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幽霊の鉛

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2023年3月の記事一覧

さざめかない ろ過した音だけ 打ちひがる
痕跡だけを 指に遺す

指圧した
羽音が目立つ黄金色
音もせず
違うとも言えず
ただ殺生を悔やむ馬鹿の善

車内男女交際 飯の匂いが臭いな
お前らだけが食う飯
家に帰って一人で食べぬ意思
屁でもこいたかな
飯と一緒はちとやめてくれや
生と死と性と詞に全部は子種に言い訳つけて
コインロッカーにスてりゃ全部なかったことになるんだ
初めからやり直せるんだ
初めからやり直せるんだ
な訳、馬鹿

散った
馬鹿にしやがって
あーそうだ浮き輪に穴が空いてたんだ
岩肌に噛まれて血が出てたンだ
気にしてなかったけど気にしなきゃいけなかったな
でも教えてくれないアンタだって悪くないか
溺れていくのを見たかったか
あぁ、そうだろうな
お前もそうだろうな
多分
被害妄想の水死体一つ

きみ、きみ
はるうらら
へへ、うかれてる
あしたはのんだくれてやろう
あーおれはしぬのかな!
きっとしあさって車に轢かれてしぬのかな!
それじゃあ仕方ねぇや
だったらきすしてくれや
お前の手で先に殺してくれや
きみ、きみ
はるうらら
へへ、うかれてる
うかれちまってんだ

ひとひとりでも死ねば何か機転が利くかと思っていた
人任せな事は仏様がしかと許さんみたいで
冷凍保存された手は何となく柔らかくて
死体って随分綺麗におめかしされるとてんで何も感じない
じゃあ目の前で潰れたら
ひとひとりでと死ねば何か機転が利くかしら

いつも海に沈められている
顔を、押し付けられて
希望を持たせたねずみは足掻くらしい
死のみを知る鼠は死ぬ
鼠は死を恐れない
犬は死を知るか
猫に遺体を嗅がせた
不思議そうに顔を見る幼い子
重い布にお襲われて
厄介な儀式に囚われる
ああ期待したのが馬鹿だった
相変わらず