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#詩人

声を思い出したよ

声を思い出したよ

母の声がして
母に似た姿が見えた
それまで母の声を忘れていた自分に気がついた
お母さんが帰ってきた
と思ったのに
お母さんが帰ってきたらいいのに
と思った
完璧に現実だと思って掃除機を隅々まで、ほんとに隅々までかけていたのに
この世界は夢だなと気づく
せっかく一生懸命掃除したのに
覚めた視界がまだ波打っていた
父が母に会えたかしら
この世界では2度と元気な母に会えない
会えない
帰らないんだよ

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溶け合う光のものを目にした

溶け合う光のものを目にした

2つの魂が出会うべくして出会ってぶつかり溶けていくのを見た
それはとても幸福な
特別な朝の日でした
そして私はただの傍観者でしかなくて
ということは私にはその幸福はないということ
手を出しても貰えないもの
何を取り繕っても見向きもされないもの
私の魂の行き場は
やはり死にゆく母に連れて行ってもらいたい

今朝

今朝

波に触れると円上に揺れる

そんな仕様が瞼に現れ

外には猫の吐息

枕を占領して

君は何の夢を見る

カサブランカの降る夜に

カサブランカの降る夜に

カサブランカの降る夜に

深緑に紛れて君を追う

夜露と輝く花びらと

一筋の銀色

発光する草原を駆け

遠く稲妻が子守唄

君のいる世界線から

もうすぐ離脱する

絶対に覚えているよと言うのだけれど

目覚めと同時に飛散する

「君」というのは何だ

「世界」ごと消える

カサブランカの降る夜に

再び逢えたとして

僕はまた覚えていられないのだ

白い芳香に酔い踊る

月光に足跡を付けて

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擦り切れ一杯の魅力的な君

擦り切れ一杯の魅力的な君

擦り切れにね

君を容れてみよう

腕がコキュっと折れちゃったけど

仕方がないね

もっともっとほら擦り切れにね

大丈夫丁度いい

擦り切れ一杯 そうそう

君の調味料

みんな驚くね

みんなの驚く顔が見たいな

そう言ったのは君だよ

擦り切れ一杯で量られるあなた素敵でした