天岩戸神社から高千穂神社へ(宮崎県)
日本列島の古い地層の周辺には、不思議と多くの聖地が置かれていることが知られています。
神社形式が成立するよりずっと昔の太古から、ここは聖地であったのだろうと思える場所があります。
高千穂もそのひとつなのです。
最近ではアニメ「推しの子」※ にも登場し、こちらの聖地として訪れるひとも増えるかもしれません。
※第2期放送(2024.7.3〜2024.10.6)
宮崎県の高千穂町には、日本神話に登場する場所と伝えられている聖地が点在しています。「古事記」の物語も踏まえながら、お詣りしてしてきました。
▪️アマテラスの天岩戸隠れのストーリー
スサノオをかばいきれず、恐れたアマテラスは天岩戸に身を隠してしまう。天上界(高天原)も地上界(葦原中国)も世界中は真っ暗になってしまい、悪神や悪霊が跋扈し禍いが拡がります。
困った神々は天安河原(あまのやすかわら)に集まり相談します。
タカミムスヒの子、知恵の神オモイカネは作戦を立てます。
まず、常世の長鳴鳥の、光を呼ぶ鳴き声で悪神や悪霊を追い払います。
鍛治の神アマツマラと鏡作りの神イシコリドメのふたりが八咫鏡(やたのかがみ)を作ります。
玉作りの神タマノオヤは八尺瓊(やさかに)の勾玉を真榊につけて御幣(ごへい)とします。
言霊の神アメノコヤネと祭祀の神フトダマが神意を占い準備が整いました。
天岩戸の前で、フトタマは御幣を捧げ持ち、アメノコヤネは荘重な祝詞を唱えます。
強力の神アメノタジカラオは天岩戸の脇に隠れ立ちます。
天岩戸の前ではアメノウズメが桶を踏み鳴らし神がかりして踊り、神々は囃し立て大笑います。
アマテラスは天岩戸を細く開けて外を覗き、なぜ笑っているのか尋ねます。
「あなたさまより尊い神様がおいでになったのです」と返答され、少し開いて外を覗く。そこへフトダマが御幣の鏡を差し出す。
アマテラスは鏡に映った自身の姿を見ていよいよ不思議に思い、さらに岩屋戸から身を乗り出します。
その機を逃さずタジカラオがアマテラスを引き出し、フトダマは注連縄を張り戻れないようにしました。
こうして世界には太陽の光が輝きもとの明るさを取り戻し、スサノオは高天原から追放されてしまいます。
「古事記」人気のシーンです。
宮中に伝わる三種の神器のうちのふたつがここで登場しています。
神話に登場する場所を訪れました。そのうちのいくつかを記録します。
▪️天岩戸神社
高千穂町を流れる岩戸川を挟んで、東本宮、西本宮と天安河原があります。
「東本宮」
アマテラスが天岩戸からお出ましになった後、最初に住んだ場所です。
御祀神は天照皇大神。社殿の奥には御神水と七本杉を見ることが出来ます。
さらにその奥にある御神体「天岩戸」は禁足地で入ることは出来ません。
鳥居前には無料駐車場があります。
「西本宮」
天照皇大神の別称、大日霎尊(おおひるめのみこと)が御祀神です。
御神体の「天岩戸」は川の対岸にあります。
神職の案内で拝殿裏側から遥拝所へ廻ることで御神体の遥拝が出来ます。
御朱印などの授与所は西本宮側のみにあります。
西本宮前には有料駐車場があります。
▪️天安河原
西本宮から500mほど歩いた岩戸川沿いに仰慕窟(ぎょうぼがいわや)という洞窟があり、その前が天安河原です。
訪問した時、他に誰もいなかったせいか、なぜかゾクゾクしました。
それは仏教の賽の河原のように石積みされた景色に、何やら念のようなものを感じたせいなのかもしれません。神仏習合の時代にこうなったのかも。
とても神話の世界の景色には見えません。
しかし、なぜか洞窟の注連縄の内に入ると不思議に和らぎました。これは言葉では説明し難い本当に不思議な感覚でした。
洞窟の奥に鎮座する天安河原宮には思兼神と八百萬神が祀られています。
天安河原は西本宮から歩いて500mほどです。徒歩以外では行けません。
▪️高千穂神社
一之御殿には高千穂皇神(たかちほすめがみ)が祀られています。
瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)や木花咲耶姫命(このはなさくやひめのみこと)など日向三代といわれる皇祖神を高千穂皇神と総称しています。
二之御殿には十社大明神が祀られています。
神武天皇の皇兄、三毛入野命(みけぬのみこと)とその妻子神九柱が祀られています。
本殿と神楽殿のあいだ辺りに鎮石があります
境内には夫婦杉と樹齢800年の秩父杉があります
神楽殿では毎夜、高千穂の夜神楽(岩戸神楽)が行われます。近隣の宿泊客、観光客が大勢見学に来ています。
高千穂の夜神楽は国の重要無形民俗文化財です。
神話の世界観というより、夫婦円満を象徴する民俗的な要素が強くなっていますが、観客から笑い声も上がる楽しい内容です。
高千穂神社には広めの駐車場があります。
▪️荒立神社
猿田彦命と天鈿女命が主神で芸能の神として人気があります。アニメ「推しの子」のシーンに登場していました。
こちらも十分な広さの駐車場があります。
皆さん、六根清浄板木をカンカン鳴らしています(写真なし)
▪️高千穂峡
真名井の滝とボートの景色が有名で、日本の滝百選のひとつです。
古事記でも登場する真名井の滝は落差17mほどあるそうです。
個人的には柱状節理がよく観察出来て、おおぉとなります。
柱状節理とは、噴火により流れ出た火砕流が冷えて固まった時に柱状になったものをいいます。
ボート乗場に近い第1御塩井駐車場(有料500円)はすぐにいっぱいになります。近隣道路の要所には誘導係のひとが立っていて空いている駐車場の方を示してくれますので、素直に従って進むのが良いでしょう。
第2あららぎ駐車場(有料300円)は散策に程よい距離感です。
ボート乗場まで歩いて15〜20分程。
第3大橋駐車場(無料)は第2あららぎ駐車場まで5分程度ですが、急な坂道をきつく感じるひともあるでしょう。
ボートは事前予約していないと、乗るのは難しいというイメージです。
日本神話の世界、高千穂