花相の読書紀行№.83『北壁の死闘』
青春アドベンチャー
【北壁の死闘】/ボブ・ラングレー
<あらすじ>
【日本冒険小説協会大賞受賞】
アイガー北壁の難所、《神々のトラバース》を登攀中のクライマー2人が、奇妙な遺体を発見した。白骨化した下半身、氷漬けになっていたため損われていない上半身には、ナチ・ドイツの騎士十字勲章と美しい女性の写真をおさめたロケットをかけている。2人は下山後警察に通報するが、発見をかたく口止めされた。話をききつけたBBC調査員が探り出した意外な事実とは? 息もつかせぬ迫力の登攀シーン、山岳冒険小説の傑作! 訳者あとがき=海津正彦
★感想
ハラハラドキドキの山岳・冒険ミステリ。
濃厚なストーリーだけど、一気に読んでしまいました。
山岳小説では傑作の一つと勧められましたが、まったくその通り!
登山経験者さんも、まったく山に登ったことがない人も是非読んでみて下さい。
読み手をぐいっと掴んでしまう始まり方が、視覚的で素晴らしいです。
本編の中心は、第二次世界大戦末期、ナチスドイツが登山経験のある精鋭たちをアルプスに向かわせた作戦です。その作戦のために“魔の北壁”を踏破せざる負えなくなり、そこから壮絶な高峰との戦いが始まります。
とのかくリアルに肌に沁み込んで来る文脈で、極限状態の登場人物たちの思いが迫ってくるようです。
その迫力を、是非味わって頂きたいです。
そしてこれを読んだら、きっと本物のアイガー北壁を見たくなります。