見出し画像

ALLNIGHT HAPSとは?

皆さまこんにちは、一般社団法人HAPSの沢田朔(さわだ さく)と申します。
ALLNIGHT HAPSの担当者として、企画者の佃さんと共同で、「翻訳するディスタンシング」を運営してまいります。どうぞよろしくお願いいたします。

まず僕からは、ALLNIGHT HAPSというものについて説明させてください。

これは京都市東山区、六波羅蜜寺にほど近いHAPSのオフィス1階で、夜間に展示を行う企画です。HAPSのオフィスは典型的な京町家のつくりで、東山区を南北に走る大和大路通に面しています。その道路に面した1階部分はガラス張りのギャラリーになっており、我々スタッフが帰宅した後、18時から翌朝の9時半まで、明かりを付けっぱなしにして外から作品をご覧いただく、という形式の展覧会を行うものです。実施に際しては、年間2名の企画者をHAPSが選び、その方に参加アーティストを選定いただいています。2020年は、この「翻訳するディスタンシング」を企画された佃さんと、小松千倫さんに企画をお願いしました。(小松さんの企画についてはこちらをご参照くださいhttp://haps-kyoto.com/allnighthaps-2020_2/

画像1

参考:ALLNIGHT HAPS 2019後期「Kangaru」より #4 YANKEEKONG/村田のぞみ「Yamabiko」


僕は2018年に、前任者からALLNIGHT HAPSの担当を引き継ぎました。自分が担当となった時にはもうすでに、近隣の住民の方からは、「夜なんか飾ってあるところ」「楽しみにしとるでー」という声をいただいていましたし、ある夜タクシーで職場に戻ろうと行き先を告げると、「ああー」。どうやら五条通から祇園への抜け道である大和大路通のささやかなランドマークとなっていたようです。ゲストハウスへの道すがら足を留めてくれる外国人観光客も多くいました。この地道な取り組みが確実に夜の京都に根付いているのだと実感し、これまでの2年間、それに恥じない企画を実現してきたつもりでおります。実に様々な展示をしてきました。15時間半ぶっ通しの映像、壁を掘って版画を刷る、室内に土を敷く…。
物理的、時間的な制約の多い環境ではありますが、企画者、アーティストの方々が、それを逆手にとって楽しみ、試みる実験場として、そしてそれをミニマムな形でシェアする場所として、ALLNIGHT HAPSは機能してきました。

ですが今は、観光客の姿も、大和大路を疾走していたタクシーも、随分と減ってしまいました。作品があり、みんなが自由に夜の街へ繰り出し、対面する。そんな営みが、何か躊躇われるような雰囲気が、いまだ世の中に漂っているような気がします。制約を逆手に取る、というのも、聞こえは良いですが、今この世の中にあって、それをアーティストに要求できるのか?そんな疑問にもとらわれます。

そんな中、この「翻訳するディスタンシング」は、「展示」や、「作品」の前にあり、最中にもあり、後にもある「翻訳」について、企画者とアーティストが共に考えるものです。あなたが考えていること、考えていたことを「翻訳」した「結果」が成果になります。ALLNIGHT HAPS史上例のない試みですが、様々なアートの枠組みが揺らいでいる今だからこそ、意義のある企画だと思っております。

他者との関係、作品との関係、言葉との関係を再考する。それは、HAPS自身にも求められていることだと思います。僕自身もこの企画を作り上げていく一人として、皆さまと共に手探りをしていきます。

ご質問はどうぞお気軽に。皆さまのご応募をお待ちしております。

追記:
そもそも、HAPSって何?という方は、ウェブサイトや(http://haps-kyoto.com/about/)これまでの事業報告書(http://haps-kyoto.com/haps-annual-report/)をただければと思います。また、これまで実施したALLNIGHT HAPSの一覧もご覧いただけます(http://haps-kyoto.com/allnight-haps-archive/)。


筆者について
沢田 朔(さわだ さく)
1991年埼玉県生まれ。東京藝術大学美術学部芸術学科卒業後、コマーシャル・ギャラリーでの勤務を経て、現在は一般社団法人HAPSにてALLNIGHT HAPSを担当。2019年、複合アートスペース「浄土複合」の立ち上げに参画、ウィンドウギャラリー「StandAlone」の企画も担当。



いいなと思ったら応援しよう!