【被害妄想】精神疾患の高齢者の介護経験談【個人攻撃】
長年、介護の仕事をして認知症高齢者の方のケアにも携わってきました。
しかし認知症とは別に、『精神疾患』を持ったご高齢者の介護は本当に心が折れるほどキツいものでした。
精神疾患といっても一概には言えませんが、多くは『被害妄想』や『個人攻撃』をする症状が多いですね。
とくにそれらが合わさって自分がターゲットになると、いくら介護の仕事が好きでも、本当に出勤するのがイヤになってしまいます。
精神疾患全般を『アルツハイマー型認知症』と比較すると、記憶力が鮮明で、過去の出来事じたいは覚えているというのが特徴です。
ただ、覚えている出来事にその人の妄想もミックスしているから厄介で、これだったら短期ですぐ忘れてくれるアルツハイマー型認知症の方が楽だとも思ってしまいます。
今日はそんな、精神疾患をもったご高齢者との関わりについて、私の体験談を書いていこうと思います。
(個人事業をして3年、そういったことは一切遭遇していないのですが、介護施設で働いていた頃のお話です。)
何もしていないのに、「あの人は私に嫌がらせをする」・・・と悪者にされる
以前勤めた介護施設(特養)で現場リーダーをしていた頃、自分の担当するフロアの女性利用者A様から、ずっと悪者にされていました。
A様がうちの特養に入居してくる前、事前情報として、精神疾患による被害妄想があるとはきいていました。それが原因で前のサ高住を追い出されたそうです。
ただ、うちに入居してからはとても落ち着かれていました。
彼女いわく
「前のところ(サ高住)はひどかったの。●●さんという悪い職員が私にイジワルをして、その人には近づかないでって伝えていたの。ここは本当に落ち着いていいわ。」
・・・とのことでした。
ただ、その時から私はうすうす感じていたのです😅。
「ここは落ち着いていて良い」・・・そんな言葉は逆に私が一切信用できないと。
案の定、その思いは現実となりました。
A様が施設に慣れてくるにつれ、被害妄想が始まりました。
事前にきいていたし、ここでもそうなる事を予測していたので、それに関しては仕方ないと思いました。
しかしA様の妄想の矛先は、やがて私にむいていきました。
「アルゴさん、あなたここの責任者よね?いつも私に関する嫌がらせ、あなたが全て指示してるんでしょう?わかりきっているのよ…」
私は理解してもらうため、一生懸命そんなことはないと説明しました。
ただ、A様の世界では、私がA様に対する嫌がらせを指示している元凶であることは彼女が確信している事であるので、いくら伝えても誤解は解けませんでしたね。
逃げ場がないからつらい
私は介護職歴も長く、そうしたご利用者とも接してきたのですが、
いざ自分がターゲットとなると、本当につらいものです。
Aさんの妄想が『病気』だと分かっていても・・・・
Aさんに対するケアが『仕事』だと分かっていても・・・・
つらいものはつらいのです。
今は個人事業で、もしそういうお客様がいたら、まず自分の判断でサービスをお断りできますからね。
やっている事は同じ福祉の仕事でも、サービス = 料金の対価 という事を割り切れるのです。
しかし当時の私は組織の一員でしたし、ましてや現場責任者・・・そこから簡単には逃げる事はできませんでした。
本当はそれだけのために部署異動(担当フロア異動)も願いでようかと思ったくらいですが、A様と接する以外はそのフロアがとても気に入っていたのです。
「A様という要因だけのためになんで自分の職場を変えなきゃいけないんだ、馬鹿らしい」
・・・という気持ちで、ただただ我慢していました。
夜勤なんかはスタッフは私一人になりますが、居室も出禁になってしまったので、排泄介助すらできない事がありましたね。
他スタッフ了承のもと、夜間は携わらないし、遅番スタッフと早番スタッフに排泄介助を頼んだりしました。それもつらいのです。
家族の介護はもっと逃げ場のない、地獄
逃げ場がない・・・という話では、
自分の家族で精神疾患の方を介護をしている人はもっと地獄かもしれない・・・と思いました。
よくある話が、嫁・姑の不仲が、やがて姑の精神疾患でお嫁さんが完全に悪者にされてしまうという話です。
デイサービスで働いていたころ、女性ご利用者の同居するお嫁さんに対する悪口を何度きいたことでしょうか。
私からすれば、どうして旦那さんがお嫁さんのフォローをしてあげないんだと疑問でした。
私だったら、自分の母が自分の奥さんにつらくあたっていたら、病気だろうとなんだろうと別居しますね。奥さんを守らなきゃいけないです。
私がAさんに接していた時間は週5日40時間くらいです。それでも、Aさんが寝ている時間もあればお風呂に入っている時間もあります。40時間ずっとAさんの介護しているわけじゃないのです。
ただ、同居する家族が精神疾患の場合は、その地獄の時間は長いです。
自分の実の父・母であればまだしも、嫁・姑のような血のつながりのない関係は、想像するだけで恐ろしくなりますね。
ただ、つらい時間というのはいつか必ず終わりが来ます。
私がAさんに接していたのは実質、1年にも満たない期間です。
やがてAさんには精神疾患の強い薬が処方され、ADLも落ち、徐々に寝たきりになっていきました。
ただ、その過程でAさんは、薬の効果もあって被害妄想もすっかりなくなり、私も普通にケアできるようになったのです。
結果的に薬がAさんの体力を奪ってしまったとしても、不安や妄想から解き放たれて良かったと思っています。
Aさんが亡くなる1、2ヶ月ほど前は、Aさんは私に笑顔で接してくれるようになりました。その頃には私の名前も忘れてしまっていましたが・・・。
もし、家族介護でつらい思いをしている方が見ているとすれば、絶対に自分ひとりで解決しないようにしないでほしいと言いたいです。
サポートですか・・・。人にお願いするまえに、自分が常に努力しなくては。