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僕にとっての原点~台湾~
人生というのは何かと儚く、それといって年を取っていくと思うことや感じることもなくなっていく。どこかの小説がこんなことを言っていたように。
「旅に出るならば26、7歳くらいがいい」
人間の感受性というのはそれほど早く疎くなるような、儚い存在なのかもしれない。
僕にとっての旅の始まりは22歳、大学卒業間近の社会人になろうとしているまさにその時だ。日本にしかいたことのない青年が、人生で初めて、そして一人で海外へ飛び出た。「国内だろ」などと言っていたような人間が、無性に「海外に飛び出たい」虫に取りつかれてしまったのだ。それは定めなのか、運命なのか、僕にはわからない。
わかっているのは「知らない世界」がそこにあるということだけだった。
初めて飛び出す世界が原点となる
これもまた世の中のありとあらゆる旅の本が言っている。
バンコクはバックパッカーの聖地である。
でもこれは僕には当てはまらなかった。
バックパッカーとなった僕にとってのそれは台湾だった。
台湾の各地を一人で電車で回ること、それが人生で初めての海外だ。
初めて見る、お寺の前で真剣に神様に祈りをする姿。
神社など初詣の時ぐらいにしか行かない日本人が見る、真夏の昼下がり。
初めて見る食事。
その味はどこか懐かしいような、それでいて遠い彼方で感じる異国の味。
食べる僕は異邦人であるはずなのに、なぜか住んでいるんじゃないかという錯覚に陥るような雰囲気が僕を包み込む。
初めて見るような景色。
どこか神々しい、生きる意味を教えてくれるような世界観。
そんな一日がもうすぐ終わろうと太陽は教えてくれている。
ふと訪れる、一人の時間。
自分の人生を振り返り、未来を描き、今をどうしたいかを考える。
そんな場所が旅にはいろんなところに散らばっている。
僕の行く台湾には、僕の始まりとなるものが詰まっている。
台湾というものが僕の人生の原点であり、人生が変わった場所なのだ。
だからこそ、台湾というものをもっと知りたい。
同時に、もう台湾を知りたくない感情も生まれてくるものだ。
これ以上知り尽くしてしまったら、自分の原点というものが解明されてしまうのではないか、そんなことが果たしていいものなのか。
そんな不安にさいなまれる。
「台湾は私にとっての聖地である」
どんな人間にも、聖地というものはあるものだ。
それがその人にとって行きたい場所、行きたくない場所であれ。
僕はそんな場所が好きだし、また行きたくさせるようなものを彼の地は思わせてくれるのだ。
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