ杯で作った句にしました。
光栄なことに優秀新人賞をいただきました。予選を通過した句は別の句だったのですが、アポロさんが敗者復活で選んでくださいました。

当時は歳時記も持っていない、俳句って何?という感じでただただ五七五で季語を入れて…好きなことを詠もうとしただけでした。
なので応募した5句のほとんどは「竹林、切り通し、由比ヶ浜、明月院」大好きな鎌倉舞台でした。

何で印象に残っているのかというと、アポロ杯で大金賞を受賞されたy=Rxさんが優秀句10句の中に選んでくださり、アポロさんとともに素晴らしい講評と推敲を記事にしてくださったからです。

🔰初心者の作った拙句にこんなにも丁寧に講評かつアドバイスをしていただき、俳句の深さや面白さを初めて教えていただいたような気がしました。

その後、秋の白杯、冬の沙々杯と続いてもうすぐ春の宇宙杯が始まります。
その引き金であった最初のアポロ杯は本当に印象深く心に残っています。
多くの方が楽しく俳句を始めるきっかけとなったと思います。

〈y=Rxさんの講評〉

まず、『あじさい』という夏の植物の季語は、初夏、梅雨の季節を代表する季語として多くの作品に詠まれています。この句は、『あじさいの階段』とすることで、左右前後に「あじさい」が分布している広い光景を描くことに成功しています。
『あじさいの階段』というフレーズだけで、本当に“勝った”ようなものだと感じました。どの寺院か分かりませんが荘厳な感じが詠み手に伝わるから。
更に、ここから後半の単語一つひとつが素晴らしい。まず中七を見ますと、『あじさいの階段遠く』と来ます。「ああ、寺院の参道は石で出来てて急で上も遠く見えるし、湿ってて滑らないように気をつけないとね。」なんて、大胆なミスリードをしてくるんです!(多分、意図的に!)
下五の前半行きますよ? 『あじさいの階段遠く光る』と、何かがおもむろに「光り出す」のです。何だろう、と。何が光っているんだろう、遠くに、と。そして種明かしが最後に来るのです。
『あじさいの階段遠く光る海』。あじさいの階段の遠く上の方にあるというより、階段の下の方、或いは振り返って背後に「遠く光る海」があるのだという風に私は詠みました。私が「鎌倉」だと感じたのは、この後半の展開によるものです。
もちろん、全国各地に紫陽花と海はあると思いますので、どこでも良いのでしょうが、いずれにしてもこの光景の二重での遠近感の描き方はただものではありません! ただただ感嘆するほかありませんでした。

  

〈アポロさんの講評〉

今大会、予選で一度落としたすべての句を見直しました。その中で特にこれはと思う一句を、敗者復活枠としてここに加えることにしました。
選者は完全に独裁で選んでますんで、こういうサプライズは許されよ、みんな。
ちょっと工夫された、やや難解な作品です。読み方に悩む人がいるかもしれません。


あじさいのかいだん とおくひかるうみ

あじさいのかいだんとおく ひかるうみ
本質をどう読むか分からない場合、可能な限り好意的に解釈するのが句会でのマナーだと思います(これはぼく個人の考え方ですが)。あるいはこの句の真意は何なのですか?と作者へ率直に疑問を投げかけてみる。
意見交換は友情を認め合いながら、仲良く。
句作と無関係の話では、ありません。人との議論の中で得られる気づきは多くあります。
ぼくは 
紫陽花の階段 遠く光る海 
と受け止めました。あじさいが階段状に広がっている可能性はありますが、あじさいがそばに咲く階段であると素直に読みます。
そうすると、もっとも自然な紫陽花寺の風情に近い俳句となります(作者の記事も見てね)。
遠く光る海 は詩感があります。海に憧れている気配がする。階段 の直後にこれを置かれると、視界が急に広がります。カメラワークを意識したのだとしたら、大した初心者だと思いました。
反面もったいないのは、海 が主役であるはずの季語 あじさい に対して強く立ちすぎている点です。ここでは光らせないほうが良かったかも。
すこし推敲してみましょう。たとえば、


紫陽花の階段うみの声遠し
 とすればどうでしょう。ごく小さな波の音をBGMにすると、主役のあじさいに光があたるようになります。階段の下にうみを置くことで、高さの雰囲気も作れますし、全体のリズムが調和するような。
ともかく。素材が素晴らしいという点で、取り上げさせて頂きました。

🎊あじさいの階段遠く光る海
○直し不要。唯一復活枠・入選
(おめでとうございます🎊)
☆季語|あじさい(あぢさい)
※最終審査で全句見直した結果、下記の🎊洗い髪風にまかせて想いける
より優れていると考え直しました。
一次審査で通過に至らなかったのは、選者の眼力不足のせいでした。
西野圭果さん、あらためて不手際お詫び申し上げます<(_ _)>
なお🎊付きの二作は、ともに良句であること間違いありません。

まだまだわからないことだらけですが、いつも教えてくださる先生方や皆さんに感謝してこれからも俳句を楽しみたいと思います。ラベンダーさんありがとうございました✨


#私の代表句

#ラベンダーさん企画

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