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戦争はどうやったらなくなるの?
年明け一発目に夫が息子に問いかけていました。
なぜ戦争がおこるんだろう?
裏でお金儲けをしている人がいるからかな?憎しみあいがとまらないからかな?
悪者が善良な市民を巻き込んでいるね。
なんてありきたりのことを色々考えました。
しかし長く生きてきて思うのですが、戦争はなくなりません。
残念ながらいじめもなくなりません。
人間とはそんな生き物なんだ、と思いながらも頭の中では無意識に答えを探している自分がいました。
私は子育てや人生に行き詰まった時、本や例え話や名言集などを読んだりします。
指南書より、比喩的なものをえらぶ傾向がありそれらからヒントをもらいます。
誰の心に残せるかは分かりませんが、私なりの答えを生み出してみました。
『涙をつむぐ鳥』
はるか昔、空と大地を分かつ世界「エクリオス」では、空に住む「空民」と地に住む「地民」が対立し、長い戦争を繰り広げていました。
空民は翼を持ち、風や嵐を操る技術を誇り、地民は大地の力を借りた豊かな農業と金属技術を得意としていました。
しかし、互いの違いを恐れ、相手を憎むようになり、平和は訪れることなく何世紀も争い続けていました。
主人公:ティリオ
ティリオは地民の少年で、まだ10歳でしたが、戦争の影響で父を失い、母と共に苦しい生活を送っていました。
戦争は彼の心にも深い影を落とし、彼は「空民がすべての原因だ」と信じて疑いませんでした。
一方、空民の少女セリナは14歳。
彼女は翼を使い、戦場でメッセンジャーとして働いていました。
空民側でも、多くの家族が戦争で失われ、セリナも「地民がすべてを壊した」と思い込んでいました。
奇跡の鳥との出会い
ある夜、ティリオは森の中で一羽の不思議な鳥に出会います。
その鳥は純白の羽を持ち、涙を流していました。その涙は大地に落ちるたび、花を咲かせ、草を茂らせる力を持っていました。
「私は『涙をつむぐ鳥』。戦いの苦しみから生まれた存在です。」
鳥はティリオに語りかけました。
戦争が生んだ憎しみや悲しみを受け止め、それを涙として紡ぐことで、癒しの力に変えているのだと。
鳥はさらに言います。
「戦争が終わらないのは、互いが相手の痛みを知らないからだ。もし君が、その痛みを伝える役目を果たすなら、平和への道を開けるかもしれない。」
ティリオは最初、そんな話を信じませんでした。しかし鳥が見せる光景
――空民と地民、どちらも失った家族を嘆き、苦しむ姿を見て、彼の心に小さな変化が生まれます。
空民との接触
鳥に導かれたティリオは、戦場で傷ついた空民の少女セリナと出会います。
最初、互いに警戒しあった二人ですが、鳥が流した涙によって互いの心にある「家族への愛」や「戦争への憎しみ」を垣間見ることができました。
「君たちだって苦しんでいるんだね…」
「私たちも同じだとは思わなかった…」
こうして、二人は少しずつ互いを理解し合うようになります。
戦争を終わらせる計画
鳥の涙を紡ぐ力を使い、二人は地民と空民のリーダーに互いの悲しみを直接見せることを計画します。
地民のリーダーには、空民の人々が飢えや寒さに苦しむ姿を、空民のリーダーには、地民が焼かれた土地で飢えに耐える姿を見せました。
「なぜ、私たちはこんなにも同じ痛みを抱えているのに争っているんだろう?」
互いのリーダーは、自分たちの愚かさに気づき始めます。
平和への道を探る中、鳥の力が徐々に弱まっていくことに気づいたティリオとセリナ。
鳥は自分が生まれた理由が「戦争そのもの」であるため、戦争が終われば消える運命にあると言います。
「それでも、君たちの未来に光が戻るなら、私は喜んで消えるよ。」
鳥の言葉に二人は涙しますが、平和への意志を強く抱きます。
鳥の力と二人の努力で、空民と地民の間に初めて平和条約が結ばれました。
鳥は消えてしまいましたが、その涙が咲かせた花は大地と空を結ぶ象徴となり、誰もが戦争を忘れないための記念碑となりました。
ティリオとセリナはそれぞれの地に戻り、互いの文化や技術を交換しながら、次の世代のために新しい未来を築いていく役割を果たしました。
この物語は「相手の痛みを知ることで生まれる共感」や「憎しみを癒しに変える力」を描いています。戦争のない未来は、誰かが痛みを理解し、その重さを共有するところから始まるというメッセージが込められています。
✨年の初めに世界平和を心より願います✨