数珠を作って、創造性の限界を知った話
10年くらい前
母と電話で話していた時のこと
母:
この前の勝男おじちゃんの葬儀でね
急いで向かったから、お父さんも私も
数珠がなくて、なんか恥ずかしかったの
なるほど
そうだろそうだろと思った
というのも、我が家は信仰が特殊で
仏教系の葬式に疎いのだ
母:
でも、これからって
葬式ばかりでしょ
あきちゃんところも、数田さんも
それでさ、あきら
数珠を作ってほしいのよ
我が家恒例の、むちゃブリ
山ちゃん、数珠を作ったら?
え”?
じゅ、数珠を、作れと?
山ちゃん:
お、俺が作るの?
母:
あんたセンスいいじゃない
素敵なやつ、作ってよ
お釈迦様を心から信じていない俺が
数珠なんか作って、いいのだろうか
粒、いくつでこんな意味、とかないのだろうか
んなもんできるかぃ
と断ればいいものを
頭の中でどうやったら作れるのかな、と
ぐるぐる考えはじめてしまって
山ちゃん:
分かった、調べてみる
と、哀しき息子の性
引き受けてしまったのでした
この経緯には我が家の慣習があって
ないものは、作れ
という父親の強い信念の継承でもあるのです
物が何もなく、食事すらギリギリだった時代を
ひたすら走り続けた両親は
ものを買う金がないので
作り出すしかなかったんですね
そんな家族だったので
俺も、父にあれ作ってこれ作ってと
何でも頼んでました
すると、何となくでも、そっくりでもなく
作ってきたものが役に立っていた
なので
作れるものは作ってよ
というのが、我が家の慣習だったのでした
がしかし今回のお題は、数珠
まぁ、母は仏教に信仰心が
あるわけでもないので
見た目がそれらしかったらいいかなと思い
制作し始めたのでした
まず母の要望は
次の葬儀には間に合わせて
恥をかきたくない
ということ
人の死なんて、予告してくれませんから
あきちゃんはリウマチだし
数田さんは、もう虫の息(笑)
なるべく早く仕上げる必要があって
謎のプレッシャーを感じてました
だって
もしそれが叶わなかった時の恨みつらみを
想像するとゾッとするのです
今でもゾッとする
年とってからの母は
輪をかけて醜いのです
そんな時、兄からも連絡が
兄:
車と家のキーホルダーが壊れたから
なんか適当に作っておいて
え”?
いや買えよ、この社会不適合者
そんな思いをグッと飲み込んで
できたらね、と返答したのでした
(この哀しき次男の精神、誰か取り除いて)
ところが
悔しいことに、兄のキーホルダーは
30分で仕上がってしまいました
コイツのなんてどうでもいいや
くらいの楽な気持ちが
この俺に適当さを授けてくれたのです
なので、サラッと仕上がりました(笑)
さて、本番
そもそも数珠って
どんな意味があるのでしょうか
弔い、なのか
守護、なのか
はたまた畏敬の念なのか
めんどくさくて
調べる気にもならなかったので
とりあえず、両親には
変なものをつけてきて欲しくない
という思いから(笑)
父には、魔除けに使われる石を
母には、可愛らしいのが好きなので
パステルな石を、選んでみました
超、テキトーです
一応できたし、せっかく作ったので
Facebookにアップしてみたんですね
そうしたら
思わぬ反響があって
自分に天然石のブレスレットを
作って欲しいと
友人からメッセージがきたのです
それからというもの
創作意欲が掻き立たれ
狂ったように天然石のブレスレットを
作り始めたのでした
人伝えで依頼が増え
作ったら喜んでもらえたので
クリエイターとしての自分が
なんだか満たされているようでした
がしかし
こういう情熱が長続きしないのが俺
依頼が溜まりはじめたりすると
なおさら、逃げたくなる
ダメなところなんですよねぇ
わかっちゃいるけど、嫌になる
そこで、値段をググッと吊り上げて
それでも買うなら作ります
ということにしたら
誰も頼まなくなりました
(笑)
これで閉店!引退!
と思い、👇の作品をそれぞれ3つずつ組んで
おれの情熱は、終了しました
と、いう創造性の限界
というお話でした
じゃーねー