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花相の読書紀行№45『いつまでもショパン』

貴方の心にもショパンが届きますように。

【いつまでもショパン】/中山七里
<あらすじ>
映画化された大人気の音楽ミステリー『さよならドビュッシー』シリーズ最新刊です! 難聴をかかえながらも、世界的なピアノ演奏コンクール、ショパン・コンクールに出場するため、ポーランドに向かったピアニスト・岬洋介。しかし、ショパン・コンクールの会場で殺人事件が発生。遺体は手の指10本がすべて切り取られるという奇怪なものだった。岬は鋭い洞察力で殺害現場を密かに検証していく! 『このミステリーがすごい! 』大賞シリーズ。

★感想
岬洋介シーズ第4作目(「さよならドビュッシー-前奏曲」を含む)
この時にこの本を読んだことは、私にとって見えない何かが働いているのかと思わせられました。
全作品たちのように音楽をめぐる国内で起こった事件を題材にされていると思っていたので、冒頭で“??”と疑問符が頭の中で連打され、読み進めていくうちに心に大きな衝撃を味わいました。
勿論、ここに出てくるピアニストたちが奏でるショパンを文章で感じることも忘れてはいないのですが、それ以上に悲しく切なく遣る瀬無い思いを抱き続けました。
岬さんの心が、滲みわたっていきます。

“何者も人の命を奪ってはならない”っと…。

“侵攻”という戦場の報道を見るたび、何故ただ普通に暮らしている人々が、ましてや幼い子供まで殺されなければならないのか。
政治的なもに国策的なものに武器なんか要らない。
必要なのは、日々を生きている人々の平穏な暮らしではないのですか?
穏やかな日差しの中で、無邪気に笑う子供たちの姿ではないのですか?
戦線のそこにいるすべての人たち
今すぐ武器を置きなさい
戦闘機を降り
戦車を降り
降り注ぐ日差しを、吹きすぎる風を、さわさわと揺れる木々たちを感じてください。
そこに貴方の家族が映りませんか?

出来るなら両者の真っただ中で叫びたい!

物語の終盤、そのシーンを思い受べるたびに瞳が熱く潤みます。
今、戦いの中にある全ての人々に…ショパンの“ノクターン第二番変ホ長調”を捧ぐ。

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