NHK俳句・短歌への投稿作・2月号①
とりあえず採っていただいたものだけ先にアップします。
選者:夏井いつき先生 題詠「おでん」
汚くて旨いよおでんは三種類
暖かを丸めたような小石かな 夏井いつき
春のうららかな午後、ひなたに転がっている小石はまさに暖かを丸めたような形をしている。小石を握った時の温感が伝わってきます。難しい言葉がなくて、一読してわかる。だけどこの言葉、簡単には組めないよ、という例のように思います。非常に平明で、すっきりしていて、大好きな句です。
選者:村上鞆彦先生 題詠「ストーブ」
ストーブにコッペパン雪ふってきた
海苔搔の手元かすめし鳶の影 村上鞆彦
海苔搔に精を出す海女さん。その手元を鳶の影がかすめた、ふっと我にかえる。だいぶ獲れたなあ。影がはっきりわかるのでよく晴れた日なのでしょう。臨場感あります。村上さんは大分県宇佐市、海に面した市のご出身なので、海苔搔は見慣れた光景なのかもしれませんね。
選者:吉川宏志先生 題詠「冬の星」
シリウスは2連星なりスーラの絵を近くで見れば点の集合
雪さえも埃を芯に生まるるをよろめくように不信に向かう 吉川宏志
雪だって芯は埃なんだ。誰にでも、例え愛する彼女にも黒い心はあるとわかっているのに受けとめきれない。そう、いったん不信感を持ったらなかなか拭えないんですよね。「よろめくように」傷ついてるんだけど彼女に向かわざるを得ない。切ない心情。ところで子供の頃(大人になっても)降ってくる雪を食べて遊んでましたが、そうか芯は埃なんだ……。
今月はNHK短歌の「短歌のはがき出そう運動」にも採っていただきました。
募集テーマに沿って、巻末はがきに直筆で書きます。字の巧い人はふわあ、ってなるし、そうでない人(私はこっち側;;)のはなんか味があるし、直筆って面白い。はがき出そう運動ってネーミング好きだなあ。
選者:桜井健司先生 テーマ「歌手・アイドルへのはがき歌」
くり返し見ては今さら理解するヒデキ・ジュリーの歌のうまさを
漆黒の傘を頭上に掲げたる上司が雨の中を近づく 桜井健司
苦手な上司なのでしょうか。その人が向こうからやってきて、逃げ場がない、仕方なく歩いていき、すれ違いざまに会釈する。息止めながら。うわあ、わかるなあ笑。職場あるある、多くの人が体験する光景ではないでしょうか。上司の掲げる蝙蝠傘の漆黒までも彼の象徴に見えているのかもしれません。
西城秀樹に沢田研二。子供の頃はただカッコいいわあ、という気持ちで見ていたけど、いま改めてYoutube聴くとめちゃくちゃ歌うまい。沢田研二なんて酒(じゃないだろうけど)飲んで飛沫とばしながらだもんな。下の動画スーツ姿の西城さんめちゃカッコ良くていつもこれ見てます。ギャランドゥ好きすぎて毎日気が狂ったように歌ってました。昔の動画を手軽に見れるように発明してくれた人本当にありがとうございます。ところで「カサブランカ・ダンディ」冒頭の
ききわけのない女の頬を 一つ二つはりたおして
阿久悠作詞のこれが今の時代だったらアウトかも、とどこかで読んだことありますが、なんとまあ世知辛い世の中になったものですね😑