『幽癒』
「おぅ。この店、初めてかい?ほら、ここ来な」
上京して3ヵ月。学校にも街にも馴染めない。
帰宅途中、ふと目についた立ち飲み屋に入った。
「学生さんかい?地元どこ?ほら、飲め飲め」
ここは煮物が旨い。串は不味い。18時が穴場。
自分は20年の常連。屈託のない笑顔と酒臭さ。
気づけば、僕の居心地の良い場所になっていた。
今日も18時に店へ行く。「あれ?おじさんは?」
「もう、見えなくなったか。あの人は幽霊だ。
新入りを常連と認めたら、見えなくなるんだ」
#10行 #ショートストーリー #ショートショート #超短編 #短編 #短編小説 #小説 #詩 #現代詩 #スキしてみて #上京 #幽霊 #立ち飲み屋 #学生 #煮物 #酒 #穴場 #常連 #旨い #不味い #笑顔 #おじさん #新入り #常連 #幽癒