アレルギーの薬、4月から値段はどのくらい?
いつき博士です。
アレルギー患者教育向けサイトを運営しております。
今年度の3月に価格改定情報が公開されました。
2023年4月1日から適用されるアレルギー薬の
価格情報について見ていこうと思います。
まずは薬価改定について理解し
普段もらっている薬が
どのくらいの価格なのか
薬の分類別に比較していきましょう。
1.薬価改定とは
1-1.薬価改定の目的
薬価改定とは
医療用医薬品が患者に渡る際の
価格を見直すことです。
市場実勢価格と薬価との間に
一定以上の差がある場合に
薬価を引き下げて差を少なくすることが
薬価改定の基本となります。
1-2.メリット
国民の医療費負担は軽減されます。
これは治療をしている私たちにとっては
良いことですね!
また、薬剤料分の保険診療請求額が減ることで
国全体の医療費削減にもつながります。
1-3.デメリット
多くの医療機関では改定前に
医薬品在庫の調整を行います。
その際の人件費などの余分な管理コストや
業務負担がかかってしまいます。
強制的に価格が下がるので
価格が安くなってから薬を購入したいですよね。
また、製薬会社側の収益も下がることから
開発費用が回収されにくくなり
新薬開発へのモチベーション低下と
国の企業競争力の弱体化につながる可能性があります。
製薬会社が十分な収益が得られなければ
日本に良い薬が開発される機会損失にも繋がります。
2.アレルギー最新薬の薬価
アレルギー薬は症状が出ている
数週間のみ使用する方もいれば
毎日服用される方もいます。
今回は1か月(28日間)の使用時の
3割負担における薬価について比較していきます。
※薬局では薬価以外に
調剤報酬点数が別途かかるため
今回の値段がそのまま領収額に
反映するわけではありません。
2-1.抗ヒスタミン薬
抗ヒスタミン薬は花粉症などに
良く用いられる鼻水・くしゃみを抑える薬です。
今回は比較的新しい
3種類(デザレックス、ビラノア、ルパフィン)と
市販でもよく使われる薬2種類を比較していきましょう。
アレグラは1日2錠服用することもあり
多少コストがかかりますね。
新薬だけで比較した際
ビラノアが一番高い薬となっています。
これは、ビラノアが他2剤よりも
市場での売り上げが一番高く
抗アレルギー薬の処方金額として
トップであることも理由となりそうですね。
旧薬価との比較では1日1錠の薬で
1か月で40円程度の差が生まれてきました。
アレグラは1日2錠であるため
80円程度差額が生まれますね。
2-2.点鼻薬
アレルギー性鼻炎に使用される
点鼻薬は1本当たり14日分のものとしています。
ステロイドの強さ
薬の全身移行など考慮すると
薬価としては妥当にも感じますね。
点鼻薬は旧薬価と比較した際
どの点鼻薬でも1か月の期間で
70円程度安くなりました。
2-3.内服JAK阻害薬
一般的にアトピー性皮膚炎治療の際の
用量として比較を行っていきます。
ジェネリック医薬品などによる
代替えが効かないような
治療薬は薬価の変動がないようですね。
そのため、アトピー性皮膚炎治療薬で
近年発売されたコレクチムやモイゼルトも
変動はありませんでした。
重症アトピー性皮膚炎の治療薬は
高価な薬が多いイメージですね。
2-4.注射薬
今回は4週間分の用量として
計算されています。
ミチーガとアドドラーザは
デュピクセント発売後に
類似薬効比較方式で値段が設定されています。
そのためどの薬剤も1か月使用時の
薬価に大きな変動はなさそうですね。
2-5.舌下錠
舌下錠は継続で使用している際の
用量の薬価で示しています。
毎月払うとなると
やはり薬代は結構かかりますね。
そのため
福祉医療費制度が適応される年齢で
治療を行っていると良さそうですね。
3.いつき博士の考察
薬価改定は
患者さんにとっては
より安く薬を入手できるようになり
有難い政策となります。
一方で薬局、製薬会社にとっては
医薬品の管理コストがかかる
収益低下など
負担となってしまいます。
今回の学習では下記3点の
理解が得られました。
①医療費削減を目的とするためには
アレルギー薬1つの処方であれば
OTC医薬品の使用を検討することも
1つの手段ともいえそうです。
②旧薬価と新薬価を比較した際には
同じ作用の薬では薬価の下がり値が
1錠、1キットあたり同程度であるようです。
③薬価改定により3月末に薬をもらうよりも
4月初旬に薬をもらった方が多少お得です。
今まで何気なくもらっていたアレルギー薬が
多少安くなっているか気にしてみるのも良いですね。