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手紙の一枚 3
階段で滑って転んで大ケガをしたあなたへ
おはよう。もう11月になりましたね。
毎日朝晩が一段と冷えるようになってきて、夕べはとうとう電気ストーブを引っ張り出しました。寒がりの私なので、寝るときの湯たんぽが登場する日も近いです。
あれから、数週間たちますね。
調子はどうですか?リハビリは順調ですか?
あなたは、私がnoteを書いているのも知っているし、音声配信をしているのも知っているけど、あなたは、それらを読もうとも、聴こうともしないけど、私、この手紙を書いています。
あの日の夕方、買い物から帰ったら、いつものようにゆったりとソファに座っていたので、まさかそんな事が起こっていたとは、思いもしませんでした。よりによって、某寄せ書きRADIOで、ちょうど「#我ら失敗団」の話をしていて、お義母さまが昔、何の料理に何と間違えて油をドバドバ入れたのかを聞いたばかりで、「俺は身体を張ってネタを提供したとよ、さすがやね、俺www」とか言ってたけど、私はそれどころじゃなかったです。
翌日の手の腫れ具合は、私のリンパ浮腫よりひどかったですね。
私は骨折の経験がないから、骨折の痛みは分からないけど、めちゃくちゃ痛かっただろうと。手のひらの骨折が救急病院で分かって、早く処置ができてよかったです。
でも、足はレントゲンとCTでは分からなかったですね。救急病院の先生はしきりに「足が怪しいんですけどね・・・まあ、1週間経っても痛かったらMRIを受けてね」と言っていましたが、整形外科で数日後撮ったMRIの一枚を見たら、まあ、整形外科の教科書に載ってるような見事な大腿骨頸部骨折でしたね。そりゃ、2階には上がれないはずです。でも職場で2階に上がっていったというのが、今でも信じられません。
え?骨折ではない?
ああ、そうでしたね。正確にはヒビでしたね。でも、あと数センチで骨折だったじゃないですか。その日から、右足を地面に着けるな令が出ましたね。あの時の整形外科の先生は、4週間って確か言ってたけど、紹介された大きな整形外科の先生は2ヶ月って言ってましたね。
そうそう。MRIを撮った整形外科で、「これから4週間松葉杖ね」と言われて、診察室で真剣に松葉杖の説明を聞いて、看護師さんたちも杖の準備をして、いざ使ってみましょうと言われ、立ち上がった瞬間に、「あ、手が折れてたね」とか「うん、今さらやったね」とか、みんなで大笑いしたのが、もう随分と前のことのようです。
大きな整形外科に行く前日、「絶対、入院よ」と言う私に、「いきなり入院はなかろうもん」としきりに言ってたけど、携帯の電源コードを選んでもらっていて、結果オーライでした。
撮った。
大きな整形外科病院に行った日。病院に着くや否や、あなたは問答無用で車椅子に乗せられましたね。人生でいつかはあなたの車椅子を押す日が来るかもしれないと思っていたけれど、こんな形で来るとは思っていませんでした。
紹介状や、今までの検査結果が入ったCD-ROMを持って行ったので、診察はすんなりいって、そして、そのまますんなりと、入院&手術が確定しましたね。今だから言うけど、車椅子に座っているあなたの横で、あんなに書類にサインをしたのは自分の乳がんの治療以来で、なんかちょっと懐かしいなんて呑気なことを思いながらサインしてました。
このご時世なので、入院病棟へは付き添えず、車椅子に乗ったままエレベーターの前で見送った時、「看護師さん、暴れたら容赦なくお願いします!」と言った私を鬼だとあとで言ってたけど、過去の手術で気管挿管を抜いた前科がある、あなたですもの。そう言いたくもなりますよ。
手術の日。
私は手術が始まる前から、病院の受付の椅子に座って、手術が終わるのをじっと待ちました。大腿骨をボルトで固定する手術で、すぐ終わると言われていたものの、何が起こるか分からないのが人生。待っているうちに気を紛らわそうと、note書いたり、イヤホンで東京スカパラダイスオーケストラや風味堂、スターダストレビュー、あなたが好きなB'zやアニソンを聴いたりしていました。
手術が終わって、レントゲン室へ向かうあなたの姿を一瞬見た時、入院するまでのドタバタから一気に解放されてホッとした自分がいました。でも麻酔から完全に目が覚めていて、折れた方の手で、私ににこやかに手を振ったのは、私も看護師さんもぞっとしましたよ。
何はともあれ。
あとは、骨が接ぐまで、じっとして、リハビリして、ゆっくりのんびりしてほしいです。ちょっと動けるうようになったからとか、ベッドから自分で車椅子に移動してもいいという許可が下りたからとか、あなたはすぐいろいろ動こうとするので、そこがとても心配です。
毎日のメールのやり取りで、食事のことを聞くと、9割の確率で「また魚~🐟」と返してくるのを見ると、普通食ではなく、カルシウム食を出されているような気がしてなりません。たまに豚カツだったとか、唐揚げだったとか言うけど、それはきっと魚のすり身カツとか、大豆ミートだとか想像してしまう私です。
好き嫌いが多いから、全部ちゃんと食べてほしいなと思ってます。あ、でも、トマトは地球の食べ物じゃないと言い張るから、トマトは食べんでもよかです。でも、他の食べられそうなのはちゃんと食べてほしいです。
身内は「何キロ痩せるやろうか~」「ダイエットたい」とか、好き勝手言ってますが、あなたも少しダイエットをしようと思っているようなので、そこはちょっと楽しみです。
まあ、昔は100キロを超えていたから、それから比べるとここ数年の2ケタ台キープは、偉いと思います。
入院してから、ついこの前は90キロを切ったので、このまま順調に健康的にダイエットできるといいですね。あ、いや、ダイエット入院ではなかったですね(笑)
いつも、あなたのお義母さんと、私の母に電話すると、決まって、こう言われます。
「何かいるもんがあったら、すぐ言うとよ!調子に乗って動かんとよ!じっとしとかないかん!怪我人は怪我に集中しとかないかん!寝たきりになったらいかんよ!普段運動不足なんやけん、リハビリで鍛えてもらったら、いいたい!この機会やけん、しっかりダイエットしておいで!めっちゃ楽しみやね〜!」
あのー、私に力説せずに、本人に言ってもらえないでしょうか…。っていうか、やっぱり入院目的がすり替えられてるような気がします…。
そして、お母さんたちに、こうも言われました。
「期間限定やけど、ゆっくり羽根を伸ばしなさい」
と。ありがたいのですが、普段からだいぶ羽根を伸ばさせてもらってるので、これ以上羽根が伸びたら、私は宇宙にでも行ってしまうのではなかろうかと友達が心配してます(笑)
でも、冗談抜きで何か必要なモノがあったら、すぐ連絡してね。洗濯物のバッグに入れておくからね。タブレットを持っていってるから、まだテレビカードを買っていないようだけど、買っていいからね。
ちゃんと階段が上がれるようになるまで、
しっかりとリハビリしてきてね。
追伸
退院したら、うちで、あなたの大好きなもつ鍋を一緒に食べようね。