シェア
秋曈 鋳蔦
2021年5月24日 01:38
月が顔を見せる頃になると、胸中の蟠りが忍び足で掴みかかる。そうして囁き具合の波音が、今度は覆って襲うように寝付きの邪魔をする。邪険でありながらも私があの黒々しい麗しさを求む訳の一つには、きっと夜空が落ちてきたように、そのまま飲み込んでくれるだろうと期待をしているからである。そして二つには、矢張り、傷に沁みるような人への容赦の無さと底にある悪戯が簡単には許さないと言っているからで、これは酷い濁