【連載小説】ファンタジー恋愛小説:星彩の運命と情熱 第十五話 セレスと言うフェアリードラゴン。ママですってー!!
前話
「いい子ね。さぁ。あなたのお友達に顔を見せて頂戴」
リアナが言うとぱっと光が強く光りばりっと殻を割る音が聞こえた。思わず身を乗り出してセイランは見る。
「みゃう~」
そこにはフェアリードラゴンが一匹生まれたての状態で鳴いていた。シルヴァリアが濡れた体を舐めて綺麗にしている。
「う、生まれたのか?」
「ええ。新しい生命の誕生よ」
そういったリアナの表情には聖母のような美しさがあった。母となった者が見せる表情だ。
『リアナ。セイラン。その子に名前をつけて上げなさい』
先ほどとは違う聞き慣れた声が聞こえてきた。
「グレートマザー! あなたの名前は何というの? それからどこにいるの?!」
リアナが普通に戻って声に問いかける。
『名前だけは言ってもいいでしょう。私の名前は、オリヴィア。あなた達が強く結びつくのを楽しみに待っているわ』
星が少し降ったかと思うと神聖な母性の気配は消えた。
「オリヴィア……。ありがとう。この子は責任持って育てます」
「って、俺の子だ!」
「じゃ、名前つけて保護してね」
はい、とフェアリードラゴンのひなを掌に乗せられる。あまりの小ささに驚きを隠せない。
「しばらく三度のご飯にがんばってね」
踵を返したリアナの背中にセイランは声をかけていた。
「やり方を教えてくれ」
「もうー。自分の子でしょう?」
そう言う割には嬉しそうな表情を浮かべている。その内にひながまたみゃう、と鳴く。
「セレス、だ。お前は。それからお父さんとお母さんはこの二人だぞ」
「ちょっと。お母さんってそんなに早い歳で結婚させないで」
「結婚じゃないけど、にたような物だ。一緒に育てるんだから」
「しかたないわね。セレス、私とシルヴァリアがママよ。二人もママがいるんだから喜びなさいね」
セイランの掌に載っているセレスに言う。セレスはわかったのか、また「みゃう」となく。それからみゃうみゃうとしつこく鳴き始める。
「お腹が空いたって。パパ」
「パパ……」
なんでこの年で、と思うも、帰り道を歩く。
「屋敷でメシ作るぞ」
「いえーい。飯飯!」
「お前のじゃない。セレス、のだ」
「どっちでもいいわよ。セレスの食べる姿可愛いでしょうねー」
頬が落ちそうな感じでリアナが言う。
この女の子を待っていた自分は間違ってなかったか?
つい、また自問自答するセイランであった。
あとがき
このフェアリードラゴン、セレスの話で数話続きます。そしてリアナの豹変ぶりも。フェアリードラゴンに弱いリアナです。そしてその崩れっぱなしのリアナを見てセイラン君は何事か思ってここからが恋の始まりになります。その過程もお楽しみ下さい。書いててびっくりした書き手でもありますが。リアナの心は清いのです。本当はそれはその後の話でちょい出します。フィオナとマルコの恋愛模様を描ければと思いつつ出てこない。セイランかリアナの視点で書かれてるのであちらはほったらかし。なにしてるんだ? 恋の過ちだけやめてよね。なんて思う日々。
ここまで読んで下さってありがとうございました。また明日更新にきます。