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美大に合格した(#225)
ティーアが美大に合格した。嬉しい。涙が出るほど嬉しい。
初めてティーアにお絵かきの個人レッスンをしたのが、彼女が16歳の時だ。それから4年経って、もう二十歳だ。
今年初めてのレッスンをする前に、ティーアとティーアの母親と私と3人で合格の喜びを分かち合った。自閉スペクトラム症(ASD)を持っているティーアにとっては、美大に合格したことは特別な意味を持っている。
振り返ってみると、この4年間の彼女の成長は目を見張るものがあった。もともと私と個人レッスンを始めた理由は、グループレッスンに参加すると、緊張と完璧主義の傾向で、発作が出るからだった。当時は10代の思春期ということもあって、結構大変で、腕には自傷行為の傷が何十本もあった。カッター類は持たせないようにと医者に言われていたようだ。
私とのレッスンも、当初は体が震えたり、目がトロンとして脳がシャットダウンする症状が頻繁に起こった。それでも、彼女と私には共通点が色々あったので、それが助けになった。好きな絵や漫画、本などの話ができた。そうやって、好きなものについて話していると、ティーアもリラックスして、すぐに距離を縮めて、友達になれた。
ティーアには絵を教えるというよりも、お互いに描いた絵を見せ合ってそこから何か新しいことを見つけ出して、次の作品に繋げるというようなレッスンがいいとわかった。完璧主義の傾向があるので、正解があって、それに近づけるようなレッスンは彼女には合わない。
ティーアの方から「去った週は何を描いたの?見せてくれる?」と私にきき、私の作品を見て感想を言う。そして、刺激を受けたら、もう自分勝手に描き始める。私はそれを見て感想をいう。「あ、それはこないだ見たあの作品にも似てるね」と言ってネットで探す。そして、ああ、こういうのもいいね。と刺激を受けてまた描き始める。こういうレッスンの方が、結果的に彼女の創造力を伸ばすのに良いとわかった。
週に一度の私とのレッスンで自信が持てて、学校でアートを選択して学べるようになった。それまでは、好きなアートの科目で失敗するのが怖くて選択できなかったのだ。その後も高校卒業資格試験でアートを選択して満点をとることが出来た。
そういうひとつひとつの積み重ねで、この美大合格に至ったのだ。ティーアを心の底から誇りに思う。よく頑張った。(涙)
ティーアと母親から、これからも引き続き個人レッスンをお願いしたいと言われた。私のことをメンターと呼んでる。光栄だ。これから先のティーアの成長を見るのが本当に楽しみだ。
彼女が美大に申し込むときに書いた「志望理由書」が、とても正直に彼女らしく書けていたのでその一部を載せて今日は終わりたい。
<一部を引用>***
私は完璧主義に陥りやすく、自身の作品を客観的に評価することが難しいと感じることがあります。このため、水彩とペンという修正が効かない素材に向き合うことで、自分自身に挑戦してきました。
「美しさ」に縛られないアートに惹かれるのも、こうした自己評価の難しさが背景にあります。むしろ、意図的に「醜い」表現や伝統的な美から離れたアートに取り組むことで、より自由な自己表現が可能になりました。この視点は、ジェニー・サヴィル、ベン・クイルティ、エゴン・シーレといったアーティストたちに大きな影響を受けています。
現在、私が特に興味を持っているテーマは「身体の表現」と、それによって引き起こされる感覚や感情、認識に関するものです。HSCの課題作品は、自閉スペクトラム症(ASD)による感覚過敏や自己認識の体験をテーマに制作しました。
特に、ホラー、とりわけボディ・ホラーのテーマに惹かれています。感情を誇張し極端に描くことで、どのように個人的なメッセージを伝える手段となるのかに強い関心を持っています。このテーマは私にとって非常に個人的でありながら、普遍的な共感を生む可能性があるものだと感じています。
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今年はあなたは何にチャレンジしようと思ってる?私はもっと文章上手く書けるようになりたいな〜。あなたの想像力が私の武器。今日も読んでくれてありがとう。
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