『飴負』
「はい、あーんして。一緒に楽しくなろうね」
彼が口に入れてくる、色鮮やかで小さな物体。
これを味わうと、その後の快楽が爆発的だ。
もちろん、いけないものだとは知っている。
だけど、小さい頃に父親から飴玉を食べさせて
もらった記憶が蘇り、せがんでしまうのだ。
逮捕される日、車の窓から父が見えた。
手には飴玉の瓶。そして、私を指差した。
朦朧とした頭では、父の意図を汲み取れない。
本物だけを舐めていればよかったなぁ。
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