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「京都デニム」ー情熱とロマンをデニムに染めて
<編集・記事執筆>
京都外国語大学 国際貢献学部
グローバル観光学科1回生
坂本ゆりあ
このたびわたしたちは外国人観光客向け英字フリーペーパー『ENJOY KYOTO』の紙面制作にあたって、わたしたちオリジナルの京都ファッションを考案。外国人観光客に向けておすすめの京都ファッション・アイテムを使ったコーディネートを提案する企画を打ち出しています。
そのなかで「Natural Sporty Style」というコーディネートに使用したアイテムとして、京都デニムの「伝統工芸×サステナブル=愛着を深める柄入れオーダー」というサービスによりデニムのパンツに春らしい桜の柄を入れたジーンズを掲載しています。そこで今回は、ご協力いただいた京都デニムの宮本和友さんにインタビューをさせていただきましたので、その模様をお届けします。
(ALKOTTOの3回生でチームリーダーの、剱物真桜さんにも同行していただきました!)
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デニムという新たな素材に挑戦したのは手描き友禅の伝統を残すため。
2月某日、A.M.8:30。
清々しい朝の陽射しを浴びながら目印の青い暖簾をくぐると、代表の桑山豊章さんとともに京都デニムを運営されている宮本和友さんが、まぶしい笑顔でお迎えしてくださいました。
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今回、紙面を制作するにあたって、京都デニムさんに、「自然」をテーマに据えたコーデのアイテムとして使用するジーンズに、桜柄の手描き友禅を施していただきました。手描き友禅ならではの繊細で柔らかな美しさや四季を大事にする日本人らしい華やかさと、デニムという動きやすいカジュアルな素材の組み合わせが、まさに「Natural Sporty」というスタイリングテーマにぴったりなアイテムとなりました。
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伝統工芸・手描き友禅×デニム。斬新すぎるアイデアに込められたロマンと誕生秘話について、熱く語っていただきました!
はじめに、手描き友禅の歴史や京都デニム代表・桑山さんとの出会い、京都デニムの立ち上げについてのお話を伺いました。
真桜さん「家業として友禅染を生業としていたのですか?」
宮本さん「もともとは、京都デニム代表の桑山の実家の家業でした。江戸中期ごろから、手描き友禅のもととなる白生地という反物の商いが始まり、中後期の法改正以降、白生地だけでなく、手描き友禅にも着手するようになったと聞いています。」
桑山さんのご実家の家業は、なんと250年ほど前から、ここ京都で営まれてきたのだそうです。まさに、伝統工芸ですね。
真桜さん「着物に触れたきっかけについて教えてください。」
宮本さん「代表の桑山の家業を手伝うという形で、大学生のころに始めました。本格的に仕事として始めたのは、21歳か22歳のときですね。」
大学のサークルで知り合った、宮本さんと代表の桑山さん。宮本さんは、桑山さんに連れられて入った工房で、職人さんが自らの手で着物を染める様子を目の当たりにし、手描き友禅に強く惹かれたのだそうです。
宮本さん「若いころは、狭い世界の中で、もっとこうしたらいいのにというアイデアや情熱に満ちていました。男性はこういうもの、女性はこういうもの、問屋はこういうものというような決めつけに違和感を持っていたんです。」
真桜さん「デニム生地に友禅染を施すうえで難しかったことはありますか?」
宮本さん「手描き友禅は、白生地を多色に染め分けて彩るために生まれた技法ですが、デニムは、先に糸を染めたものを綾織にするものです。デニムは完成品なので、色を抜いたり破ったりして表情をつけるものが多いです。デニムに友禅染を入れるには、まずシルエットに沿って色を抜き、色を抜いた部分に筆を使って直接染料を染み込ませなければなりません。しっかり色が染み込むので、洗っても色が落ちることはありません。着物の手描き友禅に関しては数々の失敗から得た250年分の蓄積データがありますが、デニムにはそれがまったくありません。ですから1から試行錯誤していく必要がありました。はじめは、色を抜くための薬剤が強すぎてデニムが破けてしまったり、熱を加えすぎて発火してしまったり、最初の数年は上手くいかなくて、やっぱりデニムを染めるのはやめようかなと思うこともありました。でも、誰もやったことのないことに挑戦するということにロマンを感じ、失敗から学んで改善していくしかないと開き直って続けました。」
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真桜さん「周りの職人さんたちの反応はどうでしたか?」
宮本さん「10人くらいの職人さんに協力を求めてみましたが、『どうしてそんなことするの?』と怒られたり、『そんなことはできない』と断られたりしました。10人いたら8人の人には反対されていましたね。でも、数人だけ手伝ってくれた人がいて、その人たちのおかげで今があると思っています。そこには、職人さんとのご縁や相性、情熱の伝え方など、いろんな偶然があったのかもしれません。やり続けた結果、いいねと言ってくれる人が増えたから価値がついてきたのだと思います。」
さまざまな困難を乗り越え設立された京都デニム。桑山さんと宮本さん、お二人の情熱や葛藤がデニムに染め上げられています。
学生や外国人観光客など、幅広く日本の伝統を発信することが何より大切。
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さらに、京都デニムに来店されるお客様や、社会人インターン「デニスク」、今後の展望について、私からも質問させていただきました。
坂本「お客様の男女比や国籍について教えてください。」
宮本さん「7~8割は女性のお客様です。外国のお客様は、時期とタイミングにもよりますが、全体の半数が外国からのお客様という月もあります。アジア圏の方が多いですが、アメリカやヨーロッパからのお客様もいらっしゃいます。最近では、ドバイやUAEなど、アラブ系の方も多いですね。」
坂本「京都デニムさんが主催されている社会人インターン「デニスク」について教えてください。」
宮本さん「代表の桑山が担当しているんですけど、開催しはじめて2年目になります。友禅染を知ってもらうきっかけになっているので、開催してよかったです。自分らしさを見つけて仕事をしているいろいろなキャリアの人が京都デニムに集まることで、いい化学反応が起こるんです。人との関わりは、大変な部分もあるけど発見もあります。」
坂本「伝統工芸がこれからも受け継がれていくために、どのようなことが大切だと思いますか?」
宮本さん「まずは、知ってもらうことだと思います。SNSを活用して発信することもそうですよね。来てくれるお客さんに対して説明すると、今度はそのお客さんが、家族や友人に京都デニムの話をしてくれるんです。その過程が大切だと思います。知ってくれた人の中から職人になる人がいるかもしれないしね。SNSを有効活用しながら、柔軟性をもって考えることが重要です。」
坂本「これから取り組みたいことなどはありますか?」
宮本さん「今、自分たちがやっていることを適切に、見てもらいたい人に届いているのかを考えながら、自分事として発信できる人材を育成したいです。学生の方だけでなく、社会人の人にも勉強できる機会を提供していきたいと考えています。地域との連携としては、京都の学生がそのまま京都で就職してくれるよう、伝統工芸の魅力を広める活動をしたいです。大学で伝統工芸についての講義をするのもいいですね。」
伝統工芸に携わる職人さんのお話を伺ったのは初めてで、とても貴重な経験となりました。世界はまだまだ知らないことで溢れているのだとあらためて感じることができた取材でした。
みなさんも京都にお越しの際はぜひ、京都デニムさんに立ち寄ってみてください!
店舗情報
京都デニム
京都市下京区小稲荷町79-3
075-352-1053
Open : 9:00 am Close: 7:00 pm (祝日やGW、お盆も営業)
●公式サイト:https://kyoto-denim.com
●今回わたしたちのコーディネートで使わせていただいた「伝統工芸 × サステナブル=愛着を深める柄入れオーダー」の詳細はこちら
https://kyoto-denim.com/mihon/
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