危険なシゴト
前回に続いて、睡眠薬の話を書こうと思っていたのだけどやっぱりやめて危険なシゴトの話を書こうと思う。
睡眠薬ともあながち無関係ではないのだけど、ここで言う「危険なシゴト」というのは夜間まで及ぶサービス業のことである。
実は、僕は数年前までさる大手ショッピングセンターで薬剤師として働いていた。
仕事自体は調剤薬局の閉塞的な働き方などよりもむしろ自分には合っていて、日々汗だくになって売り場を作っていた。
しかし、この仕事には当時の僕のようなうつ病患者にとって致命的なリスクがある。
それが、労働時間が深夜帯まで及ぶことである。
店舗サービス業には宿命的とも言えるのだけれど、最近のスーパーやドラッグストアは軒並み長時間営業で、23時24時までなどと言うのはザラで、店によっては24時間営業だったりする。
当時、僕のメインのシフトは14時15分出勤、23時15分退勤というモノで、いきおい帰宅すると日付を超えることになる。そこから風呂に入って食事をとって少しお酒でも飲もうものなら寝るのは朝方になる。ちょうど新聞配達のバイクの音を聴きながら睡眠薬を飲んで寝る。そんな生活だった。
これの何が危険かというと、うつ病患者にとって一番大切な朝日を浴びることができないということだ。
朝日がなぜ大切か、それにはまずセロトニンから説明する必要がある。
セロトニンというのは、別名「幸せホルモン」といって、心を落ち着かせたり幸福感を感じさせたりする作用がある。
うつ病の人はこのセロトニンが不足していることが多いため、不安を感じたり気分が落ち込んだりする。
では、このセロトニンはどうやって増やすことが出来るのか?
そのためのエネルギーとなるのが、朝日なのである。
朝日を浴びることで脳内でトリプトファンというアミノ酸を原料にセロトニンが作られる。
なぜか日中の太陽や夕日ではダメらしい。
なので、僕が鬱っぽいな〜、気分が落ち込むな〜という人に真っ先におすすめするのが朝日を浴びることなのだ。
そんな大切な朝日を浴びることができない働き方は、少なくともうつ傾向のある人にはお勧めできない。
現に、当時の僕にとって朝日が昇る時間というのはちょうど寝入りっぱなで、絶対に光が入らないように遮光カーテンなどを使っていたものだ。
(ちなみに僕の当時の就寝時間は4時〜11時)
それぞれ向き不向きはあるとはいえ、根本的に人間は昼行性に創られているようなのだ。
仕事を変えることは難しいかもしれないが、長期間調子がすぐれない人は生活時間帯を見直せるようにシフトを変えてもらったり配置転換をしてもらったりすることで、変化が起きることもあるはず。
毎日日の出から1時間ほどの朝日を浴びる。
それだけでほとんどのうつ病は治るとさえ、僕は思っている。
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