郷に入っては郷に従え!? AIU生がヨルダンでの国連YVで見た景色とは? #AIU生が見た世界
基本情報
活動内容(国連ユースボランティア)について
ーーそもそも、国連ユースボランティアに参加するきっかけのようなものは何でしたか?もともと国際協力・開発に強い関心があったんですか?
A. UNICEFマンスリーサポートのアルバイトをしていたことがあり、その経験から国連、国際協力・開発に興味を持つようになりました。
ーー国連ユースボランティアと言っても活動内容を想像しがたいのですが、どのような活動をされていたか、主な活動内容を具体的に教えていただけますか?
A. 広報活動として受益者に対するインタビューとhuman interest storyという広報資料の作成をしていました。human interest storyはいわゆる対外的な広報と違って、支援国や支援団体に向けたthanks letterのようなものです。実際にフィールド(難民キャンプやユニセフ支援の教育センターなどの現場)に行き、ユニセフの支援を受けている家族や子供にインタビューを行い、記事を書いていました。
ーー活動内容に関連して、事前アンケートの「一番辛かった瞬間」の欄に「最初の1ヶ月半仕事がなかった。出したレポートの9割を直された。」と答えられていましたが、これに関して詳しく教えてください。
A. どんな仕事が任せてもらえるんだろうとワクワクして勤務を開始しましたが、上司は「あなたは何ができるの?この5ヶ月間でなにをしたいの?」という感じで、すごく簡単な資料作りを任せられることが多かったです。自分の仕事が用意されている訳ではなく、自分が出来ること・興味のあることを伝え、仕事を自らもらいに行くといった姿勢が求められていました。私は上司にもっとフィールドに行って記事を書きたいとひたすら伝え続け、上記の仕事を任せてもらえることになりました。また、初めの頃は書いたレポートの殆どを訂正されることもよくありましたが、徐々に直しが少なくなり、任される部分が増えました。この経験は、インターンシップ中やりがいを感じたエピソードの一つです。
活動場所(ヨルダン、アンマン)について
ーー日本人にとってヨーロッパやアジア諸国は旅行や留学等で訪れる機会が比較的多いのかなと思いますが、中東は日本からどこか遠い存在のようなイメージを持ってしまいます。なので、まず初めにヨルダンという国の印象や雰囲気を教えてください。
A. ヨルダンではイスラム教の影響が大きいので、モスクなど至る所でイスラム文化を感じることができます。なので、所謂、中東と聞いて思い浮かべるであろう「the 中東」というような景色が見られます。その反面、国際都市という一面もあるためキリスト教の教会も見つけることが出来ます。街並みに関しては、インフラ整備が進んでいない部分もあるけど、生活水準は想像していたよりも高いのかなといった印象でした。
ーー国際的な一面は予想していなかったですが、イスラムの文化が強いというのはなんとなく想像がつきますね。事前アンケートで「アザーン(イスラムの礼拝)で早朝に起こされる」と回答してましたが、他にイスラム文化を感じたシーンはありましたか?
A. “インシャアッラー“という言葉は日常生活の中で頻繁に聞くフレーズの一つだったと思います。「神が望むなら」という意味の言葉で、いつでも使えます。例えば、「No」と断りにくい時などに使えます。関西弁でいうと「いけたら行くわ」の様な感じです。
逆に何かをお願いした時に相手にインシャアッラーと言われたら要注意です(笑)。
ーーそのフレーズ聞いたことありますよ。便利ですね(笑)。言葉ひとつとっても、宗教が現地の生活にいかに強く根付いているかがわかりますね。
A. そうですね。でも、やはり国際色豊かな一面からか信仰心の厚さも人それぞれ。
道で懸命にお祈りをしている人もいれば、ヒジャブを被っていない女性も街でよく見かけました。関連して言えば、本来イスラム教では飲酒は禁じられていますが、ヨルダンリバーというヨルダン産のお酒も買えます(買うときは黒い袋に入れられますが)。なので、一つの宗教と言っても一括りには出来ないです。
ーーインシャアッラーに関連して、現地で知っておくと便利、渡航する際には知っておくべきという表現はありますか?
A. サハティーンとアッラーアルビックですかね。サハティーンは自分が料理を振る舞ったときに使う、ボナペティ(bon appetit)のような表現で、アッラーアルビックはそれへの返答となる表現です(レストランではあまり使わないけど、知り合い宅で手料理を振る舞われた際などに使う)。もう一つは、厳密に言えば、相手の性別により、言い方が少し違うのですが、ヤアティー・キルアーフィエという表現です。直訳すると「あなたに健康(エネルギー)が与えられますように」。つまり日本語で言う「お疲れ様」に近い表現となり、便利です。これを言われた時の、返し文句も決まったものがあって、「アラーヤアフィーク(相手が男性の場合)」や「アラーヤアフィーキ(相手が女性の場合)」等もあるので、覚えておくと何かと便利かもしれません。
ーー中東というとイスラム文化の他に、治安の面で不安視する意見があるかと思います。実際、渡航してみて危険を感じたり、持ち物をとられたりしたことはありますか?
A. 正直、あまり治安が悪いと思ったことはそんなにないかもしれません。一度、カリーム(Careem)を使って移動した時に一眼レンズを車内に忘れたことがありましたが、運転手の人はそれを盗むどころか、わざわざ自分のところまで持ってきてくれました。
ーーそれは国外旅行・渡航ではあまり考えられないエピソードですね。
A. でも、それはカリームを使っていたからかもしれないです。アプリを使えば、こちらから運転手の身元確認もできたりします。なので、運転手はカメラを盗んだことが判明したら、仕事を失うということを考えていたのかもしれないです。もう一つ考えられるのは、ヨルダンの国柄的側面からの理由です。ヨルダンは他の中東の国と比べて資源が少ないので、外貨獲得のために観光業が栄えています。その分、外国人観光客への対応が慣れていたり、治安が良かったりするということもあるのかもしれないですね。
ーーなるほど。中東の国といっても一括りに出来ないですね。段々、ヨルダンに対する勝手に持っていたイメージのようなものが塗り替えられていくようで面白いです。他に、現地で体験した衝撃的なエピソード等ありますか?
A. カルチャーショックのようなもので言うと「道を尋ねると違う方向を教えられる」ことですかね。
ーーどういうことですか(笑)。
A. ヨルダンでは”目の前にいる人をハッピーに”という文化があるらしく…。例えば、道を聞かれた時に分からないと言わず、知らなくても適当な方向を教えることがあるようで…。実際に私もそのような経験がありました(笑)。
職場でもこの文化が影響してか、トラブルが起きたことがありました。インターンシップが遂に終わりを迎えようとした頃、他のスタッフに、ある資料制作業務の引継ぎをしていた時のことでした。その時は、きちんとその資料制作の締切日も伝え、引き継がれた当人も「No problem 観光楽しんで来てね」と言っていました。ですが、翌日ヨルダンを訪れていた家族とペトラ遺跡を観光中に、上司から一本の電話がかかってきました。内容はというと「資料の制作がまだ終わってないが、大丈夫なのか。」との怒りの電話でした。自分はしっかりと引き継ぎ、締め切りも伝えて、その当人も大丈夫といっていたのに…。結局、ペトラ遺跡からアンマンに夜中の1時に帰ってきて、朝の6時起床、7時に出社して…。ということがありました(笑)。これも問題があっても「No problem」と言ってしまうヨルダンの人たちが持つ「目の前の人をハッピーに」の精神によるものなのだろうか、と思った瞬間でした。
ーーえええ(笑)。problemだらけなのに no problemて言っちゃうんですね(笑)。他にも事前アンケートでカルチャーショックの欄に"押し付けのホスピタリティ"て記載があったんですけど、どういうことですか?
A. 良い優しさなんだけど、奉仕がすぎるというか…。例えば、難民キャンプに向かう時など外回りをする際はドライバーさんがついていたのですが、ヨルダン特有の、熱々で砂糖たっぷり甘々のお茶をほぼ毎回買ってくれるドライバーさんがいました。お金を払おうとしても絶対に拒まれ、ありがとうと言うといつもはにかんでいました(笑)。あとは、同僚でいつも弁当をおすそ分けしてくれる人がいました…(笑)。でも、それがぬるくなったきゅうりを切ったもの(笑)。それでも、日本で言う遠慮が、ヨルダンでは失礼にあたり、むしろ有り難くもらう方が喜ばれるということを感じていたので、極力断らないようにしていました。
最後に奈未さんから読者の皆さんへ一言
このような機会を頂きありがとうございます!当時のことを楽しく思い出しながらインタビューに答えさせて頂きました。コロナ禍ですっかり遠い存在となってしまった海外渡航ですが、やはりその国に実際に行ってみないと分からない文化や雰囲気は存在すると思います。もっとスムーズに海外に行ける日が早く来ることを願っています!
読んで頂きありがとうございました!
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Interviewer: Taisei Homma / Suguru Matsuya
Writer: Taisei Homma
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