俳優ノート『緒形直人さん』
気になる俳優さんの出演作についての覚え書き「俳優ノート」。今回は2024年9月30日にスタートする、橋本環奈さん主演の朝ドラ『おむすび』に出演する緒方直人さん。父は名優として名高かった故・緒形拳さん、妻は女優の仙道敦子さん。青年座映画放送所属。
今田美桜さん主演の2025年前期朝ドラ『あんぱん』に比べると、キャスティングが地味とネットニュースに書かれていた『おむすび』。改めて追加キャストを確認すると、緒形直人さんがいました。
緒形拳さんがあまりに有名だったため、二世俳優としてのプレッシャーも半端なかったでしょうが、映画『優駿 ORACIÓN』(1988年)に斉藤由貴さんの相手役として華々しくデビュー。日本アカデミー賞新人俳優賞などを受賞。
翌1989年には、フジテレビ「月9」ドラマ『同・級・生』の主人公に大抜擢(安田成美さんとのW主演かな)。最終回視聴率20.8%と、この時期としてはまずまずの結果を残したトレンディ俳優でもありました。ちなみに、今や世界的に評価される坂元裕二さんの連ドラ初脚本作品でもあります。
脚本家・遊川和彦さんの「ブギ」3部作の一つ『予備校ブギ』(1990年)に主演した後、1992年には大河ドラマ『信長 KING OF ZIPANGU』の主人公に大々抜擢。拳さんも大河ドラマ『太閤記』『峠の群像』に主演しており、親子2代での大河主演というレアケースとなりました。
2000年代以降は脇役が多くなった印象で、ドラマ版『世界の中心で、愛をさけぶ』(2004年)が記憶に残るところ。とはいえ、これも17年前の主人公・松本朔太郎(山田孝之さん)の現在の姿ですから、主演ではないけれど主人公ではありました。綾瀬はるかさんのブレイク作でもあります。
近年は『半径5メートル』(2021年)、『六本木クラス』(2022年)、『アンチヒーロー』(2024年)と、挫折を味わった人間の悲哀を絶妙に演じています。『おむすび』でのキャラクターは以下の通り。妻を震災で亡くした設定なのかな。
神戸・さくら通り商店街で靴店を営む、腕利きの靴職人。寡黙で口下手なため誤解されやすい。以前に妻を亡くしてから頑固になり、商店街の中で孤立するように。男手ひとつで一人娘を育てている。
橋本さん演じる米田結の姉・歩(仲里依紗さん)が、福岡で「伝説のギャル」を演じるなどの話題が先行し、一体どんなドラマだろう?とまだ掴めていない方に、本作の「真のテーマ」を紹介しておきます。『あまちゃん』『おかえりモネ』に続く震災「朝ドラ」です。
2025年1月17日、阪神・淡路大震災発生から30年を迎えるにあたり、連続テレビ小説『おむすび』は、阪神・淡路大震災が起きた瞬間とその後を正面から描きます。