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男子宝石② #毎週ショートショートnote
198X年、関西のある地方で皇族級の古墳が発見された。副葬品が殆ど残っており被葬者が男子2人である事から大騒ぎとなった。考古学研究所にて副葬品の調査をしていた男は訝しんだ。
「この石は何だ?こんな形は初めて見る」
ビーズ玉、ガラス玉に混じった幾つかの棒状の石英。男根型道祖神に似ている。生命を象徴する男根を神聖視し、崇拝の対象としたものだ。しかし単なる男根崇拝と解釈してよいものか。仕事を中断しアパートに戻った。
同居人の同僚が鍋を作って待っていた。
「今日は寒いから鍋にしたんや」
「おー、いいなあ」
節約のため一緒に住んでいる。正直言って恋人といるより居心地がいい。もし、こいつとそういう関係であったら。
同性愛を咎められ殺害された2人の皇子。不憫として同じ棺に入れられ、心優しい者が鎮魂のため、あるいは永劫共にいられるよう男根型の宝石をそっと入れた。
これを発表したものかどうか。いや、秘めておこう。
(395文字)
たらはかに(田原にか)様の企画に参加させていただきました。
表題画像は藤ノ木古墳 耳環・銀製空玉・ガラス玉(南側被葬者)です。