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2021年2月の記事一覧

今朝

今朝

波に触れると円上に揺れる

そんな仕様が瞼に現れ

外には猫の吐息

枕を占領して

君は何の夢を見る

カサブランカの降る夜に

カサブランカの降る夜に

カサブランカの降る夜に

深緑に紛れて君を追う

夜露と輝く花びらと

一筋の銀色

発光する草原を駆け

遠く稲妻が子守唄

君のいる世界線から

もうすぐ離脱する

絶対に覚えているよと言うのだけれど

目覚めと同時に飛散する

「君」というのは何だ

「世界」ごと消える

カサブランカの降る夜に

再び逢えたとして

僕はまた覚えていられないのだ

白い芳香に酔い踊る

月光に足跡を付けて

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ヒトは滅びました

ヒトは滅びました

不知火の星をゆたかに掠めて鳥の音

汎用性の身体と共に

記憶はブラックボックスへ

待とう 待とう

再び携える日々を

砂漠の支配者よ

或いは機械の生きる世界

ケシの花が落ちる

恋をするといい子になります

恋をするといい子になります

弱き者よ

魚のように散ってしまう

水路を歩いたね

あれは何時だったかな

冬の

冷たさなんて

たぶん冷たかった筈なんだけれど

思い出せない

じんわりと触れたところに痺れが走る

何も話さなくてもいい

君の一挙手一投足に身を任せている

舌も出せないくらい

僕はいい子になります