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なにが君のしあわせ? 〈生きがい〉について考えてみた
〈生きがい〉なんて漠然としているが、
あらためて向き合う「きっかけ」があった。
そのヒントになった一冊を紹介したい。
〈生きがい〉を読んで
「 感 想 」
茂木健一郎の本をよく読み、参考にすることが多い。
そんな著者の他の本を探している際に、この本に偶然出会った。
うわさに聞いて、存在は知っていたが、
文庫化されていたので、購入に至る。
いざ読んでみると、これまで〈生きがい〉なんて考えもしなかったので、
新鮮で、気づかされることが多かった。
その内容は、
目 次
第一章
〈生きがい〉とは何か
第二章
朝、目を覚ます理由
第三章
〈こだわり〉と小さく考えることがもたらすもの
第四章
〈生きがい〉の感覚的美しさ
第五章
フローと創造性
第六章
〈生きがい〉の持続可能性
第七章
人生の目的を見つける
第八章
あなたを殺さぬものあなたを強くする
第九章
〈生きがい〉と幸福
第十章
あなたがあなたであるために、あなた自身を受け入れる
結 論
自分自身の〈生きがい〉を見つける
という項目で、著者が日本の〈生きがい〉とは何かについて、
英語で書いてロンドンで出版された本。
反響もあり、その後31カ国、28言語での出版が決まった。
本書はその本を逆輸入し、日本語訳して出版された。
NHKの番組でも紹介された。
「〈生きがい〉とは何か」というテーマで、外国でも有名な日本の文化
(相撲・神道・コミケ等)を例にしてわかりやすく、
人生におけるその大切さを説明している。
最終的に、自分で〈生きがい〉を見つけることへと読者を導く。
心にひびいた箇所
読者への覚え書き 〈生きがい〉の五本柱
柱1:小さく始める
柱2:自分を解放する
柱3:持続可能にするために調和する
柱4:小さな喜びを持つ
柱5:〈今ここ〉にいる
第五章 フローと創造性
「もしも努力する過程こそを自分の幸福の第一の源にできたなら、
あなたは人生の最も重要な課題に成功したことになる。」
という文章には目から鱗が落ちた。
そういう〈生きがい〉もあるのかと、希望が持てた。
第九章 〈生きがい〉と幸福
「要は、幸せになるためには、自分自身を受け入れる必要があるのだ。自分自身を受け入れることは、私たちが人生で直面する中で最も重要で、難しい課題の一つである。しかし実は、自分自身を受け入れることは、あなたが自分自身のためにやれることの中では最も簡単で、単純で、有益なことである。――これこそ幸せになるための、低予算、メンテナンス不要の公式だ。
ここでのひらめきは、自分を自分として受け入れることは、逆説的に『自分を解放する』ことにつながる、ということだ。特に、こういう風になりたいとあなたがしがみついている架空の自己があるときはそうなのである。
あなたは、自分自身を受け入れて、幸せになるために、その架空の自己を手放す必要がある。
モーリス・メーテルリンクの戯曲『青い鳥』では、少女ミチルと、兄のチルチルが幸せを探す旅に出る。この兄妹は幸せの青い鳥はどこか別のところにいるのだろうと考えている。たくさんの努力をするにもかかわらず、幸せの青い鳥はどこにも見つからない。
がっかりして、家に帰ってくる。すると幸せの青い鳥が、まさに自分たちの家にいて、元気よくさえずっているのを見て驚く。
実際、幸せの青い鳥は、最初からずっとこの子らの家にいたのだ。この話はあなたに何を伝えるだろう?」
「ミラー・ニューロンは、人間の脳の中でも見つかっている。今日、これらの神経細胞は、他者の心を推定するマインド・リーディングなど、コミュニケーションの様々な場面で使われていると考えられている。
ミラー・ニューロンは、自分自身と他者とを比較するときには必要不可欠だと考えられている。それは自分がどんな種類の人間なのかを認識するために必要なステップである。
バスルームにある鏡は、あなたの身体的な外観を映し出す。しかしながら、あなた自身の個性を理解するためには、あなた自身を映し出す他者という鏡が必要だ。あなた自身と他者との間の類似、差異を認識することを通してのみ、あなたは自分の特性を現実的に評価できるようになる。
ミチルとチルチルもそうである。広い世界を旅して、自分と他者とを比べた後だからこそ、自分自身の実際の性質に気づくことができたのだ。兄妹はその時にはじめて自分自身のありのままを受け入れることができた。
幸せの青い鳥という話は、我々に、各自の条件を引き受けて、
幸せを見つけろと言っているわけである。隣の芝生は青く見えるかもしれないが、それは幻想に過ぎない。
『コミケ』に来て、対等に交流している人々は、それをよく知っている。人は幸せの青い鳥を探しに『コミケ』へやってくる。そして、
探し求めていたものを、他のどこかではなく自分自身の中に見つける。
コスプレをして現実離れしたアニメキャラクターになることを楽しんだ後、人はその喜ばしい衣装を脱いで、自分自身へと戻っていくのだ。」
ここまで読んで、子供の頃にTVで観た、この「青い鳥」のラストシーンが蘇った。
自分を見つめ直す、チャンスなのかもしれない。
第十章 あなたがあなたであるために、あなた自身を受け入れる
「〈生きがい〉には唯一の最適な方法などない。我々の一人ひとりが、自分自身で、我々の比類なき個性の森を探求しなければならない。
しかし、あなたが〈生きがい〉を探している間、良い笑いとともにあることを忘れずに。——今日も、そしていつでも!」
結論 自分自身の〈生きがい〉を見つける
「何が起ころうとも、〈生きがい〉を持っている限り、あなたは、人生の困難な時期を何とか切り抜けていくことができる。
あなたは、必ず安全な場所へ戻ってくることができる。そこから、また人生をやり直すことができる。」
まとめ
いつも読む著者の、
自己啓発本とはまた一味違う、
得ることの多い良書だった。
〈生きがい〉について考えるヒントになった。
自分を見つめ直しつつ、
肩の力を抜いて「良い笑いとともに」
〈生きがい〉を意識した生活をおくる。
これこそ、価値のある人生につながるのではないか。
「〈生きがい〉には唯一の最適な方法などない」
どこに「きっかけ」があるかは人それぞれだ。
なにが 君の しあわせ
なにをして よろこぶ
わからないまま おわる
そんなのは いやだ!
かのアンパンマンの歌からも、〈生きがい〉の大切さがわかる。