人と組織. 21 - 人も企業も「根本から自らの在り様」を問い直す時間が年の瀬
いよいよ2021年も残すところ後、一ヶ月となった。
大方の企業人にとっての一年の終わりは、年末ではなく3月であり、
そして始まりは4月というのが率直なところであるが、それでも、
手帳やカレンダーなど大方のものは、1月から12月という単位と
なっているので、必然的に年の終わりという感慨は、3月末よりも
はるかに師走の方が深いものがある。
筆者の場合、ここ10数年、年の瀬に手帳を新しくする時、必ず昨年の手帳を取り出し、今年のそれと比較することにしている。
仕事の質と量の両面において新しくチャレンジした点、変えた点、
そして培えたこと等を検証することを習慣にしている。
そうすると何をインプットして、何をアウトプットできたのか、
捨てるべきもの、残すもの、変えるもの等が明確になってくる。
そこに新しい風景が見えてくるのである。
師走が近づき、日本企業を取り巻く環境は一層厳しさを増してきている。
国内市場を見れば、総人口の減少と少子高齢化という構造的な課題があり、
成長しない経済と市場の縮小等でほとんど成長が望めない状況にある。
人間と同じように企業組織も既存事業の成長の先にあるのは、成熟である。
事業の成長はやがて必ず終わりを迎える。
その原因は、需要の飽和、技術革新等いろいろな要因があるであろう。
いずれにしても外部環境の変化には、常に既存事業の成熟というリスクが潜んでいる。
そのリスクを乗り越えて更に成長を遂げていくためには、
「企業の構造そのものを根本から作り変える努力」が、今必要なのである。
本来は、企業の構造そのものを変革しなければ対応できないにも関わらず、大方の企業の打ち手は、単に事業の延命策を講じているに過ぎない。
要は、本音は、今の事業のやり方で少しでも長く維持していきたいということであろう。
そのために対症療法を繰り返しているだけで、次第に負の連鎖に陥っていくということが理解出来ていない。
大きな変革期というは、「事業の在り様が根本から変わる」ということである。
日本では、企業が成長して大きくなると、事業を続けることが目的となってしまう。
そして内部から順送りでトップに就く日本の場合は、思い切った事業からの撤退や新しい事業を始める決断も難しい。
然しながら、これが経営に非常に大きな停滞感をもたらす。
企業は永遠である必要はあるが、個々の事業まで永遠でなければならないのだろうか。
組織の中にある不合理を合理的なものに変えていく、組織の中の黒い部分を出来るだけ白い部分に変えていくのが、経営として取り組むべき最大のテーマであろう。
生き残っていくため、主力事業を何度も入れ替える如く、新陳代謝が今、求められているのである。
ダーウインの法則ではないが、その時代にあって、これから先どんなものが必要とされるのかを、本気になって考えなければならない。
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