私たちは、私たちがアフリカ人を殺していることを知らない。
私はアフリカのことを知らない。
アフリカゾウが今、絶滅の危機にあるということも。
アフリカは貧しいというイメージはなんとなくある。
アフリカにはその貧しさゆえ、象牙を売って金儲けをしようとする密猟業者が存在するらしい。
彼らは金のために、数え切れないほど多くのゾウを殺しているという。
象牙を得るために、顔をえぐり取るのだ。
人間たちが好き放題やってきた結果、現在のアフリカゾウの生存数は1930年代の10%ほどだという。現地でゾウを保護しようとしている団体は存在するものの、もはや追いつかないレベルで減少の一途をたどっているらしい。
それでも密猟業者たちがゾウを殺し続けるのは、金になるからである。
ゾウを一頭仕留めることで1年分の収入を稼げるという。
いったい誰が、象牙と引き換えに大金を差し出しているのだろう。
アフリカは遠い。
メディアにおいても、アフリカのことはあまり取り上げられないし、私にはどこか遠くの違う惑星かのように感じられる。
だから知らないし、想像出来ないのだ。
アフリカの人々が何に笑い、何に怒り、何を食べ、何を楽しみ、どんな生活をしているのか、私は知らない。だから、親近感が湧かない。
2013年、「ウエストゲート」という大型ショッピングセンターで100人以上の人が犠牲になった。
2015年、ガリッサ大学で150人近くが犠牲になった。
いずれもケニアで起きたイスラム過激派組織「アルシャバブ」による襲撃事件だ。
私は無関心で、これらの事件すら知らなかった。
そして、これらのテロ組織の資金源が、密猟で得られた金であることも。
象牙を売ったお金で購入された武器で、罪のない人々が大勢殺されたのだ。
では、大金出して密猟業者から象牙を買っているのは一体誰か。
日本人である。
日本人は印鑑を所有している。
それらは例えば石や木や金属などで作られているが、象牙で作られた印鑑というのは人気が高い。
日本は紛れもない「象牙消費大国」なのだ。
見た目がきれいで、印影が美しくなるといわれ、さらに、縁起が良いと信じられているようだ。また、希少価値の高さもその人気を押し上げているという。
それはつまり、数多くのゾウの命が、そしてアフリカの人々の命が、私たちの陳腐な欲求を満たすために犠牲になっているということを意味する。
2016年の第17回ワシントン条約締約国会議では「世界中の全ての象牙市場を閉鎖すべきか否か」が議論された。
「象牙の国内市場が密猟および違法取引の一因とならないように、閉鎖する」というアメリカや中国など29か国の提案に対し、日本やアフリカの数カ国は「密猟や違法取引の一因とならなければ良い」という姑息な解釈を主張し、真の狙いであった「世界中の全ての象牙市場を閉鎖」は実現しなかった。
ゾウを殺したのは誰だ。
無実の人々を死へ追いやったのは誰だ。
もう、私は知らない、では済まされない。
以上、冒頭に挙げた本をベースに書いた。日本人全員に読んでほしい本だ。
時間があればこちらのショートムービーも是非みてほしい。