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聖地へ|熊野詣(3)
前回まで
熊野古道のひとつ大門坂を登り、熊野那智大社と青岸渡寺から、飛瀧神社・那智瀧に詣でたのち、熊野速玉大社と熊野本宮大社へ向かいました。
ここからが今回です
熊野三山の主祭神と本地仏
・熊野本宮大社 家津美御子大神(スサノオ)
・熊野速玉大社 速玉大神(イザナギ)
・熊野那智大社 夫須美大神(イザナミ)
那智別宮飛瀧神社 大己貴神(オオナムチ)
平安時代以降は現世における極楽浄土の聖地として神仏習合してそれぞれに本地仏が教えられるようになります。
・熊野本宮大社 阿弥陀仏
・熊野速玉大社 薬師如来
・熊野那智大社 千手観音
熊野速玉大社
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参道の正面にある神門をくぐると鮮やかな朱色の拝殿があり背後の緑の樹々と美しいコントラストです。
ここから南方へ1km程の場所に、飛地境内摂社である神倉神社があり、巨大な磐座である「ゴトビキ岩」は御燈祭でも有名です。
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巨石は神が降り立つ磐座
熊野本宮大社
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写真奥から第一殿(夫須美大神/イザナミ)、第二殿(速玉大神/イザナギ)、第三殿(家津美御子大神/スサノオ)、第四殿(天照大神)
参拝順序があって、第三→第二→第一→第四、そして満山社(四殿の隣、写真右方向で見切れてます)とのことです。
主祭神である家津美御子大神=スサノオさまを先ず詣でましょう、ということです。
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多羅葉は葉の裏に文字を書いたので葉書の語源だそうです
旧社地 大斎原
御本殿から旧社地大斎原まで歩いて10 分程です。
途中にある産田社(イザナミノミコトの荒御魂が祀られる)を詣で向かいます。
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明治22(1889)年の大水害まで社殿があった川の中洲にあたる場所です。
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かつてはここに上社・中社・下社からなる十二殿があり、熊野十二社権現と呼ばれていたそうです。
現在の場所へ移転してからは上四社のみお祀りし、他の八社は旧社地に石祠としてお祀りされています。
伊勢神宮などでもなぜか古殿地に不思議な気配を感じるのですがが、この場所もそうでした。
宮澤賢治風に言うとこんな感じです。
まつたく不思議におもはれます
どうしてかわたくしはここらを
der heilige Punkt と
呼びたいやうな気がします
話が逸れました…
熊野詣出のまとめ
神道以前の古来は巨石の磐座や大瀧への崇拝があったようです。またイザナギ、イザナミの伝説もある死者の霊魂が赴く聖地でもあります。主祭神は神道の原型といわれる氏神信仰を超越したものです。
その後、神仏習合では現世における極楽浄土とされ、貴族や女院の参詣が始まります。
その後は修験者や比丘尼と呼ばれる尼僧が諸国を巡り、庶民に信仰を拡めたことなどを思うと、熊野詣はいろいろな立場の人々を惹きつけ、女性にも優しい場所であったようです。
また何度も詣でたい聖地のひとつなのです。
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